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「コウ果樹園のみかん」を買ってくれる人のため 価値を高める終わりのなき旅を、思いに引き寄せられた仲間と歩む

愛媛県八幡浜市でみかん農家を営む二宮江さん。先祖代々、遡れば60年以上前からみかん農家だったはずと話す二宮さんも、「継ぐつもりは全くなかった」とかつてを振り返ります。ですが、今では「おいしいみかん」のために1年を費やす、立派な農園の主に。今に至るまで、そしてこれからに向けた思いまで、お話を伺いました。

跡継ぎなんて、と思っていた自分が振り向く「父のみかん」

私は実家がみかん農家で、当時は祖父も同じく営んでいましたから、幼少期から「農家」という仕事を身近に見てきました。ただ、そうだからと言って「自分も将来は農家に」と思ったかというと、全くそんなことはなくて(笑)いわゆる“農家あるある”なのかもしれませんが、親が農業をしている家の子供って、学校が休みの日に手伝わされるのが恒例なんです。「なんでだよ」っていう気持ちの方が当時は大きいわけですね、それで「絶対に自分はこの仕事に就かない」と心に決めて、現にサラリーマンとして働き始めました。
そうしてしばらく経ってから、あるとき父が体調を崩してしまって。最初は有給休暇を使って実家のフォローをしていたのですが、少しずつ自分の気持ちも変わっていったんです。決め手っていう決め手は難しいんですが、とにかく父親の作るみかんが美味しくて。最終的には「やるしかないだろう」と気持ちが固まっていきました。

“コウ果樹園のみかんの価値”を上げるために

いざ家業を継ぐことになったはいいものの、それこそ自分はみかんに詳しいわけでも、何か特別なスキルを持っているわけではない…というなかで、実は結婚をしたのもこの時期でした。その当時の月給ではまさか家族を養えないと考えたのが、「1個100円のみかんをいかに200円にして売るか」ということ。農家のなかでもこの発想は少し斬新だったかもしれません。どうしても販路を広げようとか、生産効率を上げようとか、そうなりがちなんですけれど、僕は全力でこのチャレンジに臨むことにしました。

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もちろん僕の中に迷いがなかったわけではありません。売れるなら売れる数だけ…そういう風な思いもよぎりました。ただ、“灯台下暗し”と言いますか、それだと自分は目の前の大事なことを忘れてしまうなと。それは自分がまだ十分に売れてなかった時のお客さんのことですよね。昔から「今年もコウくんのところで頼むよ」「来年もうまいのができるといいな」そうやって今に至るまで応援してくれた、いつでも顔が思い浮かぶような一人ひとりのことです。商売っていうのはもどかしいもので、最初は10人の中の一人だったお客さんも、全体数が増えれば増えるほど、100人の中の一人、1,000人の中の一人…となってしまう。やむを得ないことなんですけど、でも、もし5,000人に売らなければならないものを、自分が価値を高めて4,000人に売ればいいものにできれば、残りの時間を大事なお客さんとのコミュニケーションに充てられる。そう考えたのが始まりなんです。

終わりのない、地道な積み重ねこそ全て

「じゃぁ何で価値を上げていったの?」と聞かれて当然だとは思うのですが、正直なところ、何が決め手とか、これだけやれば一気に成功できる、ってもんではないなというのが実感です。足を運べるところには直接出向き、時には偉い方の前にも着の身着のままで出かけて行くし。あとECサイトで買ってくださる方には、みかんが休みの時期も手書きのお便りを送るようにしたり、SNSで発信を続けたり…。たくさんあるみかんのなかで、「愛媛のみかん」、ではなくて「コウ果樹園のみかん」を買ってくださる方を作っていくわけですから。終わりはないですし、価値が上がったら上がったで、そこが最低ライン。今度はそこからのスタートになるわけですから、プレッシャーと言いますか、失敗できないっていう危機感との隣り合わせですよね。

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嬉しいこともあれば大変なこともあるこの仕事ですが、僕がつくづく思うのは、いかに周囲の方に助けられているかということです。自分の思いを伝えることで、それに引き寄せられて協力してくれる人がたくさんいる。「コウ果樹園のみかん」を“一員”となって広めようとしてくれる人が何人もいるんです。ウェブサイトのイラストだって、古くからの友人が描いてくれましたし、道の駅では自分のみかんを主力として扱ってくださる人もいました。

コウ果樹園様イラスト画像

図)コウ果樹園のイラストは、画家である友人と思いをぶつけ合い作り上げた完全オリジナル

そうした人たちに応えるためにも、今後はサービスの対応力を上げながら、自分たちにしかない価値を紡いでいきたいですね。

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