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しあわせを運ぶ、しあわせなニワトリ。〜ハコニワファームさんが生み出す未来のかたち〜

今回の舞台は、栃木県にあるしあわせあふれる小さな養鶏場、ハコニワファームさん。こちらで毎日、自由に伸び伸びと生活するニワトリたちを見守る、小島さんにお話を伺いました。

みんなで作る幸せの卵


ーハコニワファームさんの始まりは。

私の本業は税理士です。障害者就労支援施設「わらくや」を開所当初からフォローしているのですが、その頃わらくやは近隣の養鶏場からの依頼で様々な作業を行っていました。私がたまたま養鶏場へ行かせてもらった時に、この場所は障害者の方が輝ける場所かもしれないと感じました。なぜなら、生まれたばかりのひよこを育てるところから、餌やり、鶏舎の清掃、卵の収穫に選別、パッキング作業まで゙、それぞれの得意不得意がパズルのように組み合わさり、とても良い形で作業ができていたからです。そして何より、厳しい現場で一人ひとりが真摯に作業に取り組んでいる姿を見て、そう強く感じました。

ところが、養鶏場の作業をみんなで頑張っていこう!そういっていた矢先に、その養鶏場は倒産してしまいました。

彼らは一つの作業を覚えるのに、人の何倍も時間と積み重ねが必要です。それを支えるスタッフの努力も水の泡になります。わらくやとして今後もこの作業をどうしたら続けていけるだろうと、何日も一緒に悩み考えました。

そして、それだったら自分たちでやってみようということになり、会社を作り、わらくやで働く障害者の方たちと協力し合いながらニワトリを育てていく環境を作ることになりました。



これが、ハコニワファームさんの始まりだといいます。

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ただ、そんな真面目な彼らと仕事をするのであれば、「ニワトリもしあわせ、そこで働く人もしあわせ、その卵を食べる人もしあわせ」という、みんながしあわせになれるような会社を作ろうということになりました。飼育はニワトリが狭いケージの中で一生を終える方法ではなく、自由に歩きまわり餌を好きなだけついばむ平飼い飼育を選択しました。


また、障害を持った方たちは様々な苦難を自身が背負っている分、とてもやさしい方が多いです。ニワトリと心を通わせながら、誠実に丁寧に作業に取り組むことができ、その積み重ねは自信となり病気の回復につながることすらありました。


ー"ハコニワファーム"の名前の由来は?


障害をもつ方たちと一緒に、自分たちの目の届く範囲で、ちょうど箱庭を作るような、一つ一つ丁寧にやっていこうという想いで、ハコニワファームという名前にしました。

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まさに、しあわせなニワトリがうみだすしあわせな卵。ハコニワファームさんでは、国内でわずか6%しか飼育されていない純国産鶏「もみじ」を、ニワトリの生育環境や食事にも配慮しながら、豊かな自然のなかで飼育されています。



ハコニワファームの卵は、アスタキサンチンを豊富に含んでいます。それは天然アスタキサンチン(赤い色素をもつ海洋性微生物)をニワトリが餌として食べているからなのですが、カニやエビが赤いのはこの微生物をたっぷり食べているからなのです。天然アスタキサンチンの餌を食べているニワトリは鶏冠も真っ赤で、商品の名前でもある『茜色』の黄身の卵を産みます。アスタキサンチンの栄養成分は免疫力を高める効果があり、さらに抗酸化作用も強く美容効果、アンチエイジングが期待できます。


ー最近は、IoTを導入されたんだとか。


はい。IoT は、人とニワトリのために導入しています。働く人の面からですと、障害の特性によっては、暑さや寒さなどを言葉にすることが苦手で、夏の暑い日に倒れそうになる限界まで働いてしまう方もいます。

こういった方たちの状態を、こちらで確認しなければならないのですが、いつもスタッフとマンツーマンで作業するということは不可能なので、それを IoTを導入することで改善しています。例えば、不快指数が一定以上になるとアラームが鳴り熱中症の危険があることを知らせてくれるため、作業する全員の熱中症を予防することができるのです。


またニワトリの面では、経営者の勘に頼るところがたくさんありました。温度や湿度、アンモニア臭など、様々な環境要素が産卵率に大きく関わっているのですが、どうしたら良いのかという詳細なマニニュアルはなく、すべて経営者の頭の中です。それをデータ化し適切な対応をしながら管理を行います。それにより普通の平飼いだと、産卵率は60%から70%の間で推移するのですが、弊社の養鶏場は平均で90%を超えています。ニワトリの管理面ではIoTシステムは最適です。特にアンモニアは濃度が高くなると、産卵率や卵の品質が一気に低下します。アンモニア濃度のレベルをあげないよう鶏糞除去を行いますが、このシステムを導入することで、ベストな状態を維持することができています。

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ニワトリのしあわせと働く人々のしあわせからうまれる最高級の卵と障害をもつ方々がしあわせに働ける環境…



ー障害者就労支援について、どうお考えですか。


障害者就労支援施設という国が提供する福祉サービスは、介護サービスと同様にとても大切なサービスの一つです。障害をもった方々が社会で生きるため…生きぬくために訓練をうける場所であり、しっかりとした訓練を受ければ社会で活躍ができる可能性は格段に広がります。その訓練のために国は訓練等給付金という形で施設の運営を支えていますので、職業訓練を行うことはもちろん、適正な運営を行うことが施設には求められます。

一人ひとりの特性に合った訓練を行うことで、わらくやでもご自身の実力を発揮できるようになり、多くの障害者の方々が一般企業に就職をしています。


そこで、ハコニワファームは障害者就労支援施設「わらくや」に仕事を依頼するかたちで、養鶏場で働く訓練をします。その訓練で、一定レベルに到達するとハコニワファームへ就職をすることもできます。訓練終了後に就職をしていただき、会社は適正な給料を支払いつつ、最高品質の卵を作り、それをお客さまに届けることで、しあわせを共有します。一般企業の障害者雇用で離職率が高いことが問題視されていますが、弊社では離職を招かないために、就職する前段階でしっかりとした訓練を行い自信をつけた上で就職。就職後はわらくやの協力のもと、個別に体調面、精神面のフォローを丁寧にしながら働いていただきます。こういった仕組みづくりがハコニワファームにとって、とても重要だと考えています。


皆さんは、その卵、どういう方がどういう想いを込めて作られているか、想像したことはありますか?ハコニワファームさんでは、養鶏場の体験を通して、卵ができあがるまでのストーリーを、実際に肌で感じることができます。


今は残念ながら新型コロナで止まってしまっているのですが、多くの方々にハコニワファームの養鶏場へ訪れていただきたいと思っています。

弊社はニワトリにも、生まれてから死ぬまでの間、しあわせに暮らしてもらいたいと思っています。弊社のニワトリたちを実際にご覧いただき、「自由にのびのび、楽しそうに暮している」ということを知っていただきたいです。鶏舎を見学できる養鶏場は、感染症などの観点からとても少ないのですが、弊社では防疫面を配慮した上で、お客様に卵がどんな環境でどんな風に生産されているかを体験をし、知っていただければと考えています。

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ニワトリと働く人々、そしてお客さまが今日もしあわせでありますように。ハコニワファームさんはこれからも、数々のしあわせをうみ出してくれることでしょう。



ー今後の抱負をお聞かせ下さい。


弊社で一番大切にすべきことは卵の品質です。それは、障害者の方たちが大切に丁寧に生産しているからこそ、圧倒的な卵を作る必要があると考えているからです。お客様に最高品質の卵と言ったら「ハコニワファームの卵」と言っていただけるように卵をしっかりと仕上げ、安定した供給が継続してできるよう、これからも日々精一杯の努力を積み重ねていきたいと思います。

株式会社ハコニワ・ファーム
〒321-4415 栃木県真岡市下籠谷2593-1
info@haconiwa.co.jp
TEL : 0285-81-6788 FAX : 0285-81-6031
https://haconiwa.co.jp/
https://youtu.be/vtn3r6jO568

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