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「家だと仕事をさぼるのではないか」「セキュリティを守れないのではないか」「会社の文化が壊されるのではないか」「顧客対応が疎かになるのではないか」問題にこたえる #テレワークのハードル

ご縁がありまして、世界的ベストセラーになった”リモートワークの聖書”と呼ばれる「リモートワークの達人」(早川書房/原題は「強いチームはオフィスを捨てる」)という本の解説を担当させてもらいました。こちらはWIRED.jpに寄稿した解説文でして、テレワークのハードルについても触れているのでよければ御覧ください。

ここでも触れておりますが、リモートワークやテレワークの最大の障壁になっているのは「人の気持ち」にあると考えます。事業構造や組織の仕組みの壁、セキュリティ対策などたくさんの障壁が挙げられますが、結局の所は、離れて働くことに対する頭にこびりついてしまった固定観念を振り払い、テレワークに対する考え方や意識をアップデートすることが何よりも難しいと思うのです。

「家だと仕事をさぼるのではないか」「セキュリティを守れないのではないか」「会社の文化が壊されるのではないか」「顧客対応が疎かになるのではないか」「あそこの会社はああだからできているんだ」などのさまざまな疑念や不信、誤解や妬み、昔の成功体験へのノスタルジー。みなさんは自粛期間を経て、どのようなリモートワーク・エクスペリエンスをされたのでしょうか。大きな機転になった会社も少なくありません。

私の知り合いの制作会社は、以前までは対面しないといい企画や作品なんて生み出せるわけがないだろうと社員を1分でも1秒でもオフィスにいることを求めていましたが、自粛を機に「ゼロベースで労働環境をつくってみよう」と、オンライン上で仮想オフィスをつくり、そこに社員が集まって仕事をするようになりました。その結果、社員たちは今まで以上に考えることに時間を避けるようになったおかげか、アウトプットの質も上がり、「そんな会社ならジョインしたい」と選ばれる会社としての採用もうまくいっているようです。

こびりついてしまった固定概念を変えるのは、難しいことです。自分自身がその穴に落ちていることを気づかないこともあるわけですから。そういった意味では、新人の頃にお願いされた仕事に対して、「これって本当にやる意味あるのか!?」というピュアな目線になることをオススメします。果たして、その会社にとって、チームにとって、オフィスにいく理由とは何なのでしょうか。

もし、まだテレワークに障壁を感じているのであれば、失敗を恐れずに自分たちでやってみることです。全体でやる必要はありません。一部の小さなメンバーや場面からで構いません。そこで生まれた小さな成功体験にこそ、大きな意識変革へとつながっていきます。

最近、知り合ったNTTデータの高橋直道さん。高橋さんは、会社名と実名を出してYouTubeをはじめ積極的な情報発信を行っています。この規模の企業に属する現役社員が、顔出しで社名公開するケースはとても珍しいわけですが、ご本人の自社に対する想いや愛情が会社に伝わった結果、会社もその活動を応援する姿勢に変わっていったようです。こういった発信は、なかなか実際のところが見えづらい日本企業の社風や文化を窺い知ることができますし、社外以外にも社内へのインパクトも大きなものがあるのではないでしょうか。テレワークの話ではありませんが、「どうせ認めてくれないだろう」「誰も応援してくれないだろう」といった既存の価値観にとらわれるのではなく、まずはやってみよう!というイノベーションを生み出すための好例でもあります。

高橋さんのYouTube動画例
「WEBデザイナーの僕がなぜNTTデータに入ったか」

少し話がそれてしまいましたが、改めて、「テレワークができるようになる」というのは「自転車に乗るようなもの」だと思います。自転車を乗るのに工学的発想や空気力学は必要ありませんよね。自転車を乗れるようになるためには、何度も転ぶことです。そして気づけば、チャレンジの先にいつの間にか遠くまで行くことができた経験は誰にでもがあるでしょう。テレワークに恐れてばかりいるのではなく、その風景を楽しんでいけると今まで以上に素晴らしい仕事体験が待っています。ぜひ、チームでその風景を楽しめるといいですね。

今月、日経COMEMO主催で、「テレワークのハードル」についてのイベントがあります。僕は登壇者の一人ではありますが、今回から参加者のみなさんからのチャットを軸にして進めていくオンライン参加型イベントになるようなので、ぜひ皆さんのテレワークに対する声や悩みを寄せていただければと思います。


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