映画「言の葉の庭」
「あなたがいたから僕がいる」
あなたと食べたラーメンや一緒に観た映画、知らなかった音楽とバンド、好きだといってくれた髪型、住んでいた街、夜中の2人乗り。もう引き返せないほど孤悲をしていた。強烈な孤独と戦う、私が私を信じることでしか相手と向き合えなかった。もっと、吐きそうなほど怒鳴り合いたかった、怒りをぶつけて泣き叫べばよかった。もっと、甘えればよかった、わがままを言えばよかった。可愛くなかった、相手の顔色をのぞいては言われてもいない言葉に押しつぶされて聞かないふりばかりしてた。でも、あの時間がなかったら、今の私はいない。山手線に手を伸ばしそうになるとき、怖い夢に目覚めた朝の静けさにこれから生きていくことを悟る。
この世界には文字よりも前にまず───当たり前のことだけれど、話し言葉があった。 ───愛に至る以前の、孤独に誰かを希求するしかない感情の物語だ。誰かとの愛も絆も約束もなく、その遙か手前で立ちすくんでいる個人を描きたい。現時点ではまだそれ以上のことはお伝えできないけれど、すくなくとも「孤悲」を抱えている(いた)人を力づけることが叶うような作品を目指している。 (Other Voices)
新海監督が言の葉の庭にそえた美しい言葉と最後のシーンは、究極の愛に変わった瞬間だと思った。
– 映画レビュー/新海誠監督「言の葉の庭」
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