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#映画レビュー

【映画】LUCY / リュック・ベッソン

ぼくたちは脳を15%くらいしか使えていない、という話から始まる。ほとんどの生物は3〜4%しか使えていない。この数字が、20,30,,,,100と増えていったら、、というSF映画。 ストーリー自体は普通というか、何でもありなSFの世界だからちょっとチープさも感じたけど、なぜ人間は15%しかその脳の働きを使えていないのか、という理論の解説が非常に興味深かった。 人間の脳機能や行動を抑圧する要因は、不安や恐怖にある、という説。これは現代の脳科学的にも言われていることだし、ぼくの

【映画】パプリカ / 今敏

夢と現実とがシームレスに溶けていくSFの世界観が描かれていて、この世界観に平沢進はほんとに最適だと思うけど、クセ強いから好き嫌いは分かれるだろうな。夜中に聴くと頭おかしくなる。 物質世界と精神世界。ぼくたちは他者の精神世界に入り込んだり書き換えたりすることは本来できない。言うことを聞かせるとか、自分を好きになってもらうとか、そういうのって自分が操作できるものではないじゃないですか。本来は。 このSF作品の中においては、相手の精神世界にアクセスができるようにはなるんですけど

【映画】アメリカンスナイパー

巨匠クリントイーストウッド作品 weekly ochiaiの中で、コロナ禍の自粛期間中に懸念されるメンタルクライシスについての話を聞いている時に出てきた、硫黄島での戦闘中に自衛隊員の95%が深い心的ダメージを負っていたという例が興味深かった。 「硫黄島からの手紙」を手掛けた巨匠クリントイーストウッドの作品を連続で観ようと思っていた時に、戦闘に参加した兵士の心情変化がわかりやすく表現されていると聞いていた「アメリカンスナイパー」を思い出して、今の状況に重ねながら観てみた

【映画】ミリオンダラー・ベイビー

今更ながら初めて観た。イーストウッドの世界観全開だったな。彼の映画はテーマはなんであれ、大切なものは何かを問われながら、いつも清々しい気持ちになる。最高だ。  ミリオンダラーベイビーは、死や倫理観を問うメッセージの強い作品にも見えるけどたぶんそこではなくて、個人の「生」に対してフォーカスされている映画だと感じた。それを決して綺麗事で描くのではなくて、賛否両論あるストーリーで表現するのがまた彼のすごいところ。  ぼくたちは、何に命を燃やすのか。燃やせなくなった時、もしく

【映画】oasis

「普通」ではない2人が、普通の人たちから奇異の目で見られる様子が痛々しいほどに描かれていて何とも言えない気持ちになったし、一方で、そんな2人が2人だけの世界に生きている「ファンタジーな描写」も多く、明るいのか暗いのか、とても混沌とした世界観で話は進んでいくんだけど、社会悪、非常識、偏見、差別、いろんな逆境の中にある2人からくっきりと見える純愛がほんとうに綺麗に描かれていて、ロマンス映画としてはお見事な作品だなと。女優さんの演技もすごい。韓国映画すごい。 同時に、この映画

【映画】ドリーム[原題:hidden figures]

公民権運動真っ只中の1961年、黒人と白人との間に大きな隔たりがあった頃の話。 ぼくのポリシーとして、人の才能や個性、クリエイティブを脅かすものは排除したいといつも考えているんだけど、まさに「差別」はこの対象になるもの。原題のhidden figuresは、隠されたもの、つまり、埋もれた才能のことだとぼくは捉えた。 作中では、主人公の才能ある女性たちが、差別意識の強い環境や境遇に対して、権利を主張し、真っ向から立ち向かっていく様が描かれており、「前例」をつくるとい

【映画】銀河鉄道999

名作を観た。 話の流れをよく見ればツッコミどころが沢山あるんだけど、アニメ映画を観るのにそんな野暮なことを言うもんじゃない。それよりも、表現したかったものは何なのかを追求することや、気づきや学びをしっかり言語化する機会にする方が重要だとぼくは考えています。 来たるオートメーション化時代に対する警鐘を鳴らすアンチテーゼ的作品であると捉えれば、2020年現在、シンギュラリティ以前の時代を生きているぼくたちにも通じるメッセージがあるようにも感じる。 以前、森美術館で開