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フレイムフェイス 異界迷宮攻略班

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異次元を映し出す『海』に囲まれた国家、輪海国エルガディア。 水平線無きこの世界が、一体何を礎として成り立ったのか。 知る者は、知ろうとする者は、覚えている者さえも、あまりに少ない…
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2022年5月の記事一覧

フレイムフェイス 第八話

フレイムフェイス 第八話

猛撃のディープレッド (2)「成程。状況は分かりました」

ホロモニタ中央。表示されるアイコンのフレイムフェイスは、サイアの詳細報告にそう答えた。それからぐるぐると回転開始。思考を巡らせているようだ。

「こうしちゃいられない、早く出発しましょう隊長!」

サイアの隣で意気込むカドシュ。更にその隣にアンバー。情報共有のため一旦降車したのだ。
 しかし、肝心のフレイムフェイスの反応は鈍い。

「……

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フレイムフェイス 第七話

フレイムフェイス 第七話

猛撃のディープレッド (1) 同時刻。
 フレイムフェイス達が居るビルから、遠く離れたとある工場敷地内。入り口から程近い倉庫の屋根上。

「うぐっ」

崩壊する術式から投げ出され、叩きつけられる少女が一人。
 受け身もそこそこに、彼女は猫のように素早く体勢を立て直す。飛び退る。
 直後、巻き起こる爆発。空中で起きたそれは彼女の前髪を暴れさせ、手をつく屋根材を軋ませる。

「あーあ、悲しいなあ。どっ

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フレイムフェイス ここまでのあらすじ

フレイムフェイス ここまでのあらすじ

 輪海国エルガディア防衛隊内へ新たに結成された特別部隊『ネイビーブルー』。
 そこへ選抜されたカドシュ・ライルは、期せずして疎遠だった幼馴染のアンバー・シグリィと再会する。

「硬った! カタいよカドシュちゃん! まるで防衛隊のヒトみたい!」
「そうだな。実はそうなんだ」

二人を選出したのは長きにわたってエルガディアを守り続ける異貌の者。通称フレイムフェイス。彼はカドシュとアンバーを伴い、ダンジ

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フレイムフェイス 第六話

フレイムフェイス 第六話

再会のネイビーブルー (6)「GAAAAAOOOOOOOOOッ!」

破壊獣が吼える。口腔に炎が燃える。
 警戒するネイビーブルーの三人。だがこの時最も警戒すべきなのは、四本の足裏から漏れる光であった。

「カドシュ君、今すぐ壁際へ」

辛うじてフレイムフェイスは気付き、忠告と同時に一歩前へ出る。同時に従うカドシュ。直後、破壊獣の足裏で光が炸裂。戦車じみたその巨体が、砲弾さながらの直進突撃を繰り出

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フレイムフェイス 第五話

フレイムフェイス 第五話

再会のネイビーブルー (5) 何が爆発した?
 そもそも何が起きた?
 それを知るためには、少々時間を巻き戻さねばならない。
 具体的には、八体のウォリアータイプのうち四体がカドシュと戦い始めた辺りへと。

「か、カドシュちゃん!?」

四体の敵を引き連れて遠ざかるカドシュの背を、アンバーは目で追う。

「彼なら大丈夫です。此方は此方の来客をもてなしましょう」

真正面、突っ込んで来る四体のウォリ

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