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神影鎧装レツオウガ

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2019年1月の記事一覧

神影鎧装レツオウガ 第二十一話

神影鎧装レツオウガ 第二十一話

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Chapter03 魔狼 12 陣羽織を着込んだ鎧武者。
 それが、最も端的にレツオウガを表せる言葉だろう。
 当然ながら、素体であるオウガの形は一切変わっていない。しかして機体各所――すなわち肩、手首、胸、背中、膝、足首のEマテリアル上へ展開された霊力装甲により、その姿は群青と灰銀の二色に塗り分けられていた。
 鋼の身体を覆う、光の鎧。それだけでも相当

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神影鎧装レツオウガ 第二十話

神影鎧装レツオウガ 第二十話

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Chapter03 魔狼 11 光のカーテンが溶けていく。天来号、利英の研究室から送られた転移術式の残光だ。
 風にさらわれ、かき消える光の淡雪。
 その中心に、風葉《かざは》はいた。バイク型霊力武装レックウにまたがる彼女は、改めてハンドルを握り直す。素早く、周囲を見回す。
 場所は、どこかの民家の屋根の上。見渡せば、同じような高さの民家が道なりにひしめ

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神影鎧装レツオウガ 第十九話

神影鎧装レツオウガ 第十九話

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Chapter03 魔狼 10 そうして、風葉は利英《りえい》の研究室に帰還した。
「――、む」
 頭がぼうっとする。たっぷり寝たのにまだ足りない、日曜の昼過ぎみたいな感覚。
 気を抜いたらまたくっついてしまいそうな目を擦り、風葉は目の焦点を合わせる。
 最初に見えたのは、すぐ正面にいる冥《メイ》。抱き合う一歩手前くらいの距離に立つ冥は、風葉の意識が戻っ

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神影鎧装レツオウガ 第十八話

神影鎧装レツオウガ 第十八話

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Chapter03 魔狼 09 時間は少々巻き戻る。
『……たった今、オウガを自爆させる事が決定したよ』
 明日の天気は雨だそうだ。
 それくらい軽い語調で、巌はつぶやいた。
「え」
 二度、三度。まばたきする風葉《かざは》。
「そっかーならしゃーないなー。自壊術式の準備せんと」
 今までがウソのような無表情で、利英《りえい》はキーボードを叩き始めた。周

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神影鎧装レツオウガ 第十七話

神影鎧装レツオウガ 第十七話

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Chapter03 魔狼 08 オーディンが、動いた。
 陸上選手もかくやと身体を沈め、一気に解き放つ。クラウチングスタートに似た体勢から繰り出される突貫は、さながらロケットだ。
 リバウンダーに匹敵する撃力の塊となったグングニルが、オウガ目がけて唸りを上げる。
「オオッ!!」
 斬。
 真っ向からの薙ぎ払い。フェイントも何もない、愚直なまでの大振り。だが早い。恐ろしく。
「セッ

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