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ダブリンへ 文明開化の光

2009年3月11日~21日 アイルランド紀行2

3月11日
アイルランドには ロンドン・ヒースロー空港を経由して、首都ダブリンに入ることになっていた。

出発前夜、夫が家のプリンターで、British Air Line(BA)の搭乗券を出力した。A4の用紙にローマ字の名前、目的地、そして隅にバーコードらしきものが印刷されている。Narita-LondonとLondon-Dublinの2フライト二人分、計4枚の搭乗券だ。

「これでCheck Inが終わったから、成田へは1時間前に行けばいいよ!」と夫。「なぬ~!?うそだろ??」と慌てふためいたのは私であった。

500枚360円の某○○カメラ店で買ったこんなペラペラな用紙で、しかも我が家のプリンターで出力したもので、国外脱出できるのか!?
セキュリティーは?国境とはそんな気軽なものなのか?もしお茶をこぼして、バーコードが読み取れなくなったら?
昨今は靴の中まで検査するというのに、チケットはこんな安易に用意できちゃうの?

「いやいや、旦那さん。もしものことがあってもなんだから、成田には3時間前に行こうよ!こんなペラペラな紙じゃ不安だし、沖縄や北海道みたいに国内に行くわけじゃないんだから!」
「大丈夫だよ。ちゃんと座席も指定されているし、朝は余分に2時間は眠れるし、大丈夫大丈夫。」と夫は、悠々と荷作りを進めている。

「い、いつの間にこんなITが発達したのだ??」

前回海外に行ったのは、4年前のペルー。
そのときは宅急便で、複写式複数枚の航空券が送られ、成田には3時間前にきっちり着き、カウンターで座席指定し、横長の固い搭乗券をもらったはず。

これは、黒船到来か?はたまた文明開化か?
明治の人が初めてみる舶来品に目を丸くし、ときにいぶかしんだのはこんな気持ちではなかろうか?

「まあ、このペラペラのA4の紙も成田空港のカウンターで、きっと横長の固い搭乗券に差し替えてもらえるでしょう。」そう考え、とりあえず時代の進歩に身を投じると決めて、その日は就寝した。

翌日、成田に1時間前に到着。ドタバタの出国となった。
いつもだったら3時間前に空港に着き、Check Inしてほっとひとごこち。飛び立っていく飛行機に心ときめかせながらスカイラウンジで朝食を食べ、お土産屋さんをちらちらとのぞくはずなのに……ああ、あの余裕の時間がなつかしい!

British Air のカウンターでおずおずとA4の搭乗券をで差し出すと「横長の固い搭乗券」には交換してもらえず、そのまま紙を返された。

そして出国審査も、
免税店で買い物するときも、
ロンドン・ヒースロー空港でのトランジットも、
そして、つ、ついにダブリンに着くまで、
500枚360円の某○○カメラ店で買ったA4の紙の、
あの我が家の年賀状を刷るプリンターから出力された、
ペラペラの、お茶をこぼしたらすぐにじんでしまうであろうバーコードに、
ピッとセンサーを近づけるだけで、すべてスルーした!!

「いいのか!?君たち~」
その都度、空港の係員に尋ねたいのをこらえつつ、時代の進化にただただ驚愕する往路であった。

そして2023年3月現在、今では印刷すらせずに、スマホのQRコードで世界に飛びたてるようになった。もしスマホの電源が落ちたらどうなるのだ?という心配はあるものの、人間の日進月歩にただただ感服するばかりである。

※冒頭の写真はダブリン空港
※以前に閉じたブログからこのアイルランド旅行記を見つけて、2023年3月に加筆してnoteに書き写している。


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