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読書感想文#02 ゼン・マクロビオティック―自然の食物による究極の体質改善食養法

私の職場には偶然にも食養に精通した先輩が数名います。

先に断っておくと、菜食主義の推奨やスピリチュアルな要素はまったく知識がありません。しかし、「なぜこの人達はそれらの効果を信じて疑わないのだろう」とだんだん気になるようになりました。

今回この本を取った最後の決め手は「木下は絶対ヨウセイだよ」と何度も指摘されたことです。その指摘に対し、「ヨウセイ... ヨウセイってフェアリーのことですか?」と質問して会話が立ちゆかなかった事を覚えています... ここでのヨウセイとは陰陽法における陽性のことで、私の体質が陽性気味だと指摘されていたのです。

食養の理論、効果がどのようなものなのか少し興味が湧き、本書を読んでみました。

1. 題名

本書は今回のテーマであるマクロビオティックの提唱者である桜沢如一氏が1965年に英語で出版した ZEN MACROBIOTICS_The Art of Rejuvenation and Longevity を村上譲顕氏が訳したものです。

2. 内容

マクロビオティックとは = macro大きな + bio生命の + biotic生活法

マクロビオティックとは、石塚左玄氏の「食物養生法」の考え方と、東洋思想のベースとなる中国の「易」の陰陽を組み合わせた、「玄米菜食」という自然に則した食事法を提唱したことからはじまりました。

その後1950年以降、久司道夫氏によってマクロビオティックが体系化され、マドンナをはじめ、ハリウッドスターやスーパーモデルたちが実践したことで主にアメリカから世界に広まった食養法です。

この食養法は東洋哲学の数千年に渡る歴史から絶対的な宇宙法則(すべての物に決められた陰陽の特性)を洞察し、体調の不具合を薬等の化学物質を使用することなく、食を通して自らが自身の医者のように振る舞い治していく事が説かれています。

超〜簡潔にいうと万物には陰陽の特性が存在し、健康であるためには自身が陰と陽のバランスがとれた中庸(ちゅうよう)の状態である必要があると説かれています。その結果、体質から知的傾向、社会的行動を変え、更には社会や運命を変えることができるそうです。

例 : 「あーなんか便秘っぽいな→パン(陰性)とコーヒー(陰性)を摂取しすぎたし陰性の便秘かな→じゃあ陽性の食べ物を摂取してバランスを取ろう

思想について = 西洋思想が「give and take」に対し、東洋思想は「give and give」

本書は当時英語で出版されたものですが、東西思想の相違についても細かに説明されています。

*東洋思想: give and give_無限にばらまけという精神。
、最後になることを恐れない謙虚な者だけが幸福の真髄である足るを知っている(幸福の5福より)。

*西洋思想: give and take_暴力によって有色人種を植民化し、搾取することを正当化した経済原則。勝者と敗者が混在した世界、双方は移りゆく。

3つのキーワード = 「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」

・身土不二= その土地で育った旬な物を食べ、生活しましょう
・一物全体= 丸ごと、皮ごと食べましょう
・陰陽調和 = 人智を超えた自然の摂理、宇宙の秩序を理解しバランスを取りましょう

そのほか、本書では良質な食事を行うための理論や病気やケガに対する具体的な治療法がみっちりと書かれています。

3. 感想

本書を読んで一番驚いたのは、陰陽の特性が食物のほか、元素の周期表や性別、その他あらゆる現象にも適用されるということでした。また、食物については調理法によっても陰陽の特性が変化するそうです。更に、基本的に女=陰、男=陽とされており(それ故に男女が惹かれあう)ますが、それも体調や季節によって常に変化していくそうです。

この複雑そうな食養法が受け入れられている理由の1つは、著者も含め、実践した方々が確かな効果を得ているからだと思います。

病が治った、アレルギーを克服した、生理が軽くなった、頭が冴える様になった等、沢山の事例があります。

陰陽表の通り、極陰・極陽となることから白砂糖や動物性タンパクの摂取は非推奨とされていますが、これは現代科学でも血糖値の急激な上昇など既に言及されていることです。

又、マクロビオティックが受け入れられているもう1つの理由は、この食養法が最終的に目指すところにあると思います。

それは健康から平和へという思想です。

単なる菜食主義のようなセンチメンタルな感情から取り組まれる食事法と違い、陰陽法に則った自身の心身のバランスを取るという食事法、東洋哲学における give and give の精神。

これらの思想が世界に受け入れられた理由ではないかと思います。


4. まとめ

食を通して自らが自身の医者のように振る舞い、治していく事。そのためには宇宙法則から万物の陰陽の特性を洞察する必要がある事。その法則を説いた東洋哲学を振り返り、自身が陰と陽のバランスがとれた中庸(ちゅうよう)の状態を目指すこと。

正直、現代科学の常識に囚われている私にとっては「食物の陰陽はどうやって分けられているのか」と直ぐに質問したくなってしまいます。しかし、これが宇宙法則によって予め決められた事象であれば説明の仕様がありません。

とりあえず数日間、自身のついて理解することに努め、食養の歴史に敬意をもって実践してみるのも有りかもしれませんね。


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