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タイムカードによる労働時間の認定
おはようございます。弁護士の檜山洋子です。
残業代の未払いを請求される案件では、労働時間の管理が適切にできていないケースが散見されます。
そんなとき、労働者が残業代の計算の根拠として提出してくるのは、労働者が自分で書いた手帳や、家族とのメールのやり取りなどです。
労働者に都合のいいように書かれたり、後日まとめて書かれたりしていて、あまり信用性もないのですが、裁判所としては他に寄って立つべき証拠もないし、ある程度の誤差はやむを得ないと考えているのか、労働者から提出された証拠をそのまま労働時間認定の証拠として採用することがあります。
もっとも、裁判所もまずは、タイムカードがないのかどうかを確認したい様子を見せることが多いようです。
タイムカードを押してから残業する、なんていう会社もありますが(あってはならないのですが)、タイムカードはある程度労働時間を正確に反映していることが多く、頼りになる証拠として扱われます。
特に、会社自身が日常的にタイムカードに基づいて労働時間の管理をしている場合には、裁判になってもタイムカードが有効な立証手段となるのです。
タイムカードは、機械的に時刻を打刻するものですから、タイムカード機の時刻設定が間違っていなければ、打刻した時刻が出勤又は退勤の時刻であると推定されます。
そのため、その時間内に労働していないと主張する使用者の側において、タイムカードの打刻時刻の正確性を主張して立証しなければなりません。
一方、退勤時刻を打刻した後に再び業務に付いていたような場合には、労働者においてタイムカード打刻後の労働の事実を主張立証する必要がありますが、裁判所は、労働者がタイムカードの打刻時間以外にも労働したことをメモなどに残していた場合には、そのメモ等の証拠をもって労働時間を認定するなど、労働者に有利な判断をすることがあります(東京地判平成14年11月11日ジャパンネットワークサービス事件)。
会社としては、タイムカードで労働時間を管理することが最も明確な証拠となりやすいものの、タイムカード打刻が形式的なもので実態に合致していないようなことがないか、運用の正確性を今一度検証してみることが必要でしょう。
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