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ケガや病気で休業中の産休・育休

 こんばんは。弁護士の檜山洋子です。

 昨夜は皆既月食があったそうですが、私はずっと事務所で仕事をしていて、結局見逃してしまいました。
 たくさんの人が写真をアップしていましたが、ゆっくり観測する時間を持てるということが羨ましくてたまりませんでした。

 ま、そういうこともあるってことで、仕事がんばります。

 さて、今日は、ケガや病気で休業中の産休・育休について、です。

解雇の制限

 労働基準法上、使用者は、原則として、以下の場合に労働者を解雇してはならないこととされています(19条)。

 すなわち、 

① 業務上負傷し又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間
② 女性の産前産後休業期間及びその後30日間

 業務上負傷したり業務が原因で病気になったりした場合の療養期間+30日間と、産前6週間産後8週間+30日間は、従業員は従業員の地位を維持したまま、会社を休むことができる、ということです。

休業中の収入

 解雇されることなく休業することができる反面、労務の提供をしていないので、休業期間中は原則として無給です。

 しかし、労務上のケガや病気については、労災保険が適用され、労働者は休業補償給付を受けることができます。

 労災保険の休業補償給付の額は、平均賃金(直前3か月の平均賃金)の6割ですが、休業特別支給金として平均賃金の2割が追加されますので、結局平均賃金の8割の額が、休んだ日数分支給されます。

 他方、産休・育休をとった場合、労災保険の適用はありませんので、このような支給はありません。
 その代わり、育児休業給付金の支給(雇用保険)を受けることができます。
 育児休業給付金の額は、6か月間は賃金の67%、以降は50%が支給されます。
 母親については、産後休業期間終了後、その翌日から子どもが1歳となる前日までの期間、父親については、子どもの出生当日から子どもが1歳となる前日までの期間、支給を受けることができ、特別な事情があれば最長2歳まで延長することが可能です。

傷病休業か産休・育休か

 金額や期間のことだけを考えれば、労災からの保険金をもらっておいた方が得なようにも思えます。

 しかし、夫婦共働きで夫も育休をとる予定があるなら、産休・育休に切り替えて、その間、妻のみならず夫も同時に育児休業給付金を受給した方がいいこともあります。
 夫婦の賃金の額にもよるでしょうが、夫婦がダブルで受給できる期間があるからです。

 どのような休み方を取るかによっても、受給期間や金額が変わってくる可能性がありますので、このような制度運用に詳しい社労士さんにしっかり相談してみるといいですね。

 


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