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SDG12 つくる責任つかう責任

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 断捨離やミニマリストやシェアがトレンドになり、持たずに生きることの重要性が認識されはじめています。

 いつでもすぐに手に入る時代だからこそ、そういう意識が芽生えているのかもしれません。

 もう二度と手に入らないかも、と思うとなかなか手放せずため込んでしまいますから。

大量生産・大量消費

 産業革命によって大量生産が可能になり、高度経済成長期の日本では中産階級の人達まで贅沢な暮らしができるようになりました。

 コンビニで売れなかった賞味期限切れの弁当や(⇒食品ロス)、着られない衣類が大量に廃棄されたりしています(⇒サステナブルファッション)。

 2050年までに世界人口が96億人に達した場合、現在の生活様式を続けていくには地球が3つ必要だと言われています。

目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する

 資源効率を高め省エネを促進し、持続可能なインフラを整備することをサプライチェーン全体で取り組むことによって、「全般的な開発計画を達成し、将来の経済、環境、社会へのコストを低下させ、経済的競争力を高め、貧困を削減する」ことができるはずです。

 そこで、SDG12は以下のターゲットを定めています。

12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。
12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

 ポイントは2つ。

 ① 原材料を持続可能に調達すること。

 ② 資源利用と廃棄を可能な限り削減すること。

 特に、「小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄」については、「半減」という明確なターゲットが掲げられています。

 小売・消費レベルの問題ですが、これを提供する製造メーカーの責任でもあります。

 ①持続可能な調達は、「責任ある調達」とほぼ同義で、サプライチェーンの全てにおいて透明性のある管理が求められます。万が一、末端で児童労働や強制労働などがあれば、そこからの供給を受けて製造したりすると、「責任ある調達」ができていないということになります。

 責任ある調達ができていないと、結局、世界のどこかで人権侵害や環境破壊が見過ごされ、持続可能な社会を作ることができなくなってしまいます。

 ②資源利用と廃棄の削減については、3R(リデュース・リユース・リサイクル)運動や、「サーキュラーエコノミー」活動が活発になってきています。

 産業廃棄物業界は、歴史的に既得権益を独占してきた業界のようですが、だからこそ、新形態のビジネスモデルを導入しやすく、イノベーションを起こしやすい業界であるともいえます。

 工場廃水について先進的な処理方法を採用することにより、処理コストを大幅に削減している会社も出始めています。

会社にできること

 漫然と廃棄物を出し続け、廃棄物処理にかかる莫大な費用も必要なコストと諦めるのではなく、新しい技術の開発・導入により、いくらでもコストを削減することは可能なはずです。

 また、自社だけで取組みを進めて完了してしまうのではなく、取引先やその先のサプライチェーンの様子にまで目配りしていくことも求められます。

 中小零細企業にとっては、取引先大会社からいろいろ注文を付けられ、半ば強制的にSDGsの取組みを求められる立場かもしれません。

 しかし、もっと積極的に、大企業がSDGsに取り組めているかどうかを中小零細企業の側からチェックしてみることも大切です。

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