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中国ライブコマースの真理が見えてきた

6月18日セールも順調に終了した様子

中国の2大セールと言われている6・18セールが終了しました。京東の総売上は2,692憶元(約4.04兆円)と、過去最高を記録、大きな盛り上がりを見せました。そして京東最大のライバルであるアリババは、この数字を一つの目安として今年のW11はさらに総売り上げを伸ばすべく、もうすぐ準備が始まっていくでしょう。今回は、この6・18セールを盛り上げる施策の一つとして色々なところで紹介をされている「ライブコマース」について、掘り下げたいと思います。

ライブコマースは日本に持ち込まれるのか??

コロナ禍の影響で、売上が厳しくなっている日本の小売業。中でも近年インバウンドや中国人バイヤーによる売り上げに頼っていた百貨店は、かなり厳しい状況になっています。一方で中国はライブコマースがエンジンとなり、コロナ前の状態まで消費が戻ってきています。では、日本の百貨店が同じようにライブコマースを日本人向けに実施をしたら、売上が期待できるのでしょうか。答えは、「否」。難しいでしょう。中国でライブコマースが流行した背景には「元々個人が配信するライブ中継を見る文化があった」「インフルエンサーの言うことを何よりも信用する」という価値観があります。日本にはありませんよね。そもそものベースが違うので、まずは成功しないでしょう。

利益がでないライブコマース

では、中国人向けに越境ECでライブコマースを実施すれば売れるのでしょうか?
一概には言えませんが、多くの企業が「売れるけど利益は出ない」という結果に終わるでしょう。そう、ここが今日一番言いたいことです。日本のネット記事や、noteのアカウントでも「中国ではライブコマースが流行っていて、ものすごく売れている」という趣旨の投稿が数多く見られると思います。このことは間違いなく事実です。売れてます。ただ「利益」が出ている会社は、ほんの一握りです。なぜか。答えは「価格」です。中国でも、「まずライブコマースをやれば何でも売れる」という訳ではありません。出演するインフルエンサーの費用、売上によってインフルエンサーに支払わなければいけない、キックバック。そして何より、ライブコマースをする際は普段の価格よりも安く売るのが通常です。通常よりも安く売るのに、通常よりも販売に関する手数料をたくさん払わないといけない。。。そうなると、なかなか利益はでませんよね。

中国ライブコマースの真理

ここまでは私が様々なクライアントとお仕事をしてきた中で経験した「事実」です。そしてここからは私が考える中国ライブコマースの真理です。中国のライブコマースは、「インフルエンサーとかはあまり関係なく、結局のところ普段より安いからよく売れている」のです。なのでライブコマースはあくまで「宣伝」であり、販売のインフルエンサーを起用するのも結局「いかに多くの人に販売できるか」ではなく、「いかに多くの人に拡散をできるのか」という視点で選ぶべきです。その証拠に口紅王子として有名な、ミスター・ライブコマース問われる「李佳琦(オースティン)」も、仕事を受ける上での絶対条件は「どこの店舗よりも販売価格を安くすること」という条件を入れています。「知名度のある人が、どこよりも安い商品を売っている」という状況です。そりゃ、売れますよね。日本で言うと、ジャニーズタレントが、どこよりも安い価格でジャパネットたかたで販売している、みたいなイメージでしょうか。

この真理を分からないままライブコマースに手を出そうとする日本企業の担当者さん、危険ですよ!

現場からは以上です!

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