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【悪い癖】「飼い主への甘噛み」はどうしたら直る?

小さいときは歯がかゆくて甘噛みしますが、永久歯に変われば直ると放置していると、その癖が残ってしまうことがあります。特に飼い主さんへの噛み癖はどんどんひどくなるという相談を受けることがあります。

この記事ではどうして犬が甘噛みをするのか?どうしたら甘噛みしなくなるのか?ということをご紹介します。


1.犬の行動のトリガー(刺激)を発見する

そもそも噛むののは何をトリガーにしているのでしょうか?かまってほしいときでしょうか?それとも、犬にご飯をあげた後、フードボウルを取ろうとしたときでしょうか?触っているときに甘噛みされますか?何をきっかけにトリガーが起きているかを観察して、リストアップしてみてください。


2.トリガーによって犬にどんな感情が呼び起こされているか考える

かまってほしい、遊んでほしいというのは欲求不満ですね。フードボウルを取りあげるとき、犬は自分のものがとられてしまうかも!という不安が沸き上がっているでしょう。また、触られるのが嫌な犬は「ヤメテ!」と言いたくて噛んでいるのかもしれませんね。

どんな理由であろうと、飼い主や人間を噛むことは「ダメ」と教えなくてはいけません。ですが、その感情やトリガーによってトレーニング方法が変わってきますので、このプロセスでは、犬のボディランゲージを観察して、どんな気持ちで甘噛みしているのか、よく観察してください。

Tip
ボディランゲージの読み方はこの記事で紹介していますが、しっぽを振り振りしているからと言って喜んでいるわけではありません。よく飼い主さんは「知らない人もしっぽを振っているから好きだと思うんだけど・・・」とおっしゃっていることがありますが、誤解の可能性が高いです。しっぽだけでなく、体全体の動きで、どんな感情を示しているか、確認しましょう。


3.甘噛みすることによって犬はどんなメリットがあるか考える

噛んできた結果、飼い主はどう行動していますか?無意識のご褒美をあげていませんか?例えば・・・

【犬が遊びたいとき】
(犬の感情)もっと遊びたい!
 ↓
(犬の行動)飼い主を甘噛みする
 ↓
(飼い主の行動)「やめて」と払いのける
 ↓
(犬の感情)あ!遊んでくれている

【犬がボディタッチを嫌がっているとき】
(飼い主の行動)犬に触る
 ↓
(犬の気持ち)触らないで!止めさせたい!
 ↓
(犬の行動)甘噛みをする
 ↓
(飼い主の行動)犬に触るのを止める

こんな風に、犬にとってメリットのある結果になっていませんか?甘噛みが癖になっている場合は、甘噛みの行動が強化されているということです。「甘噛み」=「嫌なことがなくなる」「ほしいものが手に入る」というように、犬にとっての成功体験を何かしら学習しているのです。どのような学習をしているのかを理解していきましょう。


4.行動が起きないように徹底的に環境を管理する

1~3まで確認できれば、甘噛みが起きるメカニズムがわかりますよね!メカニズムがわかったら、甘噛みが起きないように環境を徹底的に管理するのが大事です。

まずはトリガーとなる刺激を与えるのを止めましょう。

触ったら噛むのであれば、できるだけ触るのを止めます。トレーニングで触ることに徐々に慣れさせて、不安や嫌悪感を十分に減らしてから触るようにします。

フードボウルを取り上げた時に噛むのであれば、そもそもフードボウルでご飯をあげるのを止めましょう。手で与えたり、犬に所有物と勘違いさせるものを持たせないようにしていきます。

遊びたくて噛んでくるのであれば、犬が暇になるときはケージに入れておきましょう。十分に遊んであげられる時間が取れるときにだけ、ケージから出して自由時間を作ってあげましょう。


5.無意識のご褒美を絶対にせず、「無視する」

飼い主を噛む目的の一つは「飼い主のアテンションが欲しい」ということです。噛まれて、手で払いのけたり、犬を見たり、声をかける、これだけでもアテンションが欲しい犬にとっては「欲しいものを手に入れている」ことになります。

そんなときどうすればいいのかというと、「無視する」というのが最善の方法です。目線も合わさず、声もかけず、静かにすっと立ち上がって背中を向ける。「私は今そういうことをしませんよ」という意思をボディランゲージで表現します。この記事でも詳しいやり方を書いていますので、参考にしてみてください。


6.刺激に反応しないように慣れさせる

4でそもそもトリガーをなくしましょう、という話をしていますが、とはいえ、なくせないものもあります。例えばボディタッチはグルーミングや診察では必要です。ワンちゃんを預けた時に、トリマーさんが大変なことになっていては、申し訳ないですよね。

ボディタッチ=不安と学習してしまっていますが、

ボディタッチ=おいしい
ボディタッチ=気持ちいい

と教えてチャイム=不安の関係性を崩していきます。この時、刺激の大きさをコントロールするように注意してください。例えば、マズルを触るのが苦手という犬に対して、いきなり触ったら特に口元に近いので噛まれる可能性は高いですよね。足を触って、おなかを触って、背中を触って、OKだったら、マズルに触ってみます。それぞれ触るのも、1秒くらいタッチすることから始めます。焦ってはいけません。犬のペースで練習していくことが大事なんですよ!できなくてもがっかりしないでくださいね!

Tip
これは「消去」「脱感作」と呼ばれ、パブロフの犬が「ベル音=よだれが出る」と学習した古典的条件付けを崩すときに用いられる方法です。古典的条件付けについては「【学習理論】古典的条件付け」の記事でも詳細をご紹介してますので、ぜひご一読ください。


7.他の行動に置き換えていく

刺激に過度に反応しなくなってきたら、ほかの行動に置き換えていきます。例えばオスワリやフセができるのであれば、遊びたいとき=オスワリ+マツと教えられたらいいですよね!

(犬の気持ち)遊びたい

犬がおもちゃをもってきて、オスワリする

飼い主が犬と遊ぶ

となったら、飼い主さんだけでなく、犬にとっても嬉しい、まさにWin-Winの状態です。

これをするためには、遊ぶ前におもちゃを犬の前において、オスワリさせる習慣をつけていきます。これを合図として犬に覚えさせていきます。

犬の前におもちゃを置いて、オスワリを指示する

犬がオスワリできたら、遊びを開始する

とうことを続けていくと、オスワリした後に遊ぶという関連性が学習され、遊びたいときにオスワリを自発的にしてくれるようになります。

もしまだオスワリができない場合は、「噛み」以外の行動に全部ご褒美をあげます。一人で上手に遊んでいるとき、ご褒美をあげます。遊ぼうというポーズをしているときも、咬んでいなければご褒美をあげます。食べ物をあげてもいいですが、遊んでほしい!というのが犬の欲求なので、この場合のご褒美は「一緒に遊んであげる」ということですね。

あと、飼い主さんが犬が両立できない行動を誘導してあげることも一つの方法です。ガムやコングなどを夢中で食べている間やおもちゃをかじかじしている間、飼い主を甘噛みはできませんよね。フードボウルを取り上げるときに、ポンと一粒ドッグフードを投げて気をそらすのも一つのやり方です。

Tip
唸っている、歯をむき出しているという様子があったらご褒美をあげないようにしましょう。これは攻撃行動の一種です。吠える代わりに、他の攻撃行動に取って代わっては元も子もないので、それ以外の行動にご褒美をあげるようにしましょう。


まとめ

よくしつけサイトでは犬の嫌がる音などをさせて噛むのををやめさせるように書いているものもあります。確かにその方法で噛まなくなることもありますが、代わりにどんな行動を取るべきかを知らないと、犬も困ってしまいます。また、犬と飼い主の信頼関係を損なうリスクもあります。なので、先に1~7をやってみて、先に良い行動を教えてあげましょう。そのあとに、嫌悪刺激を使って、やってはいけないこと、というのを教えるようにしてみてくださいね!


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