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犬の気持ちを理解するには?ボディランゲージを知る

犬とコミュニケーションを取る方法について、合図・コマンド・シグナルを使って社会のルールを理解させるということをお伝えしましたが、一方で、犬の意思や気持ちはどうやって私達は理解できるのでしょうか?

犬はもちろん言葉を話しませんし、犬同士ではボディランゲージが一番よく利用されています。(吠えることでコミュニケーションを取ろうとすると、他の動物たちにも自分の存在を伝えることになるので、野生のオオカミの群れの中では吠えることはめったにありません)

今回は犬が使うボディランゲージをいくつかご紹介します。

よくある勘違い

・犬のしっぽがふりふりしているとき

よく楽しい、嬉しいというポジティブな感情を表現していると言われますが、実は表情をよく見ると、攻撃行動や緊張を表していることがあります。必ず、他のパーツの動きや犬全体の姿勢などを総合的に判断しましょう。

・犬が飼い主の上に乗ってくるとき

リーダーシップを示して、飼い主より犬が優位にあることを示している、と考える人もいますが、学術的根拠はありません。野生のオオカミや犬は「食べ物・水」などの資源に対して占有権を持つものを群れのリーダー(α:アルファ)として認めます。物理的な上下で群れの上下関係は表現されませんので、単純にじゃれている、甘えている仕草です。


ボディランゲージから気持ちを理解する

犬は目、耳、口、マズルなどの顔の部分と全体の姿勢、しっぽの様子から表情を汲み取ることができます。

この図はRoger Abrantes博士が犬のボディランゲージについてわかりやすく表現しており、縦軸は上が優位性/下が従属性、横軸は左が攻撃性/右が恐怖性を表現しています。
※3.2がニュートラル

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出典:Roger Abrantes(Dog Language” by Roger Abrantes, illustration by Alice Rasmussen)

怖がっている様子
・表情:耳が後ろ向きで平らになり、まばたきが増え、目線をそらします。マズルにシワが寄り、口を引いて、歯をむき出しにします。
・しっぽ:足の間に入れる
・姿勢:上図の右下(5.3、5.4、6.5)を取ることが多いですが、恐怖が強くなると窮鼠猫を噛むのように、一発逆転の攻撃にうってでることがあります。恐怖性の攻撃行動にうつる場合は、左下(4.1、5.0、5.1、6.0)のように恐怖の表情、しっぽの様子を見せたまま、攻撃姿勢に入ります。

攻撃的(敵対的)な様子
・表情:目を見開き、じっと見つめ、耳は前を向きピンと立っています。
・しっぽ:しっぽを上に持ち上げ、ふりふりしていることもあります。
・姿勢:上図の左上(1.2、2.2)のように、自然な体勢をとっていることもありますし、飛びかかるよう前の姿勢を取ることもあります。

遊びたい様子
・表情:攻撃的な表情に似ています。
・しっぽ:しっぽを上に持ち上げ、ふりふりしていることもあります。
・姿勢:フセからお尻を持ち上げた、おじぎのような前傾姿勢をとります。さらに遊びに誘いたい犬に対してジャンプします。


カーミングシグナル

テューリッド・ルーガス氏による著作で、一気に有名になりましたが、「カーミングシグナル」とは、他の犬や動物との争いを止めるときに見られる行動です。同様の行動は犬の祖先のオオカミにも見られ、「カットオフ」シグナルと呼ばれます。

それでは、具体的なカーミングシグナルをいくつか紹介します。

・顔の向きを変える、目をそらす
正面から犬が近づいたときに、横や後ろに顔を向けることがありますが、この行動で不快感や不安を伝えています。

Tip
あなたが犬に近づいて怖がる犬がいたら、犬を見るのをやめ、顔の向きを変えましょう。

・体の向きを変える
顔をそらすより、大きな効果があります。特に遊んでいて興奮状態にあった犬が、他方の犬に対して見せる場合は、「落ち着こう」の意味になり、人が犬に怒っているときにも体をそむけることがあるかもしれません。

Tip
あなたに飛びついてくる犬がいたら、体の向きを変えてみてください。「やめてほしい」という意思表示になります。

・ゆっくり歩く、動く
散歩中に他の犬が急に現れたり、飼い主が起こりながら犬を呼んだときなどは、ゆっくり歩いたりします。これは犬自身が自分、または飼い主を落ち着かせようとしています。

Tip
あなたを怖がる犬がいる場合は、ゆっくり動くと、犬がおとなしくしています。

・遊びの姿勢
足を左右に動かしながらおじぎの姿勢をしている場合は、前述の遊びに誘う姿勢ですが、動かずにじっとしている場合は、カーミングシグナルとして使っているかもしれません。特に安全かわからない相手に会ったときはこのシグナルを使って様子をみます。

・あくび
人間のあくびは、睡眠不足や集中力が切れたりしたときの行動として自然と現れますが、犬は不安を感じているときにこのシグナルを使います。

Tip
犬がしつこく遊びに誘ってくるときや、犬が怖がっているとき、あなたがあくびをすることで、犬がリラックスします。

・鼻を舐める
舌を素早く出し鼻を舐めます。一度きりのこともあり、観察が難しい場合もあります。目をそらしながらこのシグナルを使うこともあります。


ボディランゲージが読みづらい犬

長毛種や耳が垂れ下がっている犬などはボディランゲージが読みづらいのですが、これは犬にとっても同じです。犬同士のボディランゲージがうまくコミュニケーションされないこともあります。また、社会化が進んでいない犬も「犬語」がわからないことがあります。積極的にいろんな犬とふれあい、様々なボディランゲージを知ることが重要です。


犬語の理解について

犬は自分の気持ちを飼い主に伝える方法が限られています。犬の行動から気持ちを理解し、飼い主から適切な行動をとっていけるよう、犬語を積極的に理解していきましょう!いろんな本も出ていますが、図や写真が豊富に使われているような本をぜひ選んでみてください。

また無理に一気にシグナルを読み取ろうとせず、一つのシグナルを集中して観察することも習得の早道です。ドッグランに行った際には、他の犬の出しているカーミングシグナルを見ながら、自分の犬だけでなく、いろんな犬の気持ちを理解してみましょう!


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