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BUMP OF CHICKEN ホームシック衛星2024が最高だった!

ぐるりと回り戻ってきた。バンドサウンドがかっこいい!あの曲とあの曲があんなことになるなんて。「君を探す」ツアーだ。

「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024」の感想を書きたい。私は2024年2月25日(日)にポートメッセなごやで開催されたライブ、つまり名古屋2日目のライブに行った。

BUMP OF CHICKEN は2007年にアルバム『orbital period』を発表し、2008年に『orbital period』のライブツアー「ホームシック衛星」と「ホームシップ衛星」を開催した。「ホームシック衛星2024」は「ホームシック衛星」のリバイバルツアーだ。『orbital period』はメンバーが28歳になり公転周期を迎えたことを記念するアルバムだったが、「ホームシック衛星2024」は BUMP OF CHICKEN の結成28周年を記念するライブツアーだ。

藤原基央が公転周期について解説する文章が公式サイトで公開されている。さらに『orbital period』に付属したブックレット「星の鳥」も公式サイトで公開されている。ぜひ読んでほしい。

これ以降に「ホームシック衛星2024」のネタバレを含むので注意してほしい。

ここからネタバレがある。

2008年に「ホームシップ衛星」に行った私にとって、『orbital period』は思い入れが強いアルバムだ。近年の BUMP のライブには行かなかったが、「ホームシック衛星2024」には絶対に行きたい!と強く想い、チケットを手に入れた。

会場に入ってさっそく、セットに目を奪われた。ステージのこちらから見て左側には電波塔のような塔が建ち、右側にはアンテナのような円形の構造物が上から吊されていた。ステージのディスプレイには宇宙の映像が映っていた。BUMP のライブでこのようなセットが組まれたのは今回が初めてではないだろうか。

まるでこの会場にいる私たちが宇宙空間にいるようだ。地球から宇宙を見ているわけではない。この視線がライブの軸になる。

ライブの冒頭の楽曲は「星の鳥」だ。「星の鳥」から絶え間なく「メーデー」が始まった。次は「才悩人応援歌」だ。この流れは2007年のアルバム『orbital period』と同じであり、2008年のライブツアー「ホームシック衛星」と「ホームシップ衛星」と同じだ。

まさにリバイバル!観客の熱が上がっていく!

「才悩人応援歌」のサビで藤原基央の歌声はかなり力強くなった。シャウト、と言うのか?音源よりはるかに強い。

次が「ラフ・メイカー」、その次が「アルエ」だ。この2曲は BUMP の初期のリスナーから強く愛されていた楽曲であり、なによりギターロックだ。近年のいわゆる「キラキラ系」と呼ばれる楽曲とは対照的な、肉体的なバンドサウンドの楽曲が連続した!

このライブの入場者には「PIXMOB」(ピクスモブ)という LED リストバンドが配られ、ライブ中の楽曲に合わせて PIXMOB が点灯する。PIXMOB の色が楽曲の世界観に一致していて美しかった。「アルエ」のときは赤だった。たしかに「アルエ」なら赤がしっくりくる。もし私の覚え間違いだったら申し訳ない。

次が「ハンマーソングと痛みの塔」だ。この楽曲も『orbital period』の発売直後にかなり話題になった。独特のリズムが心地よいのだが、ライブで聴くとなおのこと味わい深いのだ。

ここからしっとりと聴かせる楽曲が続いた。

「ひとりごと」は藤原基央の歌声がすごく美しかった。場面ごとに質感がまったく違う。「ひとりごと」の盛り上がる場面(サビと呼ぶのかよく分からない)の歌声は優しく柔らかく、みずみずしい美しさだった。ギターのサウンドが相まって美しかった。

「花の名」も、藤原基央の歌声の伸びやかな美しさが際立っていた。ライブでは「花の名」の歌詞替えをすることが毎度おなじみになっているが、今回も歌詞替えをしてくれた。私はこの歌詞替えをはっきりと覚えておらず、間違っていたら申し訳ないのでここには書かないでおく。

次が「飴玉の唄」だ。「才悩人応援歌」でもかなり力強く歌っていたが、「飴玉の唄」でもかなり力強く、叫ぶように歌っていた。ライブならではの味わいだった。

その後、 BUMP のメンバーはステージから花道を通って「恥ずかし島」(はずかしじま)に移動した。 BUMP のメンバーは何年も前からライブ会場中央の小さな演奏スペースを「恥ずかし島」と呼んでいたのだ。この日のライブでは「恥ずかし島」という単語は出なかった気がする。

「恥ずかし島」で最初に演奏した曲が「東京賛歌」だ。「東京賛歌」はライブで演奏されたことがなかったらしいが、「ホームシック衛星2024」で初めてライブで演奏したらしい。藤原基央のハーモニカを聴けた!

「真っ赤な空を見ただろうか」では、 PIXMOB が赤く光った!夕焼け空になった!

「かさぶたぶたぶ」ではメンバーが観客に手拍子を促した。「かさぶたぶたぶ」の、あのリズムだ。

メンバーが「恥ずかし島」からステージに戻り、「望遠のマーチ」のイントロが響いたとき、一気に視界が広がって開放的になった!空気感ががらりと変わった!

「ray」では、歌詞が「○×△」の場面で会場の壁に○と×と△の形が映っていた。これもライブでは毎回恒例になっている。

次が「プレゼント」だ。私が特に好きな曲だ。「プレゼント」の主人公はラフ・メイカーなのだから、たしかに「ラフ・メイカー」を演奏して「プレゼント」も演奏する、というのは対になっていてしっくりくる。

「fire sign」で大合唱をしたのが楽しかった。これもライブならではの、会場の一体感だ。

「星の鳥 reprise」から「カルマ」の流れがかっこいい。そろそろライブが終わりだな、と予感させる。

そして最後が「ホームシック衛星2024」の一番のサプライズだ。

「voyager」と「flyby」が1曲になった!しかも今までに無かった歌詞が加えられて!新しいタイトルも分からないが、とにかく名曲だ!

BUMP は2008年にカップリング曲集のアルバム『present from you』を発売した。『present from you』には、カップリング曲ではない新曲「プレゼント」が収録された。「プレゼント」はアルバム『THE LIVING DEAD』に収録された楽曲「Opening」と楽曲「Ending」を一つにまとめた楽曲だった。BUMP は「プレゼント」を、2008年のライブツアー「ホームシップ衛星」で披露した。

そう、2008年と同じ展開が、2024年にもあったのだ!

これにてライブ本編が終了し、メンバーが退場した。少し間が空き、メンバーが再登場した。アンコールで披露した楽曲は「流星群」と「ガラスのブルース」だった。

BUMP のライブにしては珍しく、代表曲「天体観測」を演奏しなかった。しかし私は違和感を覚えなかった。演奏された楽曲と演出に統一感があり、充実感があったからだ。

全体を通して、バンドサウンドだった。肉体的だった。前回のライブツアー「be there」は、声出しが解禁された時期だったこともあり、会場のみんなで声を出して「そこにいる」「一緒にいる」を感じるツアーだった。一方、「ホームシック衛星2024」は、リバイバルツアーということもあり、人生の時の流れ、孤独、星と空と宇宙を感じるツアーのような気がした。星と空と宇宙に関係する楽曲が多かった。

最後の「ガラスのブルース」でも歌詞替えがあり、藤原基央は「君を探す」と歌っていた。もし私の勘違いだったら申し訳ない。間違っていたら教えてほしい。だが、たしかに「君を探す」と歌っていた気がする。

「ホームシック衛星2024」のテーマは、「君を探す」だ。

「voyager」と「flyby」の歌詞においても、直接的には「君を探す」という言葉がないが、「君を探す」という概念が表現されている。

「ホームシック衛星2024」の名古屋2日目のライブで演奏された曲の中で、『orbital period』より後に発表された曲は、「ray」、「流星群」、「望遠のマーチ」だ。この3曲もまた、「君を探す」という概念が表現されている。

BUMP OF CHICKEN とリスナーの距離が離れても、曲はいつもそばにいる。 「be there」の概念にも通じる。距離が離れても、BUMP OF CHICKEN はリスナーを探すし、リスナーは BUMP OF CHICKEN を探す。リスナーが BUMP OF CHICKEN から離れてしまって曲を忘れてしまっても、それでも大切な何かが心のどこかに生き続けている。

かつて『orbital period』を聴いていたリスナーや、2008年のライブツアー「ホームシック衛星」と「ホームシップ衛星」に行ったリスナーの中には、その後 BUMP から離れてしまった人もいるだろう。今回のリバイバルツアーで当時を思い出し、すごく久しぶりに BUMP の曲を聴いた人や、再びライブに行った人もいるだろう。

リバイバルツアーといっても、過去のライブとまったく同じというわけでなく、当時と比べて BUMP の演奏の質はかなり上がっている。当時には無かった曲を演奏した。しかし BUMP の本質は変わっていない。大切なものを大切にしながら、たしかに未来へ進んでいる。

ステージの電波塔、アンテナ、宇宙の映像、これらが相まって、 BUMP OF CHICKEN と私たちが宇宙を旅しているようだった。解釈が難しいのだが、「voyager」と「flyby」の歌詞は、 BUMP OF CHICKEN から観てリスナーのことを歌っているようにも思えるし、リスナーから観て BUMP OF CHICKEN のことを歌っているようにも思える。ライブ会場にいる私たちが人工衛星だ、とも思える。

心ノ裏側ヲ グルリト回リ戻ッテキタ
flyby 距離ハソノママデモ 確カニスグ側ニ居タ

バイバイ 忘レテモ構ワナイ 忘レナイカラ

BUMP OF CHICKEN「flyby」

アナタハ ドンナニ離レテモ 君ノ心ノ周回軌道上

BUMP OF CHICKEN「flyby」

BUMP OF CHICKEN、28周年おめでとう。


私、街河ヒカリが書いた BUMP OF CHICKEN についての文章は、このマガジンにまとまっている。

お読みくださり、ありがとうございました。

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