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そもそも、デンマーク人ってどんな人たち?

先日、「デンマークはなぜ豊かになれたのか」というお題で、日本の方に向けて講演する機会があった。開始から2時間を回った頃、参加者の一人から「そもそもなんですけど…」とこんな質問を受けた。

「ヨーロッパの中でも、イタリア人とかフランス人って、だいたいどんな感じか想像がつくんですが、デンマーク人ってどうなんですか?陽気なのか、静かなのか。それから、都心部への通勤時間とか、デンマークの普段の暮らしぶりも知りたいんですけど」

おお…。たしかに、そこ、マイナーな国だけにイメージがつきづらいですよね。失礼しました。

その場では、私の思いつく範囲でざっとお伝えしたものの、この、そもそもの部分って、かなり説明を省いてしまっているかもしれないと反省した次第。それに、同じ北欧人の中でも、スウェーデン人やノルウェー人と比べてどうなのか、といったことも、少し書いてみたいと思う。

私が生まれて初めてデンマーク人というものに出会ったのは、アメリカに留学中のことだった。学生寮の廊下を挟んだ向かいに住んでいた同級生で、名前はトーマス。

今振り返ってみても、トーマスは、デンマークらしさをよく体現した人だった。まず、非英語圏の国から来ている留学生の中でも、英語の流暢さがピカイチだった。そして、自然を愛するヨット乗りだった。よく笑う人で、寮の狭い部屋に入れるだけの友達を招いて、ボードゲームをやっていた。あれは、彼が育ったヒュゲ(hygge)の文化だったのだな、と今となれば納得できる。

デンマークに住んで8年になるので、デンマーク人が全員、トーマスのような陽気な人ではないことは理解しているが、まあだいたい、オープンな人たちである。知り合いになれば、かなりざっくばらんに、家族の事情やら仕事のゴタゴタを含めて話してくれる。

ただ、そこから、もっと深いレベルで友人になれるかと言うと、そのハードルはけっこう高い、というのが、在住外国人が口を揃えるところ。デンマークの学校は小中一貫で、10年間ずっとクラス替えがないのだが、この時代からの旧友といまだに仲良くしている人も多くて、なかなか友人枠に入り込みづらいのだ。

さて、デンマーク人の特徴を語る時によく言われるのが、デンマーク人は北欧人の中でも一番"リラックスしている"人たち、ということ。まあ、なんとかなるから大丈夫よ、というノリがあって、いちいち細かい説明を求めたりすると、神経質な人と思われかねない。

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