【エッセイ】夏→冬
寒い。
最近、急に寒い。
日本は四季の国なんて言われて、そのグラデーションに我々は雅さを見出してきたものだが、最近の冬はいかがなものだろうか。
夏→冬。
だ。
秋わい。
思わずイラチな関西弁も使いたくなってしまう。
秋が一番好きな季節なのだ。
夏の残り香がほんのりと漂うなか、寂しさと憂いの冬が顔を出す、その刹那。私の中で、四季というものの味わい深さが浮き彫りとなる。
肩いれて夏に入ってくるやん、冬。
これに乗らないと会社に遅刻するので、ではないのだ。
秋のワンクッション。
なんかもう、最近は「やったれ」「いったれ」の精神ではないか。今の政治じゃないのだから。
何より秋を一回挟むことによって身体を慣らしていたのに、強襲する冬に我々はもう「ビクゥぅっ!」となってしまう。急に車内で大声で怒鳴るおじさんを見かけた時の「ビクゥぅっ!」と同等である。
温泉で言ったら掛け湯とでもいうのだろうか。秋には冬を馴染ませる役割があったのに。
小さい秋見つける前に、大きい冬が見つかった。
帰れ。一旦帰れ。馬鹿野郎。
もう、僕の季節ですよねえ、ではないのだ、冬よ。
お前は、もうちょっと加減を考えろ。
あと悪目立ちしようとすることへの恥を知れ。
お前のそれは、健全なコスプレ大会に露出度だけで大注目を帯びようとする、半分グラビアアイドルのコスプレイヤーと同じことをしているからな。っていうか、なんだ、あのグラビアに出ているコスプレイヤー。コスプレグラドルって名乗れよ。あと、インフルエンサーもだ。目立ちたがり屋って言え。
冬がはじまるよおおおおおお!!、じゃないのである。
すみません、本当、あの本当、申し訳ないんですが、冬を始めさせていただいてよろしいでしょうか……?、だよ馬鹿野郎。謙虚さだ、謙虚さ。
お前のせいでデニムジャケットとスウェットというキメラみたいな格好で職場へ向かうことになってるぞ。
今、スギちゃんよりもワイルドだぞ、こちらの背格好は。
今、サザンを聴くことで帳尻を合わせている。『真夏の果実』を聴きながら、プラマイゼロにしているといった具合だ。『若者のすべて』が絵になる時期をもう少し増やしてほしいんだよ。『越冬つばめ』じゃないのだ。「ヒュールリー、ヒュールリーララー」じゃない。帰れ、円広志。
まあ、ともかく冬がはじまった訳で。
楽しいことだけ心に宿しながら暖かくして生きていきましょう、みなさん。
寒くて辛い時は、僕の職場へ行くワイルドな格好を思い出してくれれば幸いである。
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