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「鶴のゆく末」について①(吸血鬼作品集『VIAGGIO NOTTURNO』所収)

せっかくnoteを始めたので、私が書いた小説の紹介をします。

どれから紹介しようかなあと考えたところ、時期的にちょうどぴったりなので、今日は2018年に書いた短編「鶴のゆく末」について書きます。

「鶴のゆく末」のあらすじはこちら。

平成最後の夏、東堂渉はダリアと東京・日比谷公園にて再会する。
ダリアに会うたび思い出すのは、家族の面影と愛した人、そして渉が「人ならざるもの」に生まれ変わったあの日の記憶――。
平成と日露戦争末期の東京を舞台に、異色の吸血鬼譚が幕を開ける。


「鶴のゆく末」について

本作はカクヨムに全文掲載しています。

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本作は、宮田秩早さん主宰の吸血鬼作品集『VIAGGIO NOTTURNO』に載せていただいたものです。

この作品集は各執筆者が実在の歴史の中で吸血鬼が登場する物語を寄せた本で、本作は1905年9月5日に発生した日比谷焼き討ち事件に材を取った吸血鬼譚です。

日比谷焼き討ち事件とは

わかっとるわい、という方もいらっしゃるでしょうが、いちおうおさらい。

日比谷焼打事件(ひびややきうちじけん)は、1905年9月5日、東京市麹町区(現在の東京都千代田区)日比谷公園で行われた日露戦争の講和条約ポーツマス条約に反対する国民集会をきっかけに発生した日本の暴動事件。

日比谷焼打事件 - Wikipedia

これ、私が中学だか高校だかで習ったときの感覚では、「戦争に勝って終わるのに暴動を起こすってどういうこと??」と思ったんですね。

小学生の頃から「戦争はよくない」ってしこたま教えられて育っているので、「条約反対! 戦争続けろ!」ってどういう感覚なのか分からなかったんですね。一応授業では「賠償金がもらえなかったから暴動が起きた」って理由も説明はされるんですけど、戦争終わるんじゃけんもうええことない? お金もらえんのがそがいにいけんもんじゃろか??(※方言)ていう疑問が依然として残ったままでした。

でも日本史の授業ではそこまで深い説明はされないので、そのままさらーっと流れていき、私が抱いた疑問もいつの間にか記憶の彼方に追いやられていたのですが、『VIAGGIO NOTTURNO』にお誘いいただいたときに、ふと再燃してきたのです。

そういや私東京に引っ越してるしね。
日比谷にもしょっちゅう映画観に行ってるしね。

せっかくいただいた機会だから、日比谷焼き討ち事件についていろいろ調べて吸血鬼譚が書けそうだったら書いてみよう、という気持ちで資料集めを始めたのが本作の生まれたきっかけです。

吸血鬼作品集『VIAGGIO NOTTURNO』について

こちらのご本は、2020年9月6日に開催される第八回文学フリマ大阪でも宮田さんのブースで頒布される予定です。
ちょうど日比谷焼き討ち事件の115年後ですね!(ちょうどとは)

文フリ大阪に行けないよ~という方は、BOOTH通販で購入することも可能です。

『VIAGGIO NOTTURNO』のすごいところは、なんといっても別冊と合わせて吸血鬼作品で全大陸(南極含む!)をカバーしているところ。

そのうえどれもすごく内容が濃くて面白いお話ばかりなので、ぜひぜひチェックしてみてくださいね。装画やカラーイラストもとっても美麗です。

全作の試し読みはこちらからどうぞ。

長くなりそうなので今回はこのへんで……。

次回の記事では、何を考えて「鶴のゆく末」を書いたかを思い出しつつ、ちょろっと語ってみたいと思います。


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