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NDI (ネットワークデバイスインターフェイス) とは?

最近、動画制作やインターネット配信の機会が一気に増えました。そこで耳にするようになった「NDI(ネットワークデバイスインターフェイス)」と言う言葉。こちらの動画を参考にしながらNDIとは何なのか、どんなメリットがあるのか調べてみました。

NDIは何に使われるの?

NDIについてネットで調べてみると、以下のように書いてありました。

“NDI(ネットワークデバイスインターフェイス)は、米国NewTek社によって開発されたIP利用における新しいライブビデオ制作ワークフロー支援プロトコルです。このNDIテクノロジーを活用することで、一般的なギガビットイーサネット環境においても、映像、音声、メタデータを、NewTek社TriCasterやIPシリーズなどのシステム間だけでなく、NDI互換のさまざまなシステム、デバイス、PCなどとのリアルタイムによる相互伝送を可能とします。“ NewTek「NDIとは?」 https://tricaster.jp/ndi/ (参照 2021-02-04)

NDIは今、放送業界や映像業界で使われているSDIに代わり、映像制作の生産性を向上させる手段として注目されています。

なぜ注目されているの?

これまで放送業界では、同軸ケーブルを使ってSDIで映像・音声データを伝送する方法が一般的でした。しかし、SDIは一対一、しかも一方向の通信しかできないため、入力用と出力用にケーブルを分けてそれぞれの機器を接続する必要がありました。そのため、多くの機材を使うスタジオなどではケーブルがかさばり、配線が複雑になってしまうと言う問題がありました。またシステム構成の変更や、機材を追加する度に配線しなければならず、非常に手間がかかっていました。

NDIを利用すると、映像・音声データはIP化されて伝送されます。機器同士はネットワークスイッチを介してLANケーブルで接続されることになります。NDIは双方向の通信が可能で、これまで入出力で2本必要だったケーブルが、LANケーブル1本で可能になります。データはネットワークを介して共有されるので、配線し直しの心配もありません。NDIなら、かさばりがちなケーブルを減らし、面倒な配線に費やす時間と労力を削減することができます。

また、NDIはロイヤリティフリーのプロトコルです。既に2000社以上の企業が自社開発に利用しているそうです。NDIに対応した機器であればネットワーク経由で直接接続できますし、対応していない機器(SDIやHDMI)でも、コンバーターやNDI変換モジュールを使えば一緒に使用すること可能です。

スタジオでの使用例
動画の資料をお借りして、使用例を紹介したいと思います。

下の画像は、4つスタジオでカメラや動画素材が入った機材などがケーブルで接続されている状態です。

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でも「他のスタジオのカメラ映像を使いたい!」「再生用の動画素材をこっちのスタジオでも使いたい!」ということが発生すると、ケーブルをつなぎ直さなければならず、とても大変です。

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下の画像はNDIを使用したスタジオの例です。NDIでは、全スタジオをカバーするネットワーク環境を構築します。カメラ映像やデータは全てネットワーク経由で共有できるようになります。

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他のスタジオのカメラ映像を使う場合でも、配線し直す必要がありません。また、機材を追加する場合も同じネットワーク上に配置するだけで、簡単に利用できるようになります。

導入のコストは?

機材の追加や構成を変更する場合、従来の方法だとケーブルだけでなく接続端子の数が足りなくなったら周辺機材を追加しなければならないなど、費用がかさみがちでした。NDIなら必要となるケーブルや周辺機材が最低限で済み、時間や労力も削減でき、費用を抑えることが見込めます。
また、一般的なイーサネットLAN環境で利用できるので、初期の設備投資を比較的抑えることが可能です。ネットワーク関連機器は放送用業務機器に比べて簡単に入手・設置できます。専門機材に比べて汎用性が高く、今は高価でも普及するに従って、価格が下がることが期待できるでしょう。

どんな特徴があるの?

高品質なビデオと低遅延
NDIは、ProResやDNxHDと同様のDCT圧縮方式を利用しています。高品質で、一度ビデオを圧縮した後は圧縮・展開を繰り返しても品質が低下しないのが特徴です。遅延については、ネットワーク環境が最適な状態であることを前提として、1フィールド未満という超低遅延のビデオストリームを実現します。また、NDIはビデオエッセンスを圧縮するので、比較的低いビットレートでも高品質なビデオの転送を可能にします。

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出典元:動画「WEB セミナー:NDI (ネットワークデバイスインターフェイス) とは?」(参照 2021-02-04)

バージョン履歴の情報は英語ですがWikipediaにまとまっていました。

将来性が期待できるIP伝送テクノロジー
LANケーブルは同軸ケーブルを上回るスピードで進化しています。接続スピードは向上し続けていて、今後も性能が向上することが見込まれます。放送は4K・8Kと高解像度化が進み、伝送するデータ量は増え続けています。SDIを伝送する同軸ケーブルには物理的に限界があるとの見方もあり、NDIのようなIPを利用したビデオ伝送テクノロジーは、4K・8K対応への現実的な手段と考えられています。

NDIの特徴とメリットのまとめ

以上のことから、NDIの主な特徴とメリットをまとめてみました。

◎ 複雑な配線を解消して、映像制作を効率化
◎ インフラのコストを削減
◎ 高品質・超低遅延のビデオストリーム
◎ ロイヤリティフリーの規格で、対応している機材が豊富
◎ 高解像度化に対応できる将来性

最近一気にオンライン化が進み、企業や学校など映像業界以外にも動画配信が普及しました。NDIは世界で最も利用されているIPビデオ伝送方式だそうです。比較的導入コストを抑えられる点と将来性を考えると、まだまだこれから活用の場が広がるものと思われます。

ネットワークスイッチ、他のIP伝送テクノロジーとの比較など、技術的なことは動画で解説されていました。もっと技術的に詳しく知りたいと言う方はこちらの動画をご覧ください。3分25秒あたりからがNDIの解説です。



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