#19退職金に税金がかかる人、かからない人

もっと会社を良くするための、確定拠出年金制度の有効な使い方とは!
中小企業経営者様にそのポイントを解説いたします!

多くの中小企業経営者は、退職金を受け取ったことは無いと思います。
また、自社に退職金制度がなければ、退職金の税金についてご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、退職金と確定拠出年金にかかる税金について、お話したいと思います。

退職金にかかる税金

退職金を受け取った場合、その年の所得として課税されます。
これは、給与など他の収入とは分けて(分離課税)、退職金単独で税金の計算がされます。
計算された税金は、退職金から源泉徴収され、残りが手取りとして支払われます。

退職金の税金は優遇されている

退職金には大きな税制優遇があります。
退職金は失業後の生活を安定させるため、公的年金や雇用保険を補完する役割があります。
そのため、国は税制優遇というインセンティブを設け、退職金を推奨しているといえます。
退職金から税金を計算する際に、勤続年数に応じて控除できる「退職所得控除」があります。

退職所得控除

例えば、勤続期間15年2ヶ月、退職金500万円の人がいたとします。
その人は、退職金からどのくらいの税金が引かれるでしょうか。

15年2ヶ月→16年
40万円✕16年=640万円
500万円<640万円 ∴ 税金はかかりません

では、勤続期間28年9ヶ月、退職金1500万円の人はどうでしょうか。

28年9ヶ月→29年
800万円+70万円✕(29年-20年)=1430万円
1500万円>1430万円 ∴ 税金がかかります
1500万円-1430万円=70万円
70万円✕1/2=35万円 ∴ 35万円に対して所得税・住民税がかかります

上記の1500万円の人は、退職所得控除よりも退職金が多いので、税金がかかりますが、差額の2分の1に対して税金が計算されます。
このように、退職金には大きな控除があり、さらにその差額の2分の1にしか税金がかかりません。

確定拠出年金の受取金は、退職所得控除の対象

確定拠出年金の受取(一括受取の場合)も、退職所得控除の対象となります。
他の退職金がある場合には、合算されます。

例えば、勤続年数20年1ヶ月、退職金600万円、確定拠出年金残高300万円、積立期間15年3ヶ月(退職時に一括受取)という人の場合

20年1ヶ月→21年
800万円+70万円✕(21年-20年)=870万円
600万円+300万円=900万円
900万円-870万円=30万円 ∴税金がかかります
30万円✕2分の1=15万円
∴ 15万円に対して所得税・住民税がかかります

では、他の退職金ゼロ、確定拠出年金残高651万円(月額3万円)、積立期間18年1ヶ月の人が一括受取する場合

18年1ヶ月→19年
40万円✕19年=760万円
651万円<760万円 ∴ 税金はかかりません

上記のように、他の退職金がなく、確定拠出年金しか退職所得控除を使わない場合には、勤続年数ではなく、確定拠出年金の積立期間(拠出期間)となります。(ちなみに、運用して増えた部分も合算されます)

このように、他の退職金がない場合、勤続年数より積立期間が長い場合など、いくつかのパターンで退職所得控除の計算方法が異なります。
また、先に退職金を受け取って後から確定拠出年金を受け取る場合、その逆でも、計算が異なります。
この話は、また別の機会に詳しくしたいと思います。

受け取り方で変わる、確定拠出年金の税金


確定拠出年金は60歳以降の老後から受け取ることができます。
受け取り方は一括受取(一時金)だけでなく、分割受取(年金)、その組み合わせで受け取ることができます。
それぞれに、税金の計算方法が異なります。

どの受け取り方がいちばん税金がかからないか?も重要ですが、老後のライフプランに合わせた受け取り方を考えることも大事です。
受け取りは一番最後の、何年・何十年も先の話ですが、とても大事な部分ですので、覚えておいていただければと思います。

今回は、退職金と確定拠出年金の税金についてお話しました。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。




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