「人を惹きつける技術」を読んで(キャラクタードリブンな創作の方法論)

この記事の内容

創作のやり方は十人十色。その方法を調べる中で気になった一冊「人を惹きつける技術」を読んだのでエッセンスを紹介。
この本の作者は小池一夫で、有名作は「子連れ狼」。漫画の殿堂「ウィル・アイズナー・コミック・インダストリー・アワード」にも入るほど有名で、門下生に、高橋留美子、原哲夫、堀井雄二など数々の有名創作者の名が並ぶ小池一夫劇画村塾を設立。「キャラが起つ」という言葉は、この人が作った言葉らしい。この本では長年培ってきた方法論を惜しげもなく披露している。内容もだが、書き方もわかりやすく、創作を目指す人(とくに漫画)は一読の価値あり。以下は私が個人的に解釈してまとめた内容になります。

この本のエッセンスを一言でいうと?

言いたいことはシンプルで「物語はキャラドリブンで描け」というものだ。以降でこの主張の意味を説明する。本質的な1章・2章・3章の一部をピックアップ。音声媒体でも出してるので耳のほうがラクな人はそちらで:
https://spotifyanchor-web.app.link/e/tZidPKNwTub

第1章 国境、時代、メディア-ボーダーを超えて異文化と共生する「キャラの力」

ここでは「キャラクター」の定義について語っている。キャラクターとは心と心を繋ぐメディア(媒体)であり、キャラクターという形態をとって、人は世界を理解している。だからキャラクターが大事ということだ。
なるほどたしかに、人はオカルト現象や自然現象を、幽霊や神など偶像化を通して(キャラ付けして)理解してる。そしてそれを誰かに話したり書いたりして共通理解を相手と自分の間に築く。
キャラクターが心に響く理由は、ものごとを理解するわかり良やすい形式こそ、キャラクターで語ることだから、というわけだ。これは人に普遍的なので、キャラクターのポテンシャルは、国境、時代、メディア(ここでのメディアは小説とか漫画とか映画とかを指す)を超えるポテンシャルを持っている。だから、キャラクターさえできれば、ドラマはかなりの部分出来上がったと言って良い。
なるほどね、キャラクターが人を惹きつける性質を持っているのはわかった。では、どんなキャラクターを作れば良い?それが2章の内容だ。

第2章 ヒットするキャラの3角方程式

1章でキャラクターの凄さはわかった。では、どんなキャラを作ればいいのか。答えは「主人公・ライバル・引き立て役」の3つを定義すればいい。ただし共感を持てるように、主人公には弱点・オーラが必要で、一方でライバルは、欠点とカリスマが必要。引き立て役は、主人公の紹介や、物語を回すトリックスターとしての役割をさせる。
これを守ればキャラクターで物語は進められるのか?わからなくはないが、少し腑に落ちない点があった。確かに主人公・ライバル(というか敵役)がいれば対立を物語にできるけど、キャラクターが自走する感じがしない。この疑問に答えるもう一つの要素が次の章で書いてある。

第3章 ヒットキャラがもつ9箇条

9個もあるのかと思ったが、おそらくはじめの1つ目が一番大事だと思う。なぜなら、それがあればキャラが自走して物語が出来上がるからだ。ここではその一つだけを紹介する。それは
 キャラの3つの願いを定義せよ
というものだ。キャラの望むものつまり、キャラクターの目的と行動原理だ。確かにこれがあれば物語は自走する。実際物語の目的とは主人公の目的であり、その道程の経路探索は行動原理から選択されるのだから(強化学習の枠組みを知っていると納得しやすい気がする)。
あとはこのキャラクターが自走する環境さえ定義すれば無限に物語ができるというわけだ。1環境ごとに1シリーズが作成され、同じキャラクターを別の環境へ放り込めば、別の物語が紡がれるというわけだ。

最後に

この記事では、キャラクターから物語をつくるキャラクタードリブンな創作の方法論を紹介した。もっと気になる方は本を見てみるといいと思う。

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