夕べのしるし

車窓の
それはなんとも大きな大きな
所有の難しいガラス窓が
再び何度も目の前をこう
すーっと忙しく横滑りしながら
景色をものすごい速さで後退りする 
こうやって
今もだんだんに引き伸ばされて
見る影もない地下鉄の構内の
苦労のくすみと必ず一緒に見つかる壁
コンクリートで硬そうな壁
いつでも必要な壁を
突然遠くすぐそばへ吹き飛ばして
ガラスに臨むと夕べのしるしが
これもまたすーっと軽やかに
それぞれと役割に合図しながら
ひたすらに重なっては離れつつ
ああまさかこんな青々と暗い光の中で
沈む夕日が明るいとは
それは朝日にも包まれた類似の豊かさで
しばらくすると本当の暗さがやってくる
そう言う人もいるかもしれないが

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