短歌の連作のつくり方
歌集が出ました。
『わるく思わないで』現代短歌社
↑これは発売店情報
歌集の発売記念イベント兼みなさんから短歌を集めようの会をやったのですが、そのときだやさん(𠮷田恭大さん)に、短歌の賞に出すとき、連作をつくってその中の未発表分の短歌をほかに使い回さななかったのか?という質問を受けました。
わたしは絶対に使い回さないのですが、それはけっこう珍しいっぽくて、だやさんの言い方だと「一首一首を大事にしていない」という形になる(それはわたしへの攻撃ではなく単純な事実として)らしく、たしかにいい歌ができたらその歌をどこかで日の目の浴びるところに連れてってあげたいと思うものなのかもな〜と感じました。
ただわたしは連作のつくり方が他の人と同じではないっぽいので、なかなか前につくったいい歌をあたらしい連作に放り込む、みたいなことがしにくい部分があります。
よく言われるのは連作はストーリーだという話で、これは多分厳密にいうとちょっと違うんだろうけど、わたしはあまり連作にストーリー性を持たせたり模擬的に自分の人生を語らせたくありません。
これはもう趣味の問題っていうかわたしがやりたくないってだけなんですが、ストーリーをわかりやすくつけると短歌の一首一首ってなんのためにあるの?と思ってしまって、ストーリーを書きたければ小説書けばいいじゃんって考えてしまうことがあります。それはむかし人から「ストーリーラインをつくるにはストーリーを説明するための歌を入れないといけなくて、その歌は説明のためのものだから良い歌にできない」という話を聞いたことがかなり頭に残っていて、いい歌じゃないのに入れなきゃいけない意味があんまりわからないなって思いました。
だからわたしは連作をムード、色、図形、そういうものから発想してつくっていて、なので連作があまり「連作らしさ」を持っていないのかもしれません。
『わるく思わないで』の4章目にはすこしテーマのある作品を入れています。それもストーリーという感じではあんまりなくて、たとえば「知らない人にならないで」という一番最後の連作は結婚式みたいな場面が出てきますが、あとはかなり色の雰囲気でつくっていて、白にブーケや会場に飾られる花の色味がすこしだけ混じって、あとちょっと空の青、を考えながら連作にしています。
その色の統一感のなかから歌を引き抜いて他に入れちゃうと違う色が混じるので、わたしのなかでは整合性が取れなくなるという話で、だから賞に出すときの歌の使い回しができないのでした。
ちょっと何言ってるかわかんないかもしれないんですがいま思ったので書き留めておきます。よろしくね。歌集めちゃくちゃ買ってね。