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--Vol.4 リゾートバイトいってきます--

フリーターの僕が映画監督になるまで Vol.4

映画「百万円と苦虫女」の出会いによって、営業サラリーマンを辞めた僕は、箱根の旅館にリゾートバイトにいくことになりました。

住む場所は、旅館の近くの寮でした。
箱根駅伝のコースの本当すぐそばでしたね。

女子寮はめちゃくちゃキレイなんですが、男子寮はめちゃくちゃ汚くて、部屋に入ると、天井の角にてんとう虫がめちゃくちゃ溜まっていたのがいい思い出です。

リゾートバイトって、めちゃくちゃ女性が多いんです。
その女性たちは、多くの人が日本でリゾートバイトでお金を貯めて、貯まったら海外に行き、お金がなくなったら日本に帰ってきてを繰り返している人が多かったです。
((後半では、せっかくなので、リゾートバイトについても書いてみました。誰かの参考になれば嬉しいです))

ー写真・小説・物語との出会い

「箱根に行く」となったとき、絶対に時間を持て余すと思った僕は、何かをはじめようと心に決めました。
これは本当に閃きだったのですが、前職を受けた理由に「自分の足跡を残したい」と言いましたが、"別の形でそれを叶えられるものは何か?"と考えたとき、「写真だ」と思いました。

写真は形に残る。それが評価されたら、自分の撮った写真(足跡)が物質として世の中に残せると思ったのでしょう。
これが僕にとっての、アートとの出会いです。

一つ。映像をやっていこうと思ったら、写真をやっていて損はないです。
かっこいいことをいうと、この世界を写すということをすぐにはじめられるのが写真です。
そして、最も大切なことはその世界をフレームの中に収める能力を培うことができます。一枚一枚の美しさをつくるために、時間をかけて撮影する。
これが写真をやる上で一番大切なことかもしれません。
(でも大体みなさん、やってますかね)

すぐにヨドバシカメラでカメラを買いに行ったんですが、デジタル一眼レフがめちゃくちゃ高かったんです(笑)絶望しました。

値段が一番安い一眼レフカメラを探して、買えそうなやつがニコンの「FM10」でした。こうしてデジタルではなく、僕はフィルムカメラを買うことになります。

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最初はピントの合わせ方もよくわからない、フィルムの種類もわからない状態でしたが、シャッターを切るのが本当に楽しかったです。
あのジョンレノンが泊まったと言われている富士屋ホテルの隣に写真屋があるのですが、そこで古いフィルムをよく買って撮っていました。
お店のおばあちゃん、元気かな。

しょうもない写真が残ったのはいい思い出です。

↓ちょっと残っていたその頃の写真。
人を撮ってみたくて、手震えながら勇気を振り絞って撮らせてくださいと言ってOKもらったのに、ピントが全く合ってなくてショックだった。

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リゾートバイト先で、フィルム写真をずっとやっている人がいて、その人にオススメの写真集を聞いたら「センチメンタルの旅・冬の旅」は絶対買ったほうがいい』と言われ、それが僕の最初の写真集になります。

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その他にも、小説にハマりました。
最もよく読んだのは、重松清さん、辻村深月さん、東野圭吾さんです。
重松さんの「きみの友だち」という本は、小説史上一番涙を流したものでした。本当に嗚咽が出るぐらい、泣いていました(笑)

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この本で、僕は"物語をつくる"ということに、すごく魅力を感じるようになります。影響されやすい僕は、自分でも物語を書いてみたい・つくってみたいと思うようになりました。

でも当時は、「小説家」や「映画監督」という職業にかなりのハードルを持っていました。そんなのになれるわけない。夢物語でした。
それにはなれない。じゃあ何がいいのか?と思ったときに出会ったのが、
雑誌「SWITCH」でした。

何かを探すために、箱根バイトの休みの日は小田原まで下り、本屋によく行っていました。その時はスマフォではなかったしパソコンもなかったので、情報といえば「本」に頼るしかありませんでした。
写真専門誌、SWITCHやCUTの文化人インタビュー誌、POPYEやHanako、BRUTUS、写真集、建築雑誌など、とにかく本の立ち読みをひたすらやっていました。自分が"いい絵を生み出せる"という自信があるわけではないのですが、最低限のレベルは、写真をやっていたり、雑誌の中の、作りあげられた写真のビジュアルに触れ続けていたからなのかな。と思います。
(箱根から帰ってきてからは、国会図書館で写真家の写真集なども読み漁ってました)

「SWITCH」は俳優やミュージシャンなど、ジャンルに囚われない様々な著名人を特集で取り上げて記事にしていて、とても魅力的でした。
写真もかっこいい。
"これだ! 小説家や映画監督、(ましてや俳優)にはなれないけど、そういう人たちに触れ合い、インタビューして記事を書くライターはいけるかもしれない!"そんなことを思っていました。"もしくは、「SWITCH」のカメラマンかな"とも・・・・ ※ライターさん、カメラマンさんに失礼。

当時はじめて買った雑誌SWITCH↓

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「SWITCH」はよく映画の特集もしていたので、後々映画を沢山見ていくきっかけになったのはこの雑誌のおかげかもしれません。
インタビューで、監督や俳優がその映画に対しての想いや考えを語る姿や文に、かなりの感銘を受けていました。
"映画って、こんなに深いことを考えて撮影しているのか・・・"
それまでスクリーンの表面のみでしか捉えていなかった映画というメディアの印象が180度変わりました。
「顔に恵まれた人たちが、キラキラで派手で目につく職業を選んで自由にやっているんだ。いいなー」っていぐらいの感覚でいました。
彼らは彼らで、本気で「ものづくり」をしているんだということが分かったのです。

まとめ
・時間を持て余すとわかり、色々なことに手を出そうと思ったこと。
→偶然の思考回路から写真に出会ったこと / 小説 / 沢山の雑誌との出会い
・写真撮影でフレーミング・絵をつくるということの実践
・雑誌「SWITCH」との出会いで、映画をつくることの深さに出会ったこと

次回 Vol.5は、箱根から実家(埼玉)に帰り、様々なバイトをしながら自分の生き方を模索していく回です。
ライターになりたいと思った僕は、どんな行動をしたのでしょう。 
またよろしくお願いいたします。

  桜屋敷知直  1986年生まれ
bird and insect / Direcor (写真・映像の制作会社)
https://bird-and-insect.com/company/

映画「雨とひかり」公式サイト
http://ame-to-hikari.com/


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ー番外編ー     リゾートバイトの生活

少し番外編でリゾートバイトのお話を少し。
(映画全く関係ないので、興味ない方は見なくて大丈夫です〜!)

"ぶっちゃけどうなの?"という方のために。

リゾートバイトはとても楽しいです。
ただご自身の性格や目的によって、場所や仕事のポジションは慎重に選んだ方がいいと思います。

僕はナイトスタッフとして働いていました。
ナイトスタッフは、名前の通り夜の時間帯が主な出勤時間です。
普通のスタッフさんが朝昼〜21時ぐらいまでなのに対して、ナイトスタッフは22時〜朝の7時ぐらいまでの時間で働きます。

友達をガンガン増やして楽しみたい!という方は、昼間の時間帯の方がスタッフも多いですし、夜飲みに行けたりするのでそちらの方がおすすめです。

お金を稼ぎたい、そこまで友達をつくりたいという気持ちがない人は、ナイトの方が良いです。時給も少しアップしますし、ナイトはスタッフも少ないからです。強制的に飲み会なども行けなくなるので。

基本的に、仕事をしたら朝帰って自分の部屋でまず寝る。
起きて好きなことをする。という生活サイクルでした。

僕は大勢で集まったりするのが苦手なので、ナイトスタッフは本当に居心地が良い職場でした。
たまに、ナイトスタッフのリーダーがレンタカーでドライブするのが好きで、朝仕事が終わって少し仮眠したら、天気の良い日にドライブに連れて行ってくれました。スカイラインや、地元民しか知らない辺鄙なところにあるお茶屋さんなど、懐かしいなぁ。人生であれほど助手席でドライブを楽しんだ日はないかもなぁ。

ちなみに僕が勤務したナイトスタッフの仕事内容は、
夜にチェックインするお客様のご案内、次の日の予約チェック、夜の館内見回り(これが結構怖い...)、という感じです。ナイトは、怖がりの人は無理かもしれません....

リゾートバイトをする場所選びも大切ですね。

箱根の奥の方だったので、コンビニは21時とかに閉まるところも多くて、且つ30分ぐらい歩かないとない環境でした。
(もちろん電車を使えば少しは早いですが、電車でコンビニに行くって結構億劫ですよね)

場所を探すときに、リゾートバイトのスタッフさんが色々と環境を教えてくれるので、よく聞いてみると良いです。
ただ、せっかくリゾートでバイトするのですから、普段の自分の生活環境とは違ったところに行きたくないですか?

僕は箱根の登山鉄道の駅近くの旅館で働いていたのですが、(寮もそこ)
休みの日は2週間ぐらいに一度、一番近い「小田原」まで降りて、文化と触れ合うようにしていました(笑)
ケンタッキーとか、マクドナルドとか、CoCo壱とか、都会でしか味わえないものをw(若かったので)
そして本屋へ寄り、雑誌や小説を買って山に帰るのです。

それぐらいのバランスが撮れる場所が個人的にはベストですね。

あとは、その時のリゾートバイト仲間が言っていましたが、あまりに田舎のところに行くと、やることがなさすぎて、男女の関係がかなり増えるそうですw
酒・男・女、小説のような話を聞いたことがありますw

あと最後に一つ、リゾートバイトは変わり者が多いですw
特に男性に多いかな。

そして、女性は"強い"方が多い印象w

あくまで個人的見解です。

若い方には、オススメのバイトですね。
住むところは用意されているし、仕事ができるし、よくいう「自分探しの旅」としてはとても良いと思います。

それでは、また!