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言葉の宝箱 0453【それはあたしの人生じゃないと思った】


『笑う招き猫』山本幸久(集英社文庫2006/1/25)


男と並んで愛を誓うより女と並んで笑いを取る。それが二人の幸せ。
駆け出しの漫才コンビ『アカコとヒトミ』は
超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けず大失敗。
おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り飛ばして大目玉。
今は全然冴えないけど、いつかきと大舞台へ。女性漫才コンビの青春小説。小説すばる新人賞受賞作。

文中の“世田谷線”を称える唄が受賞の決め手となったとも云われている異作でもある。

・「あんたら怖いんだ」
それは魔法の呪文のようだった(略)
アカコの一言が、彼らを恐怖の谷底へと突き落としてしまったのだ。
絶対に負けるとわかっていて、
リングに無理矢理立たされた噛ませ犬のボクサーのようだった。
大丈夫か、こいつら(略)
図星なのだ。彼らは恐いのだ。何かが。そう、舞台がだ P116

・OLやっていればそこそこのお金もらえるし
適当な相手をみつけて結婚だってできる。
平凡だけど人並みの幸せはつかむことができますよね。
それをかなぐり捨てて、
漫才なんかやるのってすっごいじゃないですか P222

・やっぱり金だったりするんだよな、人は P223

・理由はあった。
それはあたしの人生じゃないと思ったからだ P229

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