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言葉の宝箱 0416【快適に互いの関係を続けるには、二人は手頃】


『水の中ふたつの月』乃南アサ(文春文庫2003/11/10)


小学生の時の仲良し三人組が偶然十数年ぶりに再会した。
スケジュール帳を一杯にしたがるOL亜理子、
頻繁に手を洗わないといられない梨沙、見栄っぱりで嘘ばかりつく恵美。
三人の過去が少しずつ掘り起こされ、あの夏の日の封印された事件が蘇る。心理サスペンス長編。

・何の用事もない、
暇な一日がぽっかりと出来てしまうのが、何より嫌だった。
だから、相手からの突然のキャンセルが許せない。
不安でたまらなくなってしまう。
とにかく常に次から次へと予定を入れて、その週が始まる頃には、
またもや「忙しい一週間」が始まることが、亜理子には大切だった。
急な誘いがあっても、すぐには応じられないことが多かったが、
それでも暇になってしまうよりはずっとましだった。
それだけのたくさんの用事を入れるためには、適当な数の友人に加えて、
ある程度特定な関係にある相手が必要になる。しかも複数だ(略)
いつも会えないからと相手を責めることもせず、
快適に互いの関係を続けるには、二人は手頃 P14

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