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言葉の宝箱 1109【自然が壊されるにつれ、人の心も荒廃の一途をたどっていくのが常なのだ】

『ダークブルー』真保裕一(講談社2020/3/23)

海洋調査を専門とする日本海洋科学機関、通称JAOTEC(ジャオテック)のパイロット・夏海ら潜航チームは天才科学者、奈良橋教授の開発チームと共に、潜水調査船『りゅうじん6500』に搭載された新型マニピュレーターの検証実験のため、フィリピン沖に向かうが、突如武装集団の襲撃に遭い、母船が占拠、船員を人質にとられてしまう。彼らの目的は深海の沈没船に隠された、世界を変えうる力を持つ宝のサルベージだった。仲間の命を救うため、夏海は調査船に乗り込み、銃を突きつけるシージャック犯と友に、暗く蒼い海の底へと生死をかけたダイブに臨む。深海エンターテインメント。


・水深六千五百メートルまでなら、人は潜っていくことができる P4

・男女の間に、論理に貫かれた方程式など存在しない P16

・立ち位置の違いから生じる不満が激突して火花を散らし、
互いの気持ちが信用できなくなった P18

・近代化と引き替えに、村は多くの大切なものを失った。
自然が壊されるにつれ、
悲しいかな人の心も荒廃の一途をたどっていくのが常なのだ P23

・体が動かなかった。
恐怖が手足を凍りつかせていた P85

・研究者という人種は、
あらゆるマイナス要因を排除することで
成功へ近づこうと考えるものなのだ P110

・研究者はあきらめが悪いほど、成功を手にできる P133

・不幸な現実に抗うため、銃を手にする若者は世界各地に存在する P139

* “ ストックホルム・シンドローム ” という現象が思い起こされる。
監禁された人質が、時間の経過を経て、
犯人に同情心を抱くようになっていく心理状態のことだった。
彼らに気に入られれば、自分は助かる。
その保身の感情が、犯人への理解を生んでいく P140

・人は慣れてしまう動物なのだな P148

・相手をだまして自分の利益につなげる時には、
とことん本気を出せる人だった P158

・苦境にあるからこそ、正直な思いが口をついて出たのだろう P164


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