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言葉の宝箱 0539【どんな人生を歩んできたかは顔に出る】


『食っちゃ寝て書いて』小野寺史宜(角川書店2020/5/29)


食うと寝ると、もう一つ大切なこと。
作家の横尾成吾はここ数年鳴かず飛ばずの状態。
「50を前にそろそろ出版社から声が掛らなくなるのでは」との
不安を感じていた矢先に担当編集者からボツを食らい、
不安に拍車がかかる。
書くことを何よりも優先し、
ずっと一人で生きてきた横尾は友人の弓子の思わぬ告白もあり、
今後の自分の身の振り方を考え始める。
一方、横尾の新しい担当になった
井草菜種はこれまでヒット作を出したことがなく、
もう後はないと気は焦るばかり。
菜種は自身同様長く停滞中の横尾と本気で向き合い始める。
先の見えない時代に自分を信じて歩む
売れない作家と若手編集者の再生物語。

・小説に、書いちゃいけないものなんてない。
でも、書いても無駄なものは、あるんだよね P25

・人と人の関係は、いつだって一対一。それ以外はない P42

・無駄に想像はしない。
無駄に休まない。無駄に求めない。無駄に守らない(略)
無駄に想像はしない(略)
先のことをあれこれ想像してくよくよするなという意味(略)
無駄に休まない(略)
ダラダラするな(略)
無駄に求めない(略)
高望みをするな(略)
無駄に守らない(略)
守りに入るな P52

・作家は(略)二種類に大別される。
ほかの何にでもなれたのに作家になるのを選んだ者たちと、
作家になるしかなかった者たち(略)
文字ならたいていの人が書ける(略)
誰でも作家になれる(略)
誰もがすでに作家なのだ。
あとはそれを自認するかしないか。
書き出すか書き出さないか。それだけ P58

・二作めというのは重要なのだ。
その作家の本質がわりと素直に出る P74

・終わることで始まる関係もある P125

・バカじいじ。バカなのに真っ当な感じがする P128

・読者は登場人物に共感したがる。
なかには、そこを最優先に考える人もいる P149

・本気なのか冗談なのかわからない。と思っていると(略)
笑って言う。「なんてな」あぁ、と思う。
本気なのだと。冗談に見せた本気だ P206

・大事なのはマッチングなのだ。
それはカップルだけに言えることではない。作家と読者もそう P208

・どんな人生を歩んできたかは顔に出る(略)
たまに、真顔が笑顔のおじいさんやおばあさんがいる。
とても感じのいい人たちだ。
確かにいい人生を歩んできたんだろうな、と思わされる。
持ち前の人格、それが第一ではあるだろう。
そこに様々な要素が加わって、そんなふうに歳をとることができる。
その要素の一つに、裕福、があることも否定できない。
ある程度の裕福さは、やはり心の安定や余裕につながるのだ P232

・たいてい浮気されて終わる。
わたしはまったく縛らないのがよくないのかも(略)
人間、ちょっとは縛らないとダメなんだね P257

・売れる本とは何か。
ニーズのあるもの。いい本とは何か。長く残るもの。
いい本が必ずしも売れるわけではない。
でも売れた本がいい本だということはできる(略)
たとえ一時的だとしても、多くの人たちの心をつかんだのは確かだから。
それをいいことと認めないわけにはいかない P283

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