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言葉の宝箱 0547【なにかを祈るよりは、達成のために動きだすことを選ぶ】

『花の下にて春死なむ』北森鴻(講談社文庫2001/12/15)

年老いた俳人の片岡草魚が自分の部屋でひっそりと死んだ。
その窓辺に咲いた季節はずれの桜がさらなる事件の真相を語る
表題作をはじめ、ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤が
謎と人生の悲哀を解き明かす。
第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作。
『花の下にて春死なむ』『家族写真』『終の棲み家』『殺人者の赤い手』『七皿は多すぎる』『魚の交わり』6話連作短編集。


・基本的な方角さえ外さなければ、
いつかは目的地に辿り着くのが城下町のいいところ P31

・人はいざとなったら悪魔にでもなんでも、なれる動物だね P68

・自由が孤独に変わった瞬間から(略)
別の感情が生まれた P102

・カメラマンの手に掛かると、道端のゴミでさえもテーマになりうる。
そこに、写し手の感情がうまく同化できさえすればいいのである(略)
受手の感性がうまく作品をキャッチしてくれなければ、
失敗作といわれても仕方がない P115

・人は、そう簡単に死ねるわけじゃありません。
少しでも可能性の高いところに身を置いて、
死を願うことが、精一杯というのが、人として自然じゃありませんか P136

・祈り、願い、願望、希望、切望、憧憬。
人が長い人生の中で口にする、
こうした言葉のうちのいくつが現実になるのだろうか。
きっとそれはあまりにささやかな数量に違いない。
だからこそ、「宗教」とはとても言えない軽くて、
ややもすれば無責任な気持ちで、人は信仰を求めるのである。
占い然り、まじない然り P146

・なにかを祈るよりは、達成のために動きだすことを選ぶ P159

・空って雲があったりして、はじめて本当の空なんでしょう P265


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