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3分で済ませないで、3時間考え、対話する場をつくろう

はじめに


現在までマーケティングや経営セミナーは数多くあります。
ただ、その内容は、現場で一緒に汗をかきながら作り上げたものではなく、書物の翻訳や表層の理論だけのものも多いと感じています。
そこで、現場で15社の方々と実践した商品開発や事業開発の経験をベースにして、これまでにないプログラムを考えました。

センスメイキングや知識創造アプローチをベースにして、予定調和にならないで,まず自ら感知(体感)して、組み立てて、相互に対話し、それを表現する作業によって、【21世紀スキル】を身につけようというプログラムです。

今回は、そこに至るまでの考え方・プロセスを紹介いたします。


まずは、テーマとして
【マーケティングは、人間の生き方を問うことができたか!】
Whyを考えることから始まります。

マーケティングは、人間の生き方そのものであり、夢を語り、目的パーパスを創出することからです。

1.吉田松蔭の言葉から学ぶ夢

今回セミナー&ワークショップを作成するにあたり、あの明治維新の礎をなした、吉田松蔭先生の松下村塾を怖れ多くも意識しました。

"夢は人を動かす力を持つ"
「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。
ゆえに夢なき者に成功なし。」

「学問とは、如何に生きるべきかを学ぶものである」と吉田松蔭先生は松下村塾で問い続けました。

2.京セラの創業者故稲盛和夫さんから"人生を語ろう"


「企業のトップの責任でしょうね。企業のトップが社員に対して,経営哲学や経営の目的を示していないのが問題だと思います。
どういう風に経営することによって全社員が幸せで充実感ある会社人生を送っていけるかという哲学を説いていないからでしょうね。(中略)
最近は、会社経営を含めて,自分の人生について,どうあるべきかという根源的な問いをあまりしないのでしょうね。それが問題ですね。
本来は,経営者も社員も、「人間として何が正しいのか」を判断基準に行動すべきです。」
(「日経ビジネス」2018年1月8日号)


3.現在の日本の経営者の夢 purposeは構想力不足


構想力とは、よい【問い】の力でもあります。
本質的な問いを立てることで社会やビジョンについて観察、対話、推論を促すことで、新しい世界を考察することです。(※以前のnoteで言及しました。)

直近。2024年4月1日、日経朝刊の第一面に掲載されたタイトルは、
"夢を語り始めた経営者"
122社中121社が経営者として夢があると回答したと報じられました。

社会的存在意義を、経営者は自分の言葉で夢を語り、それに共感を引き起こすことだと日経には書かれてありました。
 しかも、日経では、"停滞の30年で蓄えた人材や資金、技術を武器に世界で日本企業は勝負する"とかなり鼓舞しています。

【本当に,構想力のある企業の夢なのでしょうか?】

その社長の言葉から出てくる最も多い言葉は、【世界第一位を目指す】【社会課題解決】です。
その内容を具体的にみてみましょう。


三菱地所:丸の内を圧倒的に魅了的な空間に、【世界一】のビジネス街に

クボタ:「食料・水・環境」の事業領域でリーディングカンパニーとなり世界中の人々を支えるプラットフォーマーに

サントリーホールディングス:缶入りアルコール飲料市場での【世界一】への挑戦。

ダイキン工業:世界中の人々に快適で安全な空気感を届ける

住友化学:イノベーションの先兵だ。

ローソン:アジアの「GAFAL(LAWSON)と言われる存在に。

日本マグドナルド:B I GMAC指数が欧米に肩を並べる水準に

西武ホールディングス:住みたい街で所沢が、リゾート地で軽井沢が【ランキング1位】に。世界のベストホテル50に運営するホテルが8ヶ所入る。

三井不動産:宇宙規模での街づくり

(日経4月1日第5面から抜粋)

などです。

これら122社の代表的な夢やビジョンをじっくりみると、
①目的と手段の履き違えとも思われるものがないでしょうか!
②目的 パーパスは,共通善→社会的便益を満たしているのでしょうか!

独りよがりのNo.1宣言では意味がないでしょうね。

夢とはビジョンに極めて近く、企業のパーパス(目的)とも類似しています。
そこにはストーリー 物語り・ナラティブが必要です。
しかし、この記事には省略したのか、各社は明示化してはいません。

4.世界の企業はナラティブを重視
・・・世界企業は、物語化にウェートを置いている


海外の企業に目を向けてみます。

ケース1
LEGO:ひらめきを与え,未来のビルダーを育もう
「私達の究極の目的は、子供たちが創造的に考え、体系的に論じ、潜在能力を引き出して未来の自分を形作れるようにひらめきを与えて、育むことです。子供達には、終わりなき可能性を追求して欲しいと考えています」

LEGO社のこの夢 ビジョン パーパスは、世界中の親に共感を与え、価値を共有化し、従業員を参加させ、ビジネスモデルを明らかにしました。

※未来への想像が現実との比較から明らかになっています。何よりビッグピクチャーを「物語り」としています。

ケース2
テスラ
「私が主要かつ矛盾のない持続的な解決と信じる、資源を掘って燃やす炭化水素経済から、太陽電池経済への移行を促進することです」

様々な狂気的発言のマスクですが、ポイントは、経済が太陽系エネルギー、太陽系経済の提唱にあったことです。
経済を,地球だけでなく、火星、木星を含む太陽系を対象領域にしている。
イーロンは,人類の可能性を広げる構想知が高い。

いかがでしょうか?
日本企業のスローガン的言葉が踊っているのと比較すると、この2社だけでも、骨太な構想力を感じませんか?

5.野中郁次郎先生から「現在は【WHY】を深く考えることが求められている」


一橋大学野中郁次郎名誉教授の先日3月23日の話を以下に抜粋します。
(一橋講堂にて、一橋大学名誉教授米倉誠一郎の最終講義から)

以下の5つのポイントの根源にあるのは、人間存在そのもの在り方を考えることではないかと、私は感じました。

その1)
コンセプトを生み出す作業(創造)こそが生涯続けていく。

その2)
戦略とはナラティブである。語りつくす。(ストーリーメイキング)

その3)
事実をそのまま書くことだけでは、コンセプトは出てこない。事実からは、【ロマン】は出て来ない。

その4)
(戦略立案に於いて最重要なことは)Whyであり、生き方、何の為に生きるのかが大切である。
・・What何の企画かを問うよりも、Whyは難しい。
生き方は数値できない。身体性である。かつ主観である。(最近purposeと盛んに言われているが)

その5)
何の為にを追求していくと楕円形になり(円環ではない)しかも止揚(アウスヘーベン)する動的ダイナミズムが生じる。


決定的に、現在の日本企業の企業・経営者に希薄な視点は、(その4)のwhyを深く探究しないことではないでしょうか。

最も重要なWhyを十分に全社員で問うていない。
夢を語るには、その背後の無意識にある暗黙知の質を高めることが必要でしょう。
そうすれば(その3)の事実で見えるものだけでなく、【ロマン】を感じ、そして(その2)物語り ナラティブになるのではないでしょうか!

そんなことを考えながら
ビジョン思考,センスメイキング、主観、共感を引き起こすストーリーメイキング法に関して、現在、弊社で動いている15社の企業の方々と対話しながら、独自に【21世紀スキルのセンスメイキングセミナー&ワークショップ】を作成してみました。
次回はその概要をご報告いたします。

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