なんちゃって留学 よもやま話12 ~短期留学とフランス語力について
なんちゃって、の短期留学で語学学校にいたのは25日間くらいだけだったが、この時の学業面について思い返してみた。ついでに、その時のテストについても。
ところでフランス語は上達したのか?
短期ではあっても一応語学留学なので、フランス語能力の向上を目的としてフランスに行ったわけだが 、実際どうなのかを思い返してみると、残念ながら語学力が高まったという実感はあまりない・・・。
もちろん、フランス語の勉強はどうでもいいやと思っていたわけでは「全く」ないが、それ以上に刺激的なことがたくさんあり過ぎて(と言い訳してみる)、フランス語の勉強は二の次になってしまった、というのが本当のところである。
ただ、そもそも「フランス語能力の向上を目的としてフランスに行くのが短期留学」という設定自体が、少し違うのかもしれないとも思った。ここで一度、この短期留学のメリットと、デメリット(というよりも、要改善点)を考えてみた。
【メリット】
<フランス語を話す機会、触れる機会が増える>
短期でも、「フランス語の世界に身を移す」ことでの最大のメリットはこれ。当たり前ですけど。でも、これは本当に大きい。
学校の授業はもちろんのこと、買い物やホテルの予約をする場面で、否が応でも使う。また、お店や駅にある掲示板のフランス語が何を言っているのか理解しなければならない局面や、なんとかしてこちらの意思を伝えたい時もある。
フランス語の上達、までは感じなかったけれど、そもそも一番のメリットはこの「なんとかフランス語で意思疎通しなければならない状況に身をおく」部分なのかな、と思う。
これを通じて「やっぱり私、全然フランス語できてないわ」ということを痛感して、さらに勉強しようと思えたのもよかったのかと。
<様々な国の人たちと触れ合い、「違い」を肌で感じられた>
生まれも育ちも日本、両親もド日本人であるドメスティック人間の私は、「日本の常識と、ほかの世界の人たちは常識が違う」ことを頭ではわかっていたが、これを肌で感じることができた。常識、というよりも、考え方やそのスタンスが全然違うんだな、という感覚だろうか。
短期留学は、外国語を学ぶということよりも、「異文化に直接触れる」ことが、一番大きなメリットかもしれない、と思う。
※先生とクラスメイトたち。フランス、イタリア、ベルギー、オーストリア、スペイン、日本・・・みんなちがって、みんないい。
「多様性」を尊重するという流れは、この間の東京オリンピック・パラリンピックでも強調されていたけれど、バックグラウンドが違えば考え方や価値観も違う。
いい悪い、ではなくて、そういうもんだと受け入れた上で、お互い尊重し合い、共存する。授業中にクラスメイトと話をした内容を思い返すと、そういう違いの中で生きていく感覚、みたいなものには少しだけ触れられたかな。
これは、ナショナリティが違う者同士に限らず、日本人の間だって同じことだとつくづく思う。SNSでの誹謗中傷など何かと世知辛い世の中、自分の価値観に固執しないで、おおらかな心で生きられるようになりたいもんだ。まさに「禅」の心ですな。
(フランス人は「禅」のミニマムな考え方が好きらしく、パリなどの街角には「ZEN」の瞑想会(座禅会?)のチラシなどが貼られていたりした)
【デメリット というか要改善点】
上記したように、語学の上達は今一つだったものの、それはそれ、それ以上にものすごくいい経験ができたと思っている。ただ、もっとこうすればよかった・・・と思った点について。
<日本人同士でつるみ過ぎた>
これは、日本人留学生あるあるの、よくないところ。特に私の場合、同じ大学のメンバー17人で一緒に行った、ということもあり、留学期間の大部分は日本人と一緒にいた。その間日本語を話しているわけなので、せっかくフランスに行っているのに、そのメリットを最大限に生かすことを妨げる要因になってしまった。
・解決方法:
日本語をできる限り話さない、日本人とは一緒にいない、という決意をもって望み、実行する。留学の体験談を読むと、この決意を守って語学力を向上させている人がちゃんといますよね。
そんな強い気持ちは持てなさそう、というのならば、物理的にあまり日本人が行かない、日本人の少ない学校を探して行くのもいいかもしれない。
それと、私が本当はやりたかった、フランス人家庭でのホームステイ。これなら間違いなさそうだ。
<期間が短いので「何を勉強したんだ?」という感じになってしまった>
私自身、あの時は海外に語学留学して、なんとなく語学力アップして何か掴めるかも、という漠然とした思いだったと思う。語学の勉強の面では、行ったら何をしたいのか、などということはほとんど考えていなったという点が、問題だった。
・解決方法:
せっかく行くのだから、単なる箔付けではなくて、この短期留学で何をしたいのか、出発前に具体的に、ひとつでもいいから目標を考えていくといいのではないかと思う。なんでもいいと思うのだが。
まとめると・・・
問題はあったけれど、短期でも、やっぱり行ってよかった。
久しぶりに色々思い返してみて、この時「初めて」の経験をたくさんしていることに改めて気が付いた。日本にいたらできなかったこと・感じられなかったことを、たくさん経験できたということだ。
迷っているなら、ぜひ行ってほしい!人生の中の、大きな一つの経験になるのは間違いない(ちょっと大げさすぎたかな?)。
短期留学中に語学力を上げる、というよりも、今ある実力の中でフランス語をめいっぱい使う(授業中率先して発言するとか、フランス語で人に話しかけるとか)ことを目標にした方がいいかもしれない。語学の上達には、地道な自分自身の努力が必要ということ。近道はない!
【おまけの話~テストについて】
フランス語書き取りはなかなか難しい
語学学校の間、たしかテストは週に2回あった。文法問題やディクテ(聞き取り)、テーム(作文)など。
フランス語学習では、このディクテがとても重要視されている。というのも、フランス語は語尾にあるアルファベットを原則発音しないので、スペルを覚えておかないと単語の書き取りが正確にできないのだ。
それとご存じの通り、フランス語の名詞には男性形・女性形がある。英語とは違い、形容する名詞に合わせて形容詞も女性形/男性形に変化させなければならないし、加えて、単数/複数かも反映させる必要がある。
その上、発音上は違いがあらわれてこない場合もあったりするので、ここら辺がフランス語の書き取りを難しくしている要因になる。
100点満点ではない
それから日本と違うのが、満点の点数。
フランスの満点は20点なのだ。
※ある日のテスト。真ん中に赤字で18.5/20と点数が書いてある。
なぜ20点満点なのか。
20は「vingt ヴァン」と発音するが、フランス人にとって大切なもの・完全なるものであるぶどうからつくるワインも、20と同じく「vin ヴァン」と発音する。そのつながりから「完全なるもの=満点」になった、という。あくまでも一説だが、昔、そんなことを聞いたことがある。
フランスでは数え方も20を基礎にしているし(例えば80は4×20 quatre-vingts と考える)、やはり20には特別な何かがあるのだろう。
カトリックの聖歌、♬キリ〜ストは〜ブドウの木〜、私はその枝のひーとつ〜♬という歌を思い出した。ミサでの「御血」はワイン。これもブドウ=完全なるものの象徴、としての現れなんじゃないかと思う。
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