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仲直り

「ずっと踊りが嫌いだった。」

もっとこう踊りたい
もっとこんなふうに佇みたい
こんなふうに手を動かしたい
こんなふうに足を上げたい
もっと。もっと。

19歳で踊りをはじめてから、そんなことを一日中考えて、夢の中でも踊ってた。
風呂なしの築何十年??とゆうボロアパート(その名も'あらい壮,)に住み、毎日閉店ギリギリの銭湯にダッシュし、帰りは必ず湯冷めする。(おばちゃん入れてくれてありがとう)
宇宙やエネルギー、気の力とかが好きで、立ってるだけで宇宙までいけないのかな???とかぶっとんだ事を考えたり、「宇宙までいく!」と決めてずっと立ったりしていた。
ダンスってどこで練習すればいいのかわからなくて、ビルの窓の前(警備員さんに追い出される。)、病院の窓の前(怖すぎる。)、公園や空き地(不審者すぎる。)で練習をした。
こうゆう場所で練習するのはだいたい夜中で、外から見たら、変な動きをしてる妖怪みたいなただの危ないヤツだったと思う。

家に帰れば、自分の想っていることをノートに書きまくり、どんな踊りがしたいのか書き出すものの。。。。理想と現実は程遠い。
一体この煮えたぎる想いをどうしていいのかわからず、「そうだ!声に出してみよう!」と1人ブツブツ独り言の末。。。。。。

ついに見えない存在に相談しだす。。。。。。(もはや狂気)

いろんな意味で、かなりキテいる。

だけど、当時の僕はそんなふうに踊りと関わってきた。

23歳の時に、知り合いがやっているアイリッシュパブでダンスパフォーマンスをやらせてくれることになり、そこで仲間と作品を発表したり、即興で踊ったりを何年か続けた。
踊るのももちろんだけど、自分がチラシになったり、自分達を観る為に色々な人達が来てくれるのも嬉しかった。(この頃助けてくれた人達には感謝が止まらない。。)

そのあたりから少しづつ仕事を頂けるようになって、それからは色々な場所で踊った。

色々な振付家の作品や、イベントに出演しながら、劇場やイベントスペースなどを借りて、ソロ公演や仲間と一緒にイベントをやったりした。

少しづつ自分の名前が知られるようになり、仕事もたくさん頂けるようになっていた。

その頃の自分にとっては有り難すぎる状況。


**でもいつのまにかズレてた。 **


色々な現場を経験したり、知識を学んだりすることで、いつのまにか自分と周りを比べるようになっていた。
周りのダンサー、振付家を心の中で見下し、なにを見ても文句ばっか。
20代の尖り最高潮。THE妖怪尖り男最高潮。
とにかく目に入るものすべてを敵に回し、文句を言いまくる。「とにかく周りのダンサー全員殺す!」と思っていた。(今考えれば、殺すの意味もわけわからんし、まずオマエ、見下せる程踊り上手くねーだろ。アホか。と思う。マジでその頃の自分の靴の中に大盛りのうんこを入れてやりたい。間違いなく大盛りだ。)

どんどん踊ることがキツくなっていった。

舞台で踊っても、自己否定の塊。
ソロ公演をしても、自己否定の塊。
公演後、挨拶する為にお客さんに会うのすら、恐怖。
否定的な言葉なんて結局言われないのに、勝手に恐怖。
褒められても、恐怖。
妖怪恐怖の男。

僕はだんだん、踊りが、嫌になっていった。

踊る意味もわからなくなり、自分にとっての踊り自体を疑った。

その時入っていたすべての仕事をキャンセルし、毎日スタジオに籠って、上手い!と思うダンサーの真似をし尽くした。
それも半年程でやり尽くし、もうやることなんもないなぁ。。。。と思った時に想った。


**「俺は?????」 **


それからは、自分の踊りを探した。
踊りまくった。


でも、見つからなかった。


結局それから仕事を再開し、また踊り始めた。

➖➖➖

あるとき1人の人に言われた。

「よーちゃんの誰にも負けないところはどこ?」

頭で考える必要もなく、僕はパッと答えた。


「じゃあ、それ、やればいいじゃん。」


「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」
「じゃあそれやればいいじゃん。」


「じゃいあん。」


「じゃいあん?」


「ジャイアン。」


「ジャイアン??」


「うん。ジャイアン。」


「うん。ジャイアン???」


「ほんとにジャイアン????」


「ほんとのジャイアン。」


「ジャイアンうそつかない?????」


「ジャイアンうそつかない。」


「すきなら態度でしめせ、
もっとこっちへこい。手ぐらいにぎれ。」
ジャイアン

➖➖➖

それからは、踊ることが楽になっていった。

**「じゃあ、それ、やればいいじゃん。」 **

すきだったものが、
いつのまにかわからなくなっていく。

わからなくて、
いつのまにか遠くまできてしまう。

遠くにきすぎて、
手もにぎれない。


シンプルなことを
いつのまにか複雑にしていた

周りばっかり気にして
自分の声が聞こえない

自分が嫌いだから
自分の手もにぎれない。


僕は「ずっと踊りが嫌いだった。」


すきだったものを、思い出して


態度でしめそう


もっとちかくで


手ぐらいにぎって




鈴木陽平(Dancer/Choreographer)

国内・海外問わず数多くの舞台に出演し、現在では映像作品・CMへの出演や振付・演出・舞台制作など活動は多岐に渡る

https://www.instagram.com/yohei_suzuki1122

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