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note始めます〜BOTANISTのヒットを振り返る〜

まずは自己紹介

株式会社I-ne(アイ・エヌ・イー)の大西と申します。
学生時代にアパレル通販で起業して、美容の通販で法人化して、そこから15年間ファブレスのビューティメーカーでオンラインとオフライン両軸でマーケティングをし続けています。

会社ではデジタルマーケティングとかSNSとか頑張ってやっていますが、僕個人は、目立つのがめちゃくちゃ苦手で、誰かに何かを発信するほど個人で凄いことをした自信も全く無いですし、尚且つC向け複数ブランド戦略の会社の社長が社外に何かを発信する意味も自分の中ではあまり感じていなかったので、SNSとか全くやってきませんでした。

しかし、2年前に上場することができて、新たに自分以外の株主の方ができたり、永続的に成長し続けるにはやっぱり優秀な人材の採用が大事だよねってことがあったり、で経営者として対外的に発信することは、とてもとても重要な仕事なんだと今更ながら気づき、今は自分自身の発信力の無さに心の底から絶望しています。

現状ツイッターを開設してフォロワー数0人!ですが、起業した当初のような精神で高い目標を掲げながら愚直に発信力をつけていこうと強く強く思っております。

前提はこんな感じですが

noteの1発目は、初めての方にお会いすると、今だにほぼ必ずご質問いただく、
BOTANIST(ボタニスト)ってなんでこんなにヒットしたんですか?
を改めてまとめてお伝えできればと思っています。

一部メディア様で発信しておりますが、発信できていないことも含めてまとめてみました。


BOTANIST(ボタニスト)とは

2021年にリニューアルをしてデザインが変わりました。

まずはBOTANISTって何ですか?と言う話からです。
BOTANISTは「植物と共に生きる」をブランドコンセプトとして2015年1月23日に誕生したライフスタイルブランドです。
実績は国内のドラッグストアにおけるヘアケア市場でブランド別シェアランキング3位で、1位某外資系ブランドL、2位某外資系ブランドP、3位ボタニストみたいな感じです。
7年目で合計販売個数1億個を超え、現在も日本3位をキープし続けているブランドです。

BOTANISTのヒットの裏側

「市場選定」「商品企画」「販売戦略」の3つにわけて、開発を始めた2014年当時を振返ります。

市場選定

大手がひしめくレッドオーシャンのシャンプー市場に挑戦した理由は??とよく聞かれますが、実はブルーオーシャンだと思って挑戦していました。
まず、2015年当時のヘアケア市場を振返ります。

消費者のインサイト

当時はノンシリコンシャンプーの大ブームで店頭はほとんどの製品がノンシリコン推しでした。
そして依然ナチュラル思考の市場も強くオーガニックシャンプーを好む層は一定層いたものの、実際市場にあるオーガニックシャンプーは高いし、きしむものが大半。
ナチュラル思考だけど何を買えば良いかわからないみたいな状況でした。

価格帯

当時のドラッグストアの店頭は基本的には1000円以下のシャンプーで大手メーカー品がテレビCMやポイント施策の度に山積みされているのが主流でした。
サロン品はと言うと、2000円以上のシャンプーが主流で1500円と言う中価格帯がぽっかり空いている状況でした。

EC市場

当時は、ガツガツデジタルマーケティングで売ってるシャンプーは男性向け高価格帯スカルプシャンプーだけでした。他大手シャンプーはテレビCMと店頭販促だけで、ECは卸先のECサイトでカゴつけて置いているだけみたいな状況でしたね。

僕個人の気持ち

消費財メーカーってこの世に必要なんかな?
同じような商品を魅せ方だけ変えてマーケティングと言って沢山消費してもらう、みたいな仕事この世に必要なんかな?
ただ消費してもらったら儲かります。使用感が良いからお客様にも喜んでいただけて、雇用も生めて、税金も払えます。だけで良いのかな?
それだけでは無くて、ブランドに触れて貰うことによって、人生の質が上がったり、地球や社会に良いインパクトを与えるような新しい形のブランド創れないかな?
と漠然と考えていました。

以上の状況踏まえて、コンセプトアイデア千本ノックをした中から絞っていき、ECで女性向けで中価格帯で、きしまないオーガニックシャンプーがブルーオーシャンであり、「ボタニカルシャンプー」で、勝てるんじゃ無いか?
もし勝てたら、植物と生きる重要性をボスに知ってもらうような、売上が上がれば上がるほど利益で植林や植物の絶滅危惧種保護をするようなソーシャルブランドができるんじゃないか?
こうやってコンセプトを固めていきました。

商品企画

パッケージ

当時の店頭はパッケージで如何に目立つかで、ド派手な容器ばかりでした。

I-neは中身に投資をしたいから、パッケージにはお金をかけ過ぎてはいけないという制約と、プロモーションで活用予定だったInstagramで映えるクリエイティブにしたいという思いが前提にありました。これもアイデア出し1000本ノックをする中で、あえて透明で白黒のシンプルなデザインにして、テストで店頭に並べてみると、逆にめちゃくちゃ目立って見えたんです。

パッケージデザインアイデア1000本ノック

透明の容器は、OEMさんに大反対されました。
透明のヘアケア製品は、中身がどれぐらい入っているかお客様に見えてしまうので充填量のばらつきを出せない点や、輸送時に空気が混ざると混入物に見える点などから、クレーム発生原因になりやすく、どのメーカーさんもやっていないと。
性格的にそんなこと言われたら余計に燃えてしまい、実際の透明容器にバルクを入れてみると、、、何の違和感もなく、むしろ美しい!安定性試験も無事にクリアし、販売できることとなりました。

2015年発売当初のデザイン

そして、ロゴもブランドネームも一目でコンセプトのボタニカル、ナチュラルが伝わるデザインにしました。

圧倒的な製品パフォーマンス

いやいや、出た出た、自分の商品はみんな最高って言うやん。みたいな風に思われるかもしれませんが、ボタニストは製品はパフォーマンスが本当にめちゃめちゃ高いです。

それぞれのなりたい髪に合わせた処方を、こだわり厳選した植物由来成分を中心に設計。高い使用感満足度と髪と地肌への優しさを追求した商品を作り上げるため、数十種類の成分を最善のバランスで配合しています。また活性剤の一部には生分解性の高い活性剤を使用し、環境にも配慮した設計をしています。

リピート購入意向調査では約90%以上の方がもう一度使いたいと言うデータにも出ています。
※1000円以上の高価格帯ヘアケア消費財6ブランドについてのWEBアンケートによる。男女10代~60代(n=30,000)のうち、BOTANISTを「2回以上購入して使用したことがある」と回答した方の数。2022年2月実施(自社調べ)​

高い製品パフォーマンスが実現できた理由

1点目はボタニストをつくっているOEM様はそもそもサロン専売品の高級シャンプーしか扱っていなかった工場で、ヘアケア界隈ではマニアックで有名な工場。大量生産する際も成分を入れるタイミングや釜の混ぜる回数までこだわりにこだわり抜いている工場。弊社が少しでも多くの人に最高クオリティーのヘアケアを使ってもらいましょうと口説き落として実現しました。

2点目は他社より原価率が高いから涙。これは他社事例も出して比べたいところですが、開示してないので、すみません。ざっくり業界水準だと3,000円で売られていても全然おかしく無いレベルの原価率です。だからI-neは決算書にも出ていますが原価率がすごい高い(株主の皆様すみません。購買部門が同じクオリティで原価削減できるよう死ぬ気で動いています)

どんな優れたコミュニケーション戦略で初回購入していただけたとしても、製品が良く無いと、リピートはしてもらえません。この圧倒的な製品パフォーマンスが、花火のような1発屋ではなく、日本3位をキープし続けている大きな理由です。

販売戦略

高速PDCA

まずはECでの販売戦略です。
3パターンのLPを同時に走らせて、1番コンバージョン良いページを広告当てながら高速PDCAを回してLPO。
単品通販系では当たり前の取り組みですが、当時モール系でABテストをガツガツやってPDCA回していたブランドはかなり少なかったんじゃ無いかと思います。また楽天さんやamazonさんの担当者と新しいモール広告への積極的なテスト出稿を実施しました。サーチ広告だけではなく、モール広告全体でROASは何と500%以上!!を叩き出していました。

ギフティング

ヘアアイロンで関係性のできていた美容師、美容家、モデル、芸能人の方々に一気にギフティングしました。
ここからトップインフルエンサーのInstagramの投稿を見たマイクロインフルエンサーがドンドン投稿し始めていただき、UGCが多く生まれ、Instagram上でほとんど投資をかけずに大きなバズが起こり始めました。
このあたりからずっと楽天ランキング1位が始まりましたね。
ちなみに企画当時から海外のSNS成功ブランドを研究していたので、ボタニストはInstagramにぶち込もうと決めていました。
プロダクト、コミュニケーションなど世界中のトレンドは、創業時から今でもかなり敏感にキャッチ出来るよう心がけています。

ニュースサイト

2015年当時はスタートアップのWEBメディアが毎日のように開設されていて、片っ端からタイアップ広告に投資を行い、多くのニュースサイトに取り上げていただき、もうバズが雪だるま式に大きくなって、ウェブ上でボタニストに当たらない日がないんじゃ無いかぐらいの状況ができました。

店頭で勝つ

ECのモールで獲得したランキング1位の実績をPOPシールにして、まずは創業から関係性あるバラエティショップ様(LOFT様・PLAZA様 など)からテスト販売し始めました。すると各店で売れすぎて異常値が出始めます。実績がすぐ噂になり、バラエティショップはすぐに全国配荷できました。
デジタルマーケとバラエティショップは非常に相性がよく、どこでも買えるわけではない、知る人ぞ知る商品という演出もできアーリーアダプターに刺さって広まっていきました。

さて、ECとバラエティショップの実績を元に、満を辞してドラッグストアに営業すると「ECやバラエティショップとは客層が違うから」とまさかの総スカンでした涙
そしてそう言われると、また燃えました。

実は、今では考えられませんが、2007年の創業当時はバラエティショップ様にも「ECと店頭は売れる物違うから」と断られていました。ですが、実績を積み重ねて段々と関係性が強くなった経験があったので、ドラッグストア様との実績も絶対出せるはずと確信していました。
まずは1店舗で良いから置いてみて下さいと営業かけ続けたところ、とある地方のドラッグ様が、面白いメーカーさんだね、じゃあ試しに置いてみようか、と言ってくださり、一部店舗でテスト販売したところ、勿論POS爆発で異常値がでました。
そこから地方ドラッグ様で配荷を広げていただき、その実績を耳にした当初断られたドラッグストア様からも連絡が入り、うちもテストで置いてみたい。とお声がけいただき、そしたらまたPOS爆発で異常値が出ました。

自分で言うのも何ですが、このようにビューティー領域でオンラインとオフラインにあった壁はI-neが先頭切って切り開いていきた自負があります。

しかも普段数百円のヘアケア商品を販売されているドラッグストアさんからすると、ボタニストはめちゃくちゃ粗利益も良い製品ということで、その後全国のドラッグストアから問い合わせが始まり、ボタニスト全国発売が始まります。

全国配荷が進むことで、認知が拡大

テレビCMなしでどうやって認知をあげたのか?とご質問をよくいただきます。
その答えは、デジタルマーケティングと全国のドラッグストア様への配荷です。
他社さんは「テレビCMを3月から打つので、そのタイミングで店頭においてください」と商談を進め、テレビCMを打つときには全国に配荷が完了している状態を構築しているので、CMを打ったタイミングで認知が大幅に跳ね上がるモデルなのです。一方でI-neは、デジタルマーケティングで地道に実績を重ねながら、徐々にお問い合わせいただいて全国に配荷を進めていき、お客様が店頭で「この商品なんだ??」と触れることで認知が高まっていきました。

鬼の欠品期間

が、しかし、当時は需要予測チームなんか勿論おらず、鬼の欠品期間に突入します。
毎日ウェブ上でバズが起こってるのに店頭は欠品状態で、一時"幻のシャンプー"と化し、話題がさらに広がり、結果的に、買えない状態がお客様の購入意向を高める形となりました。 良くないことですが、でも結果、購入意向はめちゃ上がったのでは、と思います。
当時は小売店様に欠品で本当にご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。
営業メンバーも小売店様に怒られすぎて、疲弊しまくってました。
この苦い思い出が、今のブランドマネジメントシステムIPTOS(イプトス。次回noteで出てきます)の強みに繋がってます。

ボタニカル市場の確立

そこからは、追われる立場になりました。
BOTANIST発売後に、競合がボタニカルコンセプトの商品をどんどん出し、テレビCMも数十億円!?とかで攻めてきた会社さんもあったとか。

ですが、高い製品パフォーマンスと、徹底したブランディングの結果、シェアを奪われることはありませんでした。むしろ競合が参入したことで”ボタニカル市場”、”中価格帯ヘアケア市場”が、ただの流行ではなく、新しい市場として確立し、ボタニストは市場の拡大と共に、大きくなっていきました。
そして瞬く間にボタニストはシェア3位まで駆け上り現在に至ります。

BOTANISTの森

まだ道半ばですが、積極的に寄付、植林、バイオマス容器、社会課題の発信などもできるようになりました。

まとめ

・市場選定:実はブルーオーシャンを狙った。
・商品企画:新規性の高いデザインと圧倒的な製品パフォーマンス
・販売戦略:オンライン×オフライン戦略

以上がBOTANISTのヒットの裏話でした。
BOTANISTの開発に着手した当時は、社員60名のころで、マーケティング本部もまだありませんでしたし、ここまで体系的に意識していたわけではなく、ただただ全員が、「お客様が喜んでる顔が見たい」「めちゃくちゃ大ヒットを生みたい」みたいな気持ちで、がむしゃらに必死に取り組んでいました。振り返ってみると、本当に当時のI-ne社員みんなの知見の集大成、努力の結果だったなとしみじみ感じます。ありがとうございました。

さてそこから、BOTANISTの成長とともに、社員が100人、200人、300人と増える中で、60名規模のときにできていた阿吽の呼吸に乱れが出てきます。そして、2018年に創業以来はじめて売上成長が止まりました。そこで、BOTANISTに続くヒットブランドを、再現性高く生み出せる組織にならなければと、徹底的に仕組み化に取り組み出します。

次回は、ボタニスト以外もヒットを出し続けているI-neの秘密。独自の開発システムIPTOSについて、書いていきます。
お楽しみに!

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