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#8 『愛について語るときにイケダの語ること』 Review

『愛について語るときイケダの語ること』
(2020年|日本|58分)

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※ネタバレあり



1|私キャッチコピー

だって同じ人間だもん、名古屋からの吹っ切れ!
(ここターニングポイントだったんだろうなぁ)


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2|出逢い

初めてのUPLINK吉祥寺にて
パルコの地下2階にこんな素敵な映画館があったなんて✨

予告編


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3|感想

ピンクとダークが入り乱れ、生命に満ち溢れたドキュメンタリー作品。と、それなりの言葉を並べてもこの映画は独特で、他人のホームビデオを見ている感覚もあり、作られたフィクションとノンフィクションが交差するようなジャンルにとらわれないものがあった。あえてジャンルを一言で表現すると【イケダ】になる。

障がいがあろうがなかろうが、池田英彦さんは池田さんであり、彼の物語(人生)を途中から垣間見た。これがNHKの番組になると途端に幼少期に遡り、生い立ちがナレーションで入ってとなるが、途中からいきなり見せられるのが斬新で良かった。

とくに僕は前情報なしで観るから、最初よく分からなかった。何してるの池田さん?状態。それが時が進むにつれ全貌を把握し、ラストどうなるんだろう、という見守りに近い位置で見ていたかも。介護士という職業的思考も入っていたかもしれない。

やりたいことをやる。ただそれだけ。自分の最後を映画として残す。こんなシンプルな発想にどうしたらたどりつけるのだろう。自分の最後に付き合って撮影してくれる友達がまずいるかどうか? 障がいや性のことが前面に出ているけど、一方でこれは池田さんと撮影者、20年来の盟友・真野勝成さんの友愛をテーマにしたコミュニケーション映像かもしれない。そっちに寄せてもイケた映画だと思う。(いやむしろそうなっているか)


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4|監督コメント

構成が素晴らしかった! 担当したのは佐々木誠さん。約60時間の素材を58分におさめるのは至難の技。ただ残り59時間全部を見たくなった❣️ 池田さんのファンになった人は気になるはず。なので、ブルーレイでソフト化する際は是非、未公開シーンてんこ盛りで発売してください。(2層の量ギリギリまで収録して💿)
池田さんが喋ってなくても、ただ黙っている姿だけでも見てみたいです。

後半になると、どんどん痩せていく池田さん。僕の父と同じでホスピスでの看病を思い出しました。ずっとSONYのデジカメで闘病生活を動画で撮っていたんです。夜中、痛みで眠れない父の姿もすべて記録。最後、父に「好きな言葉は何ね?」と訊いたら「信頼と愛」と言いました。大酒飲みで暴れるだけ暴れまくった父から出たまさかの言葉、、、まるで別人(聖人)のようでした。ちなみにその映像を父の他界後に編集しようと思いましたが、見返せず今もminiDVテープは棚に保管されたまま。10時間くらい素材あるかな。勇気を出して編集してみようかな。

人間最後は分からない、どこでどうなるかも分からない、3.11やコロナだって想像していなかった。もはや今日1日生きれただけで立派じゃないかと最近思う。悔いなく精一杯1日を過ごす、この繰り返し。何でもない当たり前のことを池田さんは呼び起こしてくれた。

2年間の闘病生活。池田さんが死ぬときがクランク・アップという。到底真似できることではない。命懸けの映画はこれまでも作られてきた。代表的なのが僕が尊敬しているジャッキー・チェンさんや、バスター・キートンさん! 彼らとは違う意味で命懸けだった池田さん。この作品は生命の尽きる時間に密着し、命が爆発するような過激さと尊さ、そして世界に己をアピール(表現)する脈が流れていた。


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たまたま僕が行なっている【朝活】という自己研鑽の時間があって、だいたい毎朝読書は必ずしているんだけど、本作を観た翌朝、岡本太郎さんの『自分の中に毒を持て』を読み終わりました。驚いたのが最後のページ、まさに池田さんのことを書いてあるかのような文章だった。

死を畏れて引っ込んでしまっては、生きがいはなくなる。
死ぬもよし、生きるもよし。ただし、その瞬間にベストをつくすことだ。現在に、強烈にひらくべきだ。無目的にふくらみ、輝いて、最後に爆発する。


読んだとき、もう池田さんのことしか想像できなかった。たまにこういったシンクロニシティが起きて、自分に何を問われているんだろう?と考える。考え抜いたことは、映画の中でしか表現できない。どんな新作になるだろう、楽しみだ🎬

障がい、性、病、生きることについて《教科書》のような作風もあわせ持つ。高校や大学での必須上映として後世まで池田節を伝えていってほしい。英語の字幕をつけて海外でも上映したら海外デビューだ🌏 各国でファンが増えるだろう。

やつれて髭が生えた池田さんが、僕とそっくりで驚いた。初めはサラサラヘアー風だったが、最後は天然パーマのようにも見えて、髭でメガネとなるともはやクリソツである。スクリーンを二度見した。しかも42歳で天国へ旅立たれている。
42歳です、僕。

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パンフレットに載っていた池田さん


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7/5(月)18:45の回上映後
ダースレイダーさん、真野勝成さん、佐々木誠さんのサインをパンフレットに書いていただきました🖋 個人的にはトークショーで佐々木さんが自宅から持ってきたというダースレイダーさん著『NO拘束』がとても気になった。


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5|マニアックコラム

チラシ裏面のイントロダクションの最後の文章に爆笑してしまったのは僕だけでしょうか?

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「パラリンピックとほぼ同時期に公開となる!」

いやいや、池田さんパラスポーツやってた? やってないですよね。この無理やり感はブラックジョークなのか正解が分かりませんが、僕もオリパラが延期になる前はパラリンピックの前に見てほしい映画!というキャッチコピーで散々自作を宣伝していて延期になり、今年になってオリパラ賛成派と中止派に意見が真っ二つになり、なかなか使いにくいキーワードだなと思っていた矢先! ま、まさかこのチラシのイントロの落とし所で使われるなんて〜と勝手にサプライズ感に夜な夜な笑いが止まらず免疫が高まるのでありました😆
僕が宣伝担当なら、「あなたは自分の最後を撮ってもらいたい友達はいますか?」みたいな感じで作品に寄せたと思う。

初主演・初監督作にして遺作。このコピーは完璧すぎです。

あと、どうでもいいことだけど、パンフレットに記載されていた「ドカンの話」
僕にも公園(忘れもしない健軍1丁目の公園)で同じような経験があります💗
しかも池田さんと同じように脳が作り上げた幻だったのかもしれないと思うこともあり。子ども+公園×ドカン=幻、という構図は全国的にありそうだ。

最後に、母校である日本映画学校の創立者である今村昌平監督のお言葉を。
「すべてはチンコが固いうちだぞ」
下品なような言葉にも当時は思えたけど、今では立派な名言として確立している!
この映画を観たら、尚更。

さて、僕の最後は誰に撮ってもらおうかな?

それは、もう決まっている。


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6|新作のお知らせ

当noteの定期購読マガジンでは、ダウン症のある人の映画制作の様子を書いています。新作のメイキングを販売して、その収益をそのまま製作費にする【プロセスエコノミー】を実践中! 初月無料、翌月から月額980円。2ヶ月以降のご購読でブルーレイのプレゼントも行っています💿✨

是非、映画作りの仲間になって応援していただけたら幸いです。
あなたも映画のスポンサー(共犯者)!


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7|「ふるさと」7.31上映会

いつも映像制作でお世話になっているエムズ・カンティーナさんで【真夏の短編映画上映会2021】が開催されます‼️
ウーニュシュ作品から、第1回目の緊急事態宣言中にリモート制作した『ふるさと Stay home town』の上映が決まりました。当日、会場でお待ちしております😷


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小沢まゆさん企画の作品です🌟 同郷(熊本)への想いを形に。阿蘇の草千里の映像は、自然はコロナなんて関係ないと言わんばかりの美しさ🌋
第3回目の緊急事態宣言によって、池袋HUMAXシネマズでの劇場公開が中止となりました。今回が初のスクリーン上映となります。(プレミア感!)


Yahoo!ニュースになってた👏



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バリアフリー映画のスタジオウーニッシュ代表
映画監督 / 映像クリエーター / 介護福祉士 / 作家(目指し中) / :堀河洋平


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