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30数年前の愛知県の中学生・成績トップ層のその後(受験の統計分析いろいろ①)

趣味の統計分析のシリーズです。閑話休題で、連載している大学の合格最下位の分析と少し違う分析を記事にしてみます。

私の記事にしばしばコメントを投稿していただいているイブリースさんが、東大卒と医学部卒の比較の記事を連続で投稿されていました。

この記事の中で、首都圏のエリサラと医師の比較がありました。主旨としては、「首都圏はエリサラも多いので、医師とエリサラで収入やステータスの差はない(医師が低いこともある)。人間は自分の近いところで比較するので、首都圏では医学部進学のメリットに気付きにくい」というような内容でした。

「じゃあ、地方はどうなんだろう?」と愛知県出身の私は思ったのですが、以前に中学時代の塾の成績優秀者のその後を調べたら、医師が多かったのを思い出しました。

そこで、今回はその時に調べたデータを記事にしてみたいと思います。統計分析というより、単なる集計です。

0. まとめ

  • 約30年前の愛知県の高校受験組では、成績トップ層の中学生は、現在、医師になっている人が一番多い(35人中8人=23%)

  • 1位の医師、2位の研究者、3位の弁護士・会計士で、成績トップ層の約半数を占める。約30年前の愛知県の成績トップ層中学生は、知的エリート職に就いている傾向が見られる

1. 対象データ

1990年度の河合塾・高校グリーンコース(愛知県)の中学3年クラスが母数です。手元に残っている成績表を見ると、650人くらいが通っていました。

私立中学の進学校が数校しかない当時の愛知県では、公立高校の受験がメインであり、その中のトップ層を集めていたのが、河合塾・中学グリーンコースでした。愛知の公立トップの旭丘高校に100人近く(定員の1/4くらい)を送り込んでいたはずです。今の首都圏の高校受験塾で言うなら、早稲田アカデミーの上位クラス、Z会進学教室のような位置づけでしょうか。

当時の河合塾中学グリーンコースでは、毎週、テストゼミ形式の授業があって、英数国3教科の成績トップ20は、週報(テスト成績資料)に名前が載っていました。私は中学3年の2学期から入ったのですが、3学期に2回だけ成績トップ20に入ることができたようです。当時はかなり嬉しかったようで、その時の週報2回分だけが保管されていました。

その後、30年近い年月が過ぎて、子供が高校受験を迎えた頃に、家族の夕食時に「高校受験する中学生の最優秀層は、その後、どうなるのか?」という話題になったことがあります。その時に、河合塾中学グリーンコースの資料を発掘して、成績優秀者に名前が挙がった人のその後を調べたことがありました。

その調査・集計結果が、今回の記事の元ネタです。

2. 調査方法

  • 私の手元に成績表がある2回分で、トップ20名で名前が載ったは、重複を除いて36名。この36名に対して、名前をインターネットで検索。

  • ヒットした場合は、経歴をチェックして、ある程度、近い年齢の場合は、本人と判断。出身地が書いてある場合は、年齢がわからなくても、本人と判断するケースもあり。

  • 本人と推定できた場合は、卒業大学と現在の職業を確認。

  • 36名のうち1名は死亡が確認されたので、以降は残る35名についての集計結果を説明する。

3. 約30年前の愛知県の中学生・成績トップ層のその後

35名の卒業大学と職業を集計すると、このようになりました。

グラフ1
表1

一番多いのは医学部から医者になった人で、少なくとも8名は確認できました。35名中8名なので、約2割です。

この数字は高校受験する層ですが、国公立医学部医学科への合格数日本一の東海高校が愛知県にはあります。中学受験で東海中に進んだ人も含めると、約30年前の愛知県の成績トップ層の王道は、医学部から医師だったようです。

大学別に見ると、愛知県なので東大より京大の方が多いです。京大に進学した人は研究者になっている人が多いようです。東大進学者は特に傾向は見られないです。ちなみに、東大から民間企業の1名が私です。

職業で見ると、医師の次に多いのが研究者、その次が弁護士と会計士です。このトップ3には理由があって、勤務先のホームページで名前と経歴が出ていることが多いので、特定しやすかったということがあります。

ただ、不明が民間企業や公務員が多いとしても、このトップ3(医師/研究者/弁護士・会計士)の17名で35名の約半数なのは特徴的と思います。約30年前の愛知県の成績トップ層の中学生は、知的エリート職に就いているようです。

4. 最後に

大学受験時の模試の成績資料があれば、全国の成績トップ層のその後も調べられるのですが、残念ながら捨てていました。現在は個人情報保護が厳格になり、模試の成績優秀者一覧は配られていないようなので、今後、同様の調査はできないのだろうと思います。

ただ、もし過去の成績優秀者一覧が一定数集まって、コツコツ調べていったら、何らかの研究論文は書けるのかもしれません。受験は日本社会の一つの要素であるのは間違いないので、これまでで受験戦争が一番激しかった1990年代前半の成績トップ層がその後どうなっているかというのは、それはそれで研究する意義はあるように思います。

当時は新聞や週刊誌に難関大学の合格者の個人名が載っていたので、国会図書館とかで調べられる気もします。かなり時間かかるだろうから、やるにしても老後のライフワークかなぁ、と思います。

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