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Instagramの「発見タブ」から考察する「パーソナライズ」のあるべき姿

こんにちは。WHITE イノベーションデザイン局プランナー 瀧野はるか です。

最近、女友達との会話や女子大生のユーザーリサーチなどで度々話題に上がるのが

「インスタ、もうタイムライン見なくなったよね〜」

という話。

「タイムライン」とはここ。(公式ではホームやニュースフィードと呼んでいる。)


では、どこを見ているのか?というと
・ストーリー  (Instagram Stories)
・発見タブ (explore)

です。


”インスタ映え”を気にしなくていい Instagram Stories

ユーザーの投稿先はタイムラインからストーリーズへと移行していますよね。「24時間で投稿が自動で削除される」という特徴から、ユーザーはオシャレさや加工スキルを気にすることなく、カジュアルにポストすることができます。リアル友達のストーリーズの投稿頻度が上がると、タイムラインには、

フォローしている
・芸能人
・インフルエンサー
・企業アカウント

しか表示されなくなります(あと広告)。これらのアカウントはセルフブランディングに命掛けているので、加工されたオシャレな写真が多めです。

とある女子大生のインタビューで、「インスタ映えに縛られるのはダサい!」なんて発言がありました。(まぁ、わかる....。) フォトジェニックを追い求めたタイムラインの投稿よりもストーリーズの投稿でいかにリア充アピールできるか...っていう価値観の変化ですね。アプリ内で文化のカウンターが始まっています。

リア友の投稿はないし、ブランディング命のアカウントばかり...といった理由でタイムラインは見られなくなってしまった。


今回の記事の本題!:「発見タブ(explore)

そして「発見(explore)」タブ。ここ、めちゃくちゃ見るようになりました。個人的な感覚で言うと、ここ半年の間に思わず見ちゃう”中毒度”が増し、暇さえあれば閲覧するように。

「自分だけかな...?」と思っていましたが、女友達の会話やユーザーインタビューでも同意見が。

めっちゃパーソナライズされているんですよね。これ↑は私の「発見タブ」の画面ですが、最近の興味関心ネタや趣味がダダ漏れだと思います...笑 今回はこの「発見タブ(explore)」を起点に色々考察しようと思います。

「発見タブ(explore)」とは

「発見タブ」はアプリの画面下部の左から2番目の「虫眼鏡」アイコンをタップすると表示されます。

表示される要素は
・検索バー
・Instagram
おすすめのポスト

「おすすめのポスト」には、ユーザーの興味関心度が高いであろうフォローしてないアカウントの投稿が列挙されています。このエリア、数年前はただ人気の投稿が垂れ流れていた印象ですが、最近は個人の興味関心に合わせて表示され、その最適化の精度は日に日にアップデートされているように感じます。

おすすめが表示されるアルゴリズムはどうなっているのか?InstagramのFAQによると、

Instagramでは、各利用者に合わせて [検索&発見]に表示される写真や動画の種類が常に更新されます。投稿は、あなたがフォローしている人や「いいね!」した投稿などに基づいて、自動的に選ばれます。https://help.instagram.com/487224561296752

とのこと。詳しいことは記述されていませんが、
フォローの人「いいね!」以外にも

・閲覧した#ハッシュタグ
・保存(ブックマーク)した投稿
・閲覧した”おすすめ投稿”
・一つのポストに対する閲覧時間

も関係しているように思えます。

このように、発見タブではユーザーの過去のビヘイビアに基づく機械学習によって個人化されたフィードを表示させています。

フィードに関するアルゴリズムについてはInstagramのチームが詳しく説明しています。↓

ユーザーにパーソナライズされた投稿が表示されている「発見タブ」は、まさに「発見の連続」。気になる投稿をタップすると、その下にまた関連する投稿がズラリズラリ...。見れば見るほど機械学習され、欲しい情報が拡がっていきます。その中毒性は時間が経つのも忘れるほど。発見タブを開くたびに最新で最適化された情報が用意されているので何度も訪れたくなります。

この「発見タブ」の優位性により、スタンダードではありませんが、ユーザーの情報収集の仕方に変化の兆しが垣間見えました。

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変化① 検索をしなくなった

Instagramの利用の目的の大半は情報収集。#ハッシュタグでトレンドコスメを検索したり、行きたいお店や旅行先を位置情報で検索したり。キーワードでの検索が主流でした。

しかし「発見タブ」はボーっと見ているだけで

「あぁ〜そうそう、こういう情報欲しかったんだよねッ」

といった感じで最適化された情報が先回りしてくれて、私に出会わせてくれるんです

ユーザーはInstagramが用意してくれたパーソナライズ情報が流れてくるフィードの前に立ち、気に入った情報を自由にキャッチアップしていく。そんな”無思考型情報選択”は心地いいユーザー体験を生んでいると言えます。

変化② 情報収集が”特定のあの人”ではなくなってきている

Instagramといえば”インフルエンサーの存在”。
インフルエンサーの情報を信頼する理由に、「この人が好き!憧れ!真似したい!」っていう絶大に愛しているから、ということもあるんですが、一方で「この人だったら”自分の好きな系統”をモノを紹介してくれる」という「近しい世界観の保証」の意味合いもあると思います。コスメやファッション、またはライフスタイルだったり。

でもそれって「発見タブ」でも役割を果たしてくれるんですよね。

なぜなら、Instagramがユーザーの「好きそ〜」な画像を世界中からかき集め、次々と提案してくれるから。特定の人を追うこと以上に、自分にあったいい情報を見つけることができます。

この事象はユーザーが信頼する相手がもはや“人”ではなくInstagramという”プラットフォームの個人最適化”へシフトしている、と捉えることもできます。

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これらの行動や価値観の変化は、今後主流となる「パーソナライズ・プロダクト」の体験設計のヒントになってくるじゃないかと思います。

ZOZOSUIT、資生堂の「オプチューン」をはじめとした「パーソナライズ・プロダクト」の登場により、日本も「パーソナライゼーション」が大きなトレンドになりました。

今後も、自己定量化のセンシング技術、ビックデータを高度に解析したAIのアルゴリズムの発達がパーソナライズプロダクト市場をさらに加速させていくと考えられます。

あと数年もすればパーソナライズはムーブメントではなく、もはや当然の時代に。パーソナライズが当たり前になり多様性を重視した次世代は若者は「パーソナライズネイティブ」なんて呼ばれるかもしれません。

そんな、DNAレベルで「あなたに最適な最高の一品」がリコメンドできる時代になったとして、果たしてユーザーはその提案に満足するでしょうか?

「発見タブ」のユーザー体験が心地いいものと仮定すると、答えは「NO」だと思います。

ユーザーは「一つの答え」ではなく、自分合った「選択肢」が欲しいんです。

発見タブの良さは最適化された領域の中で新しいものに出会える気持ち良さ。同じことがパーソナライズプロダクトやサービスに必要になるのではと思います。

情報過多になり商品選択に対して無気力化していくとはいえ、「いや、わかるんだけど、私の生体データや購買データからはこれなんだろうけど、最後は私に選ばせてよ....!」といった感じで、最終的には自分で選んだ納得感発見する行為を求めていく。嗜好性が高いファッションやメイクなどは特にそうで「選択の余剰」を残してあげる体験設計が必要となってくると思います。

パーソナライズが主流になった世界では、このような「いかにストレスなく気持ちよく選んだ感」をどう演出するのか?がブランドやプロダクトの差別化が図れる鍵となってくるのではないでしょうか。


皆さんは全てAIに決めてもらえる時代、どう思いますか?
何をAIに選んでもらい、何を自分で選びたいですか?

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今後も、身の回りや世界の片隅で起きている「兆し」を観察し、膨らまして、未来のユーザー体験みたいなものを語っていけたらなと思います。



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