片付けクエスト!ADHD息子が掃除機をかけるようになるまで
ADHDの息子はハマると何でも集めたくなる性分。
創作意欲も強く、思い立てば何かに取り憑かれたかのように段ボールを切り裂き、部屋はペンキの匂いで包まれた。
ものの数分で、部屋は足の踏み場もない状態へと化し、
床には切りくずだらけ、至る所にハサミやカッターが無造作に置かれ、
中に入ろうと試みるも、一瞬たりとも気を抜くことは許されない。
人はこれを汚部屋と呼ぶ。
そう。これは、片付けられないADHD息子と、
面倒くさがりのずぼら母が、
どうやって息子の部屋を整理し、
汚部屋を脱出させられるようなったかの、
3年間の軌跡なのであった・・・・
ADHDと部屋の片づけ
どーも、あんじです。
子ども部屋の片づけ、捗っていますか?
特に不登校になった当初は、家から一歩も出ないし、食べ散らかしていて、ごみもすてないし、
荒らされた家に帰るのが本当に憂鬱だったんですよね。
特性的に、片付けることが苦手なこと、
ある程度散らかっているくらいがちょうどよいことは分かるのですが、
とはいえ!!
限度というものがありますやん!!!
最低限の身の回りのことは整えておくれ。
私も面倒なことは嫌なので、ゆるく片付けをしながら、
どうやって息子の部屋(周辺)を整えていったか、この3年間の物語をお話しさせてください。
このミッションを成功させるために
おはよう、ミント君。
まず始める前に心得ておきたいことを説明しておこう。
それは、目標ハードルを極限まで下げるということだ。
ちょっと前にインスタで流行ったような
オールホワイトで整ったおしゃれな部屋を目指すと、100%詰む。
ある程度片付いている(ように見える)
生活に支障がない程度
くらいのゆるい目標にしておかないと、
親も子どもも疲弊して、結局片付けられない。
親が思う「せめてこのくらい」でも、
子どもにとってはまだまだ高い。
目標は極限まで下げて、
お決まりのスモールステップで焦らずいくとしよう。
できないことではなく、
できたことを数えていくのだ。
あきらめずに最後まで進めてくれ。
それでは、検討を祈る。
なお、このメッセージは5秒後に自動的に消滅する。
・・・・・
MISSION1. 歩くゴミ箱
家にいると、もっぱらゲーム三昧。
一日のほとんどをテレビ(モニター)の前で過ごしている。
腹が減ったら、食べ物をあさる。
テレビ周辺にはお菓子のごみや、飲み物が少量残ったコップ(なぜ全部飲まない?)、アイスを食べた痕跡が見られる。
ここで、「食べたものを片付けて」と言って動くことを期待してはならない。
おそらく、「わかったー」という空返事が返ってくるだけである。
彼の頭の中はゲームのことしか考えていない。
”そうか、ゲーム機の横にゴミ箱を置いとけばいいのか!”
と思ったかもしれないが、惜しい。。。
それでもは彼はゴミ箱に入れるという動作に至らないのだ。
最初のステップはもっとレベルを下げなきゃいけない。
頭を柔らかくして考えよう。
彼がゴミ箱に近づこうとしないのなら、
ゴミ箱の方から、彼に近づけばいいのである。
もちろんゴミ箱が勝手に動くわけないので、
『母がゴミ箱を抱えて息子の横に立つ』のだ。
そうすれば、息子は席を立つこともなく、
手を伸ばすだけでゴミを捨てることができる。
”ゴミを捨てるまで母は動かない”というのがポイントだ。
親が横に立たれたらゲームに集中できない(うざい)ので、
ゴミを捨てずに親に監視されるより、
さっさとゴミを捨てる方を選ぶというわけ。
おめでとう。
第1ステージ、クリア。
MISSION2. おいしいとこだけ
お菓子のごみを捨てる程度で片付くなら、誰も悩まない。
彼の部屋は、床の上が見えないほど散らかっている。
ある意味ゲームしかしてない日は、
部屋はきれいに保たれている。(良いのか悪いのか…)
しかし、創作スイッチが一度入ってしまえば、
持ち前の過集中を発揮し、部屋はアトリエとなり、
そこら中に切りくず、ボンド、筆、ハサミ、塗料、針金、ハギレ・・・
そして何か分からない蓋やキャップが点在するのである。
ここで注意したいのは、過集中とは創作活動にだけ発揮されるものであって、その後の片づけや掃除といった時には、もう充電切れになっているということだ。
つまり、片付けに回す気力体力が残ってないのだ。
ここで次の作戦を決行する。
おいしいとこだけ作戦だ。
『9割を親が片付けて、最後の1割を本人がやる』
一緒に片付けるというか、ほとんど親がやるんだが。
ポイントは、最後は子どもがやるということ。
まさに、おいしいとこだけ。
できた!という成功体験を積ませることがこのミッションの目的だ。
すかさず、「綺麗になったね!」「片付けられたね!」という声かけで自己肯定感を上げることを忘れないでほしい。
それができたら、
徐々に子どもに任せる割合を増やしていくといい。
おめでとう。
第2ステージ、クリア。
MISSION3. マック最強説
親が一緒に作業することで、片付けのハードルを下げ、
自分で出来たという喜びを知り、
綺麗な部屋になった時の快感を味わうことができたら、
最初に比べて随分と、片付けることへの抵抗が減ってきていることだろう。
それでもやはり、「面倒くさい」が勝ってしまうのが片付けなのだ。
ここでお役立ちアイテムを投入しよう。
子どもが好きなご褒美だ。
例えば、片付け終わったら、
『マック食べに行こう!』
お菓子買いに行こうとか、水族館に行こうとか
本人が乗り気になるものを用意し、
その前にやる。
ご褒美作戦は頻繁にやらなくていい。
むしろ、特別感があった方がいいので、
ノルマにするのではなく、子どもが喜ぶものを試しながら見つけてほしい。
子どもが自発的に動くことを狙ってみてくれたまえ。
これは子どもの機嫌次第なので、
MISSION2よりレベルは上がるのだが、
うまくいけば、これまでにないくらい短時間で部屋が片付くことだろう。
もちろん、一緒に手伝う姿勢は見せてほしい。
片づけを始めるまでが一番時間がかかるから・・・
おめでとう。
第3ステージ、クリア。
次が最後のミッションだ。心して挑め。
MISSION4. ラスボス登場
いよいよ最終決戦だ。
よくここまで頑張った。
しかし、こいつはこれまでのレベルとは比較にならない。
どんな手を使ってでもいい。
それくらいの強い気持ちで行かないと、コイツの前では手も足も出ない。
ついに、姿を現した。
『習慣化』
寝る前に5分だけ。
毎日こつこつ。
この一般論が通用しないのが、
ADHDのADHDたる所以なのである。
毎日はあきらめ、
週1回くらいのペースでいけば、まあなんとかなる。
我が家では来客のある水曜日に決めた。
部屋に訪問看護師さんに来てもらってるからだ。
といっても訪問時間の直前に、床に散らかってるものを2~3個拾う程度なのだが。
調子が良い日は、ごみを捨て、床に散らかったものをしまい、
自分で掃除機までかけることができる。
週末など、ご褒美作戦と合わせて行うのも
効果的かもしれない。
何かきっかけを作ると動きやすい。
すぐにクリアすることは難しいだろうが、
気長に焦らず取り組んでくれたまえ。
まあ、部屋が汚くても死ぬわけじゃないので、
あまり気負わずにゲームを楽しんでくれたらそれでいい。
このゲームを心から楽しめるようになった時、
本当の意味で最終ステージをクリアし、
自由の扉が開かれる。
MISSION COMPLETE….
~Fin~
最後まで読んでくださりありがとうございましたー!
いや、本当に上に書いたことをこつこつやってきて、やっと最近は自分で片付けられるようになりました。
とはいえ、一般的な片付いた部屋のイメージからはほど遠いですが、床にゴミが散らからない。生活に支障は出ない程度には、ね。
それ以上を求めると、本人もしんどいので、
時々私が部屋に入って、徹底的に不要なものを処分しています。
少しずつ子どもが成長していることも嬉しいのですが、どうやったら行動してくれるのか、うまくいくのかを考え、
私の頭の中は、本当にこのゲームをどうやってクリアしようか、
成功したらラッキー!!ミッションクリア!!!と、
そんな風に遊びながら、子育てを楽しめるようになりました。
もし、片付けで頭を悩ませている方はよかったら参考にしてみてくださいね。
angie