てつがくのさかな
僕は小学生の時「くもん」という学習塾に通っていました。
当時から特別に好きな訳でもないのに、なぜだか異様に国語だけ出来がよく沢山の文字と物語に触れました。
かなり作業的に問題を解いていた中でも、いくつかの物語を断片的に覚えています。
中でも奇妙だ、と感じたのは「てつがくのライオン」という物語でした。
題名通り、ライオンが哲学を実践するというものなのですが、そもそも哲学が何者なのかわからぬまま、読み進めてなんとなく「わからないことをこねくり回してみることなのだ」程度の認識に落ち着きました。
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時は流れて現在。
僕は様々なことに手を出し、もはや自他共に認める「何をやっているかわからない人」になった訳ですが。
最近になってようやっと、自分の中で自分は何者であるか、答えが出たのです。
そう、哲学者です。
まぁ随分と大層なことを恥ずかしげもなくおっしゃる。
そう思われた方の感覚はいかにも真っ当な感性と言えるでしょう。
ではなぜまたそんな大袈裟な自己認識に辿り着いたのか?
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哲学の興りは、紀元前にまで時計の針を戻すことになります。
古代ギリシャという都市でかの有名なソクラテスやアリストテレスなどといった“哲学者”が現れ、あーでもないこーでもないと議論し始めたのが始まりなんだとか。
議論の内容は僕たち人間についてと、僕たち人間を取り巻くすべての事象/現象について。
つまり僕たちのいる世界のことや、僕たち自身の身体的/精神的な部分を解き明かさんとしていた訳です。
まぁ細かく見たら多分違ったりもするでしょうし、そこまで詳しく調べて語ってもあれなので、ざっくり僕の解釈でお話していきます。
要は哲学は世界について考えること、哲学者は世界について考えてる人ってことです。
そう。これ多分人間皆哲学者なんですよね。
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ここで読者の方の頭へ浮かんだ疑問は後で話すとして、そこから哲学の学問領域というのを分解して、数学や生物や天体など、それぞれの専門分野に分かれてより詳しく、より専門的に世界を調べていくことにしたんですね。
そして今日、学校で習うような多種多様な学問領域が生まれ、それらはおよそ一般人では到底理解できない領域にまで到達していっているでしょう(僕は数学が高校から全くわからなくなったので、これもきっとそういうことだと思います)。
先人たちの積み重ねた知見はきっと海の深さを凌駕するほどの深淵へ道を示してくれている一方で、皆さんも一度はこう思ったことがあるでしょう。
「数学って社会に出て一体何の役に立つんだ??」
もちろん、数学的思考が間接的に日常生活にもたらす影響は沢山あるのでしょうが、直接何にその知識が役に立っているのかイマイチよくわからないのもまた事実。
専門分野を深めればそれだけ社会から外れていくような錯覚さえも時に引き起こしてしまっているかもしれません。
ここで僕が何者なのかを思い出してみてください。
ここで哲学がどういったものなのか、思い出してみてください。
そう、哲学者で、世界を解き明かす学問です。
僕は、マリアナ海溝へも達っさんとするそれら学問の領域たちを、今一度組み合わせて世界を見てみたい、そう考えているのです。
専門分野の知見を知識人だけの特権としておくことは、それこそ哲学に端を発した学問に携わる学術者として有るまじき姿なのではありませんか?
というか、そんなことよりも、めっちゃすごい知識同士を掛け合わせて考えたり作ったりすると、これまで全く見た事もないほど凄いものが出来上がると思いませんか??
それ、めっちゃワクワクしません??
そういうことです。
僕はそういう、他分野同士を渡り歩き、それぞれ独立してしまっている星々を繋げて、美しい星座を夜空に示したいのです。
そのために僕は絵を描き、グラフィックデザインを学び、ものを作っているようなのです。
子供の頃からずっと描いてきた絵は、人と関係を構築するのが苦手だった僕にとって、他者とのコミュニケーションツールの一つであり、情報伝達の手段でした。
最初は僕と他の人々を繋げていき、やがてその星座は様々に形を変え、ついに僕は星として輝くよりも星座を作る楽しさを知りました。
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僕の行動/言動の中核を担っているのは自分なりの「哲学」でした。
それは「誰もが自分らしく豊かに暮らせる世界」です。
まずは自分が自分らしくあれるように、豊かに暮らせるようになるのが先だと思いますが、他の人もそれらを実践できるようになってほしいし、自分の営みによってそれを少しでも促進したい。
そのためにも、複雑に絡み合った人の思いや言葉を解いて、心地のいい場所を探りながら動かしてみる。
そういう営みを仕事と呼び、生業として生きていきたい。
それはきっと僕の哲学の実践であり、僕の哲学者たる姿だから。
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ps.昔描いたハナミノカサゴ。英名は「ライオンフィッシュ」。
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