ZOZO 時給1300円問題の捉え方
「ZOZOバイト改革」と題して大手ファッション通販のZOZOが物流倉庫で、商品の荷受・ 検品などを行うアルバイト時給を1,300円に引き上げたところ2,000名の募集枠に応募者が殺到し3日で締め切られたとのこと。
一カ月あたり最大1万円の賞与が支給されることもあるようです。
一方、ZOZOは現在、一例として以下の条件で正社員を募集中のようです。
ZOZOには給与一律同額の賃金思想がありますから、正社員であれ立場が変わらない限り採用後は基本的には大きな昇給はないようです。
客観的には明らかに職務内容や求められる技能に大きな差がある訳ですから、バイトをベースUPしたのであれば、本来、同時に正社員も職務・職責・役割等に応じてベースアップしなければならないはずですが、どうやらそうではないようです。
この採用時時給1300円が当面維持されるものとして、同一労働同一賃金時代の到来を見据えたであろうこのZOZOの取り組みは、賃金変革期の一事象として以下のいずれに該当するのか我々はよくみておく必要があると思います。
① バイトの給与を正社員水準に引きあげたものの、他の処遇や登用で正社員との明確な格差を維持しようとしているのか?
② 正社員とバイトの垣根を希薄化し職務内容や職責で大きな差を設けない賃金を導入しようとしているのか(つまり、「少し引き上げたバイト待遇」を正規・非正規関係なくコア従業員としてのデファクトスタンダードとしようとしているのか)?
業績に応じて健全に労働分配率が引き上がる理想的なスキームは
ことです。
ZOZOの取り組み目的が②なのであれば、正規労働者(平均勤続年数:6年程度)としてZOZOに採用されることへのこだわりや、非正規労働者が正社員になろうとする意欲が惹起されることはないでしょうからZOZOの労働分配率が大きく引きあがることも、非正規雇用率が低下することもおそらくないでしょう。(正規労働者と非正規労働者の垣根が撤廃され、見かけの非正規雇用率が低下することは起こりえます)
Ⓒ Yodogawa Labor Management Society
社会保険労務士法人 淀川労務協会
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