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トラバルーンが消えた時

このnoteでしたかったことの一つ「自叙伝」を作る作業の一貫として、覚えている限りの記憶や自身に起こった出来事を書き溜めています。

有料エッセイ内では、その「陰」の部分を中心に書いてます。

生き物は「陰陽」で支配されているという考えの持ち主なので、明るい自分を出すためには暗い自分も出す必要があります。
ため込むと病気になることを身をもって知ったので。

「人の不幸は蜜の味」
袋とじ気分で、あなたのハサミで切り開いて見てください。
ひょっとしたら心が軽くなる可能性も。逆も然り。


それに対して今回は「陽」。
その中の一つを。

トラバルーンってご存知ですか?ひょっとしたら別の名前でも呼ばれてるかも。ポリバルーンとか。



ガムみたいなのをチューブから出して、ストローに巻き付けて息を吹き込むと、シャボン玉に似た風船が出来る。
近所の子供たちの間で、ちょっとしたブームだったんです。

「吹きガラス」の工程と似ています。息を吹き込む力や、出来上がった風船をストローから外すのにコツがあって、失敗するとしわができたり綺麗な球体にならなかったり。

これが出た頃はお手伝いをしたお駄賃を握りしめて近所の駄菓子屋で買ってました。バルーンの大きさを競ったり、わざと割る瞬間を楽しんだりしてあそんでました。

ある夜、母の帰りを待ちながらそれであそんでいたら、余りにも大きなバルーンが出来たので、次の日みんなに自慢するために、

何を思ったのか
父親が髪をセットするときに使っていたVIOのスーパーハードスプレーで固めようとしたんですよ。

当時5歳頃の私にとっては「そのスプレーをかける=固まる」だったので。

そしたら・・・
一瞬で消えちゃったんです。

何がおこったのか分からなくて、スプレーを落として唖然としました。

化学反応を起こしてしまうなんて知識は当時の私にはありません。

割れたバルーンは、クシャクシャなポリエステルの塊になって、ポトリとその場に落ちました。溶解したのが正解かな?

不思議なのは
未だにスプレーがかかる瞬間に消えたバルーンの残像が、スーパースローの映像として記憶に残っていること。

タキサイキア現象。

予期しない事や危険な事を身体が感じると、その時だけスローモーションな映像やパラパラ漫画のような記憶になる。
私も車に轢かれた時に、同じような経験をしたことがあります。

アスリートでも「ZONE」と呼ばれているのが似たような現象でしょうか。「球が止まって見える」とか。

その現象を引き起こす脳のメカニズムはまた別の話になるので、知りたければGoogle様にでも聞いてみてください。

小さい頃はいわゆる「癇癪持ち」で、思い通りに行かないと怒りで大声で泣くのが当時のルーティーンだったのですが、その瞬間はなぜか「タキサイキア現象」として記憶され、消えていくバルーンの美しさとその現象に感動してしまったのです。

「これは凄いことを発見してしまった!!」


次の日
私はそのスプレーと風呂敷を持ち出し、バルーンを消す魔法使いとなりました。

マントのように紅白の風呂敷なんぞを首にかけ
魔法の杖のようにスプレーを持ち
勝手に作った呪文を自慢げに呟いて

バルーンに向かってスプレーをシュッとひと吹き。

バルーンが消えたその瞬間

「うおおおおおスゲー!!」

みんなに大絶賛されたのです。

気持ちいいーーー!超気持ちいい!

その時のみんなが驚いた顔や歓喜の声。
まー楽しくて楽しくて。

その後あっという間にスプレーは空になり、父親は頭がセットできずボサボサのまま仕事に出かけ、母親にゲンコツ喰らいました(笑)


最近コンテンツの企画を練っているときやクライアントのデータ解析をしていると、その時の記憶をやたらと思い出します。

ああ、魔法使いになりたい。


あの時、トラバルーンを消した時の感動が忘れられないんです。


たまに
「これはいけるぞ!!私は天才なんじゃないか」なんて根拠のない自信が、私に「なんちゃってZONE」をもたらし、ニヤニヤしながら真夜中にPCに向かっている顔は、多分5歳児なんだろうなあ。キモイ。
でもまだ魔法使いになれていないです。

だから
心には常に5歳児なみの好奇心をもって。
いい歳なんだから学ぶべきは学んで。
常にアンテナを張って。
沢山の人に会って。

スプレーを探しつづけていきたい。

応援してるアーティストさん達や、noteを読みに来てくれたり、砂短のサイトやYouTubeを見に来てくれる皆さんと共有したいと思っています。

トラバルーンが消えたあの時の歓喜と感動を。

(トラバルーンが消えた時-Fin-)


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読んでいただきありがとうございました。これをご縁に、あなたのところへも逢いに行きたいです。導かれるように。