お客様サポートのB2BとB2Cの違い
私のキャリアの柱の一つが顧客サポートです。会社員時代に、7年ほど国内外の企業を対象に、10名ほどのサポートエンジニアをマネジメントしてきました。
現在は、B2Cの分野で、お客様からの問合せやクレーム等の対応を通し、お客様満足度の向上とお客様の声から得られる情報をもとに業務改善を行っています。
B2BとB2Cの両方の顧客サポート(お客様対応)の経験から感じたことをまとめてみました。
B2Bの場合
B2Bは、そもそもが取引先や企業が相手なので、双方の主張を擦り合わせ、双方で落とし所を探りながら、win-winを目指すというスタイルが一般的な対応となります。
基本は論理性を主体にしたやりとりになりますが、その分、感情に訴えることがここぞの場面では効果を発揮したりします。
B2Bでは、時間の使い方もポイントです。「間」の使い方がとても重要になってきます。
Noほど対応が難しい
問合せを受け取った時に、ポジティブな回答を返信できる場合は問題ないのですが、お断りなど、ネガティブな回答をせざるを得ない場合は、慎重な対応が求められます。
問合せの直後に「No」が速攻で来たら、いい加減に対応されたのか、AIにあしらわれたのか、そういう感情の想起にも繋がり、お客様はあまりいい気持ちはしません。結果は同じであってです。
B2Bは、会社間の関係ですから、Noの時ほど回答は慎重に、個人の判断やAI回答ではなく、「会社の方針」あるいは「上司と相談した上での会社としての回答」という形にしなければなりません。
回答が早い方がいいとは限らない
あるべき姿は、きちんと問合せ内容を精査し真摯に対応することですが、時間をかけても結果は変わらないと判断できる場合は、少し時間を置いて、お客様に伝えるだけでも、それがクッションとなり、会社間に変な痼りを残さずに済みます。
B2Cの場合
B2Cは、不特定な個人を相手にするため、相手の意図・反応や展開を読めない中で、問合せを受け取り、やりとりをしなければならない難しさがあります。紳士的なお客様もいれば、そうでないお客様もいます。
文面や電話のトーンから、お客様のペルソナや状況を素早く想定し、柔軟かつ毅然に対応することが求められます。
回答は即効で
B2Bのような「問合せ=交渉」ではなく、B2Cは「問合せ=要望」ですので、回答をすぐに求められます。
そのために、多くの企業では、ガイドライン・FAQ・ヘルプ・チャットボットなどで、まずはお客様自身で素早く回答にアクセスできるような仕組みを構築しています。
ショッピングモールに出店している小売店では、いかに早く回答するかが、ストア評価の一つの指標にもなっています。
人的対応が必要な場合は、定型の回答文を用意し省力化を図り、お客様への案内の迅速化とスタッフの負担削減の両立を図ります。
B2Cのお客様対応経験者は、すぐに回答が習いになっているため、B2Bの顧客対応の交渉の駆け引きに戸惑うことが多いので、交渉経験を積ませることが必要になってきます。
例えば、販路拡大で法人に営業をかける場合などは、交渉経験者が必要になります。
電話は共通して敬遠
電話での問合せ対応は、10年ほど前から基本的に無くす方向に進んできており、コロナ禍ではそれが顕著になりました。
専用のコールセンターを運用している企業は別として、スタッフが兼任で電話対応している企業も多く、電話の度に業務が中断し(集中力も切れる)、時間も取られるなどで、社員満足度の低下から離職へと繋がるケースも見られます。
※余談ですが、人が企業で働く意味はスキルの獲得です。電話番でどういうスキルを身につけるかを常に自問することが大切です。
電話での応対が効果的なのは、「即応性」を求められる場合、「単純な回答」で事足りる事業(ネットショップなど)、「わかっているもの同志」で運営している事業、年配のお客様などの「ネットが不得手な層」が主なユーザーの事業です。また、社長が自ら外線を取るような少人数の企業は、電話を好む傾向が根強くみられます。
つまり、自社の事業スタイルや、ステークホルダーの性質によっては、電話もアクセス方法の一つとして残すことも必要となります。
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