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失敗するマネジメントの不思議でない理由

半世紀も生きていると様々なものを目にすることになります。
例えば、ビジネスシーンにおいてはほぼ間違いなく組織マネジメントというものに出会います。組織マネジメントは人間を扱うものである以上、絶対的な正解はないと言われます。一方、ノムさんこと野村克也氏が語った「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」の言葉通り、うまくいかないことには必ず不思議でない理由があるはずです。
ここでは過去見てきたうまくいかない組織マネジメントのパターンについて、それを担うマネージャーの特性から見ていきます。

類型1:定義がおかしい

会社組織においてマネージャー職というのは一つの役割です。役割には本来上下関係はなく、その役割を果たすために会社から必要な権力を与えられているだけなのですが、役割を超えた解釈をする人もいるようです。部下は自分に仕えるために存在していると考え、全人格的にマネージャーが偉いと思い込むパターンです。
〇〇ハラスメントの背景にはこの勘違いが関係している可能性があります。精神的に追い詰められてしまう生真面目な部下、あるいは、マネージャーの言うことを聞かなくなってしまう無言のテロリスト部下などが生まれやすくなります。

ひと言「権力を乱用しない。扱う権力の大きさと同程度に徳の高さが必要。」

類型2:特定の能力が不足

(1)意思決定できない
マネージャーの重要な仕事の一つは決めることです。ところがこれが苦手な人がいます。慎重な性格なのかは分かりませんが、優柔不断で決めることができない。当然ながら決定がなければ部下もどっちに向かって進めばいいのか分からなくなり全体のパフォーマンスが落ちます。
このような状況では、できる部下は自己判断で勝手に動き、できない部下は身動きできなくなるという二極化が起こりがちです。
またこのタイプの人は合議が好きな傾向があります。合議は一見民主的ですが、決定に時間がかかる、また、責任の所在が曖昧になるという副作用があるので要注意です。

ひと言「早く決めて早く動いた方が結局はお得。意外と結果は変わらない。」

(2)責任の放棄
仕事を部下に任せることはマネージャーの仕事です。ところが、仕事を任せると同時に責任も放棄してしまう人がいます。これを丸投げと呼びます。
たとえ仕事を任せたとしてもその出来栄えを管理監督するのはマネージャーの仕事です。結果的に成果が出せなかった時に、できると思って任せたなどというのは責任逃れに過ぎません。
この場合、自由の名を着た、糸の切れた凧のような部下が生まれやすくなり、統制が効きにくくなります。強権を発動してでも成果を生む覚悟、仕事に対する誠実さがマネージャーには求められます。

ひと言「手綱は緩めても良いが決して放してはいけない。引っ張るのは自分の役目。」

(3)プレイヤーのまま
逆にマネージャーがプレイヤーとして優秀過ぎて部下に任せることができないケースもあります。この場合、マネージャーがいつまで経っても楽になれず結果的に組織のパフォーマンスが上がらなくなってしまいます。プレイヤーからマネージャーに脱皮するためには、リソース(人、モノ、金、情報)を正しく分析し、最適化する能力が求められます。

ひと言「プレーヤーとマネージャーは別の職業だと思え。違う能力が必要。」

類型3:そもそもマネージャーになるべきでなかった

人の話を聞かない、動かない、作戦が立てられない、投資対効果の計算ができない等々、そもそも資質がなかったのでは?と首をかしげざるを得ない人がマネージャーになることが時々起こります。
その責任は任命した上の者にあるのですが、部下になった者としてはたまったものではありません。
将来こうなってはいけない見本に出会ったと思って他山の石としましょう。

ひと言「任命ミスも含めてマネージャーは会社の力を表すバロメーター。」

最後に

いかがでしょう?
心当たりのあるパターンもあったのではないかと思います。
他にも探せばもっといろいろな切り口があるかもしれません。
なおコミュニケーション能力については今回は外しました。あまりにも当たり前に必要なスキルなので。

なお、いま自分が身を置くスタートアップ企業においては、意思決定ができない(遅い)が決定的にダメかなぁと感じます(類型3は論外)。
以上、自省の念も込めて書いてみました。マネジメントって難しいですね。

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