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2022 TJAR Day5 南アルプス前半

いざ南アルプスへ

TJARにはこんな格言があるそうです。
「北アルプスは練習、中央アルプスは調整、南アルプスが本番」
中央アルプスを下山したとき、中島選手から聞きました。そのときの感想は「えっ、北アルプ中盤からずっと本番…もうくたくた…」
そして、中央アルプス下山時に聞かされたニュース。
「台風襲来!」
それを教えてくれたスタッフはなんだか嬉しそうでした。
「晴天のまま終わったら、TJARじゃないでしょ!?」(スタッフ)
はいっ、これがTJARです…。。。

台風襲来のニュースを聞かされる。コマクサの湯にて。

市野瀬出発

1時ころに起床し、準備をし、前半からずっと一緒だった今崎選手と出発。
久しぶりに屋根のある屋外で睡眠できたおかげか、体は回復していました。
最後に妻と娘のメーセージをそっとみて、段ボールを閉じてデポ。

市野瀬段デポ、段ボールの内側

少し数か所のマメが気になる程度。
ここでの決断は、ストックシェルターから、ドームシェルターへの変更。
南アルプスが悪天候になることに備え、デポのなかに、ドームシェルターを仕込んでおきました。ストックシェルターは明らかに、防水性が弱く、居住性も低いため食事もおろそかになります。特に、走力がない私は、長時間、南アルプスに滞在する可能性が高い。その分、シュラフカバーを削りました。ドームシェルターで防水が強くなるため、撥水性のミニモキルト(ハイランドデザイン・ハイカーズデポ)のシュラフでいけると判断。

市野瀬CP

出発に向け、荷物の最終整理。必携品の忘れがないか、食料はしっかり持っているかなど、再度確認。前日、コンビニで購入したパンを食べ、今崎選手と出発。前日のお風呂と新しい着替え・靴で気持ちよく出発。少し足のマメが気になるくらい。段ボールの内側に妻娘が書いてくれた応援メッセージを最後にそっと見る、ありがとう。そして、段ボールを閉じた。段ボールの梱包は一発で成功。今崎選手と元気に出発。

2022報告書

試走・選考会で登った地蔵尾根。それほど嫌いではない尾根です。
今崎選手と選考会のときの話などしながら順調に高度を稼いでいきました。
途中、今崎選手が覚醒!?調子がよさそうなので、先行してもらいました。

選考会のとき、私はTJARに実際出られるとは思っていませんでした。地蔵尾根に登る途中、マーシャルの方と交わした会話。

私:「ここまで地図読みはうまくいっている。このまま受かったらどうしよう。完走できるか自信はない…」
マーシャル:「せっかくのチャンス。同じチャンスは二度とこない。つかめるのであれば諦めないで最後までやってほしい」「TJARのスタートを目標にしたらこのレースはゴールできない、ゴールのイメージまでもってほしい。何より、本戦は楽しいよ!」

この言葉は、この日から本戦までずっと響きました。
弱気になっていた自分にかけてくれた言葉。自分にもっと自信をもってもいいのか。不安と楽しみの波はずっと続きました。
ただ、イメージ・頭のなかで、ゴールは何回もしました。

選考会から1か月半、自分がTJARの舞台を実際歩いていることに実感がない、そして不思議な気分でした。自分は本当にTJARの舞台で歩いている。そして、大きなトラブルはまだない。
山頂には大勢の登山客。TJARのレース中ということに気づいた登山者の方がたくさん応援してくれました。
このときは、晴天で振り返ると、中央アルプス、遠くに南アルプス。
「あんな遠くから自分は来たんだ」
そんな感動もありました。

地蔵尾根中盤まで、選考会のときの話などしながら登った。体は好調。途中、今崎選手のスピードが上がってきたので先行してもらう。足裏ケアなどしながらマイペースで登る。それほどスピードは下がっていない感覚。途中、足裏ケアをしていると、若い登山者の方が登ってきて話をした。この方もいつかTJARを目指すのかなと思い、自分の6年前と重なり、嬉しかった。地蔵尾根は長いが結構好きな登り。森林限界を超えると、好天の中央アルプスと遠くに北アルプスがみえる。これまでの道のり・中央アルプスのつらかった稜線を振り返る。水は、高望墓池で汲む予定としていたため、仙丈小屋には寄らず、仙丈ケ岳登頂。山頂では、たくさんの登山者の方が応援してくれた。

2022報告書
登山者の方が送ってくれた写真①
登山者の方が送ってくれた写真②
登山者の方が送ってくれた写真②

長い仙塩尾根

この頃から、足裏が少し痛くなってきました。そして、強い眠気。
高望池で水を汲む予定。そこまではだいぶ長く感じました。登山者の方にも抜かれ心配いただきました。ようやく高望池につき、急な斜面を下り、水を汲み、戻って昼食と昼寝30分くらい。やはり眠気が来ます。
アルファ米も半分くらい、味噌汁でなんとか流し込む状態。
起きると、関選手、横井選手、中島選手が到着したところでした、少し会話をかわし、先を進みました。三峰岳への登り。急登ですが、登りは結構好きなので、きついですが、そこまで苦ではありませんでした。

三峰岳からの農鳥岳。最後にみた晴天

三峰岳から塩見岳手前へ

熊野平へ進む道中。景色もきれいだったので気がまぎれました。でも眠い。
熊野平小屋で、撮影いただきました。(TVでは使われなそうな場面)

結構追われます。
撮影技術が凄い。

熊野平小屋で水を汲み、塩見岳へ向かいました。
でもやはり眠気が強く、そして予想していた雨。たどりつけそうもないので途中少し長めの休憩。予定では、塩見岳越え、できれば三伏峠。
初めての予定の可能性修正でした。ただ、まだ余裕は少しある。

仙丈ケ岳から三峰岳の稜線は天候がよかったが長かった。足裏の痛みが少し。高望池で水を汲み、赤飯・味噌汁を食べ、眠気と疲れがあったため、30分くらい寝た。起きると関選手、横井選手、中島選手が到着するところだった。少し寝たことで、体は回復し、三峰岳に向かう。高低差はあるが、マイペースで気持ちよく登る。三峰岳山頂からみる農鳥岳がかっこよかった。間ノ岳は雲のなか。これが南アルプスでみた最後の晴天。熊の平小屋へは気持ちよく下り、小屋で水を補給。偶然、面識のなかった会社の庄司さんがいらっしゃったようで、後日、会社でお話しし、写真をもらった。塩見岳・三伏峠に向かうものの途中眠くなり、長めの休憩。
【COROS計測:36.61km(3D距離),累積上昇3556m,4580kcal】

2022報告書
By Coros

そして、ここからが、南アルプス本番でした。格言のとおり。
悪天候の南アルプスへ。どうなるか。
このときゴールのイメージはまだ、まったく頭にはありませんでした。

続く

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