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よびし通信no.26


だんないおきばりやす

【こわとだんご】

 「毎年12月28日は何があっても餅をつく。27日でも29日でもあかん。」 何やら代々引き継がれてきた。その日の台所は朝早くからお餅のいい香りに包まれる。子どもの頃は早く食べたくて、わくわくしながら出来上がるのを心待ちにしたものだ。そして着々と新年を迎える準備が整っていく。

 白餅で、鏡餅やのし餅をこしらえた後、間髪入れずによもぎ入りのこわとだんご作りに取り掛かる。この二つのお餅はお正月にしかお目にかかれない。
 こわは、もち米とうるち米を混ぜてついたもので、つぶつぶ としたお米の舌ざわりを感じる。だんごはもち米とこめ粉を混ぜてついたもので、つるんとしたなめらかな喉ごし。まったく違う食べ心地なのに、よもぎが入ると両方が同じ草色で見分けがつきにくくなる。 「どっちがこわでどっちがだんご?」 このセリフを毎年家族で言い合うのが風物詩となっている。

左がだんご・右がこわ

母から作り方を教わるには12月28日しかない。 習わしを変えるわけにはいかない。

多賀のお母さんから学ぶ 食の知恵と技


【こわ】


[もち米7合・うるち米3合・よもぎ(春に新芽を摘 み、茹でてミキサーで細かくつぶし、冷凍保存したもの )・塩大さじ約1.5]一升分
①もち米とうるち米をとぎ、たっぷりの水に一晩浸しておきます。
②餅をつく約30分前、ザルに上げて水を切っておきます。
③米を蒸します。


④蒸し上がる直前に、よもぎを入れてあたためます。


⑤塩を入れて餅をつきます。


⑥ばんじゅうの上につき上がった餅を流し入れて棒状にのばします。


⑦2日ほどおいて、カチカチにならないうちに切り分けます。


こめ粒が残るのが「こわ」



【だんご】

[こめ粉7合・もち米3合・よもぎ(こわと同じもの)・塩大さじ約1.5]一升分
① もち米はとぎ、たっぷりの水に浸して一晩おきます。
②だんごをつく約30分前、ザルに上げて水を切っておきます。
③もち米を蒸し器に入れて蒸します。


④お湯を沸かしておきます。紅鉢(べにばち)にこめ粉を入れます。
ひとかたまりのだんごになるように、お湯を少しずつ注ぎながらこねます。


⑤耳たぶの柔らかさになり、ひとかたまりになったら、 一握りずつ棒状にし、もち米と一緒に蒸します。 棒状のだんごは立てて蒸します。


棒状の団子は立てて蒸します。


⑥だんごの色に透明感が出てきたら蒸し上がりです。 最後によもぎを入れてあたためます。


⑦蒸し上がった⑥を餅つき機でつきます。

⑧ばんじゅうの上につき上がった餅を流し入れて棒状にのばします。

⑨2日ほどおいて、カチカチにならないうちに切り分けます。

こわとだんごは、こんがり じっくり焼きます。 まずは、そのままよもぎの香りを楽しんで召し上 がってください。 砂糖醤油でいただくのもおすすめです。



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