「死者との対話に思うこと」 今年(注:2021年)5月の母の日に母が亡くなり、死者と対話する物語への関心が増していた。本棚を物色するとハヤカワ文庫の神林長平の『いま集合的無意識を、』が目に入る。表題作は神林と思われる作家が、インターネットを通じて死者伊藤計劃と対話するお話だったはず。 ぱらぱらとめくって読むと、やはり表題作に伊藤計劃が登場する。そこでは現実とフィクションの関係、人間の意識への考察、伊藤計劃への批評、そして作家=神林長平の仕事への倫理が語られているわけだ
世の中にはたくさんの理不尽があって、それは避けられないから理不尽と呼ばれていて、でもそんなものはあってほしくないと強く思う。それでも理不尽は起こる。 世の中には遠い理不尽と近い理不尽とがあって、そのふたつの受け止め方は人によってまったくちがっていて、理不尽との距離感も人によってまったくちがう。 理不尽を受け止める難しさをつくっているのは、それが小さいか大きいかではなくて、それを遠く感じるのか近く感じるのかということだと思う。近い理不尽を受け止めるのはとても難しい。 受
『百年と一日』は時間の手触りを書いた作品だ。 この短編集は33の短い話で編まれている。ひとつひとつの話は短く、物語的な起承転結もない。人や場所に流れる時間が丁寧に記述された静かな文体の小説だ。 『百年と一日』という作品名は、時間の流れを描いた作品にいかにも相応しい。33の話は一日で終わるものもあれば、百年程の大河的な歴史もある。しかしこの作品名は、単純に時間の長さを強調するために作品に冠されているのではない。「百年」と「一日」。ふたつのことばの間にある「と」は、比較では
2019年から2020年にかけて参加していた第四期SF創作講座での一年間を振り返ろうと思う。 第四期SF創作講座最終講評から一年以上が経過した今頃になってこんなエッセイを書くのは、同期の安斉さんがついさっきnoteにアップしていた四期振り返り記事を読んでみたら思いのほか面白くて、自分も書いてみたくなったから。 各回講義では、与えられた課題テーマに沿った梗概と実作の提出が求められる。最終課題を含めた十個の課題のうち、僕が提出できたのは、梗概九作、実作七作だった。そのうち
ひらめき☆マンガ教室にて提出されたマンガ(実作)の全作感想になります。ここで感想を書いた作品は、すべてWebで読むことができます。 漫画も面白いですが、武富健治さんによる課題文も漫画に限らず創作において気を付けるべきヒントがいくつもあるのでそちらを読むのもおすすめです。 あと、感想の前置きとして。 各感想は特に一貫した評価基準をもたずに、作品を読んで個別に考えたこと思ったことなどを書いています。そうしたことを、なるべく言語化してみたのが、この記事になります。文章量
先日、SF創作講座の同期の能仲さんと、ゲンロン五反田アトリエで行われている、ゲンロン新芸術校第六期グループA展『かむかふかむかふかむかふかむかふ』を観てきました。この記事は展示を鑑賞して感じたこと考えたことの記録です。 (写真がへたくそですみません……) グループA展自体は、9/20(日)までの展示とのことです。 https://genron-cafe.jp/event/20200912/ 10月にはグループBの展示があり、11月にグループC、12月にグループDと毎月
僕、遠野よあけはゲンロン大森望SF創作講座という小説スクールに通っていまして、つい先日、最終課題実作(120枚程度)の作品を提出しました。 この記事では、そこで提出された作品への感想をつらつらと書いていきます。詳しい情報は下記サイトにて。 「ゲンロン大森望SF創作講座」 https://school.genron.co.jp/sf/ 「最終課題提出作品一覧」 テーマなどの指定はなし (各作品は50~120枚程度) https://school.genron.co.jp
僕、遠野よあけはゲンロン大森望SF創作講座という小説スクールに通っていまして、そこでは毎月50枚程度の作品を提出することになっています。この記事では、そこで提出された作品への感想をつらつらと書いていきます。詳しい情報は下記サイトにて。 「ゲンロン大森望SF創作講座」 https://school.genron.co.jp/sf/ 「第8回提出課題一覧」 課題:ファースト・コンタクト(最初の接触) https://school.genron.co.jp/works/sf/2
2/16のSF創作講座有志による感想会のためのメモです。 第9回課題「「20世紀までに作られた絵画・美術作品」のうちから一点を選び、文字で描写し、そのシーンをラストとして書いてください。」 https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/subjects/9/ 全員分の感想ではなく、感想会出席者の梗概のみ感想を書きます。 とはいえ今回は「梗概」ではなく「ラストシーン」を書くことが課題なので、感想はお話とかではなく「かっこよさ」「本編
あと半日もしないうちに開催されるコミティア131での頒布物についての紹介です。昨日書けばよかった……せめて今日の昼に…… 2020/2/9 COMITIE131 ひらめき☆マンガ教室チームB/の08a 『デート〈特集 両片想い〉』 価格500円、180P 内容のサンプルは↑のサイトでご確認ください。また、僕は絵の技法書レビューとして、次の三冊について文章を寄せています。 才能はいらない イラストで食う技術 神技作画シリーズwww.amazon.co.jp1,980円(2
2019年に自分が触れたコンテンツからベスト15を選んでみました。 対象は2019年公開コンテンツです。 この記事を書くために去年の記録を整理していて、本は全然新刊を読んでいなかったことに気づきました。映画と漫画はあまり意識しなくても新作に触れていたけど、本は意識しないと新刊を手に取らないみたいです。2020年はもう少し新刊を読む。 あと、ランキングとは別に、2019年は個人的に印象的な出来事が幾つかあったので、ついでにこの記事でメモしておきます。 4月:批評再
僕、遠野よあけはゲンロン大森望SF創作講座という小説スクールに通っていまして、そこでは毎月50枚程度の作品を提出することになっています。この記事では、そこで提出された作品への感想をつらつらと書いていきます。詳しい情報は下記サイトにて。 「ゲンロン大森望SF創作講座」 https://school.genron.co.jp/sf/ 「第3回提出課題一覧」 課題:強く正しいヒーロー、あるいはヒロインの物語を書いてください https://school.genron.co.jp