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即死コンボ

今日は遅番だったから午前9時前の少し人も増えた公園で朝ごはんを食べました。


いつもは日陰になっているベンチにも少し日が差してあたたかさを感じます。

風は強いです。
吹くたびに四方の木々が荒波のようにゴオォーっとうねって花殻が降って来ます。

また強い風が吹きました。
昨日スーパーで買っておいた惣菜パンを庇うように体を丸めます。

……ぽとん。
おや、頭の上に何か降って来たようです。

ふるふると髪を揺らすと、そいつは服の袖の上に落ちて来ました。

シャクトリムシです。


『あ、終わった。』

心の中でそうつぶやきました。

小さい頃の記憶。母親だったか祖父だったかが、

「シャクトリムシに頭にのぼられたら死んでしまうんだよ。」

とよく言っていました。

たぶんおじいちゃんだな。
ちょっと意地悪なことを言ってニヤリと笑う顔がすぐに思い浮かびます。


とにかく、『頭にのぼられたら死んでしまうシャクトリムシ』が『いきなり頭に降って来た』のです。

いったいどうしろと言うんです?

凶悪すぎる即死コンボ。
避けようがありません。

合掌。

ですが後で調べてみたら、『つま先から頭のてっぺんまでのぼられたら死んでしまう』や、『体を一周されたら死んでしまう』など、いろいろ言い伝えがあるようです。

つまるところ、『全身を測られたら死んでしまう』ということみたい。

ということは、さっきのは無効試合。

頭から始めたのならつま先まで行ってもらわないと、私は倒せませんよ、シャクトリムシさん。

午後10時半現在。
私、元気。

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