【さんぽカメラ③】花曇りは薄味で【立会川駅〜大井ふ頭】
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R6.4.5
傷だらけの車窓を透かして、どんよりした空。
出かけた帰りに桜を撮ろうとせっかく持ち出した愛機はさみしげに胸元でゆらゆらと、車内のアナウンスが次の駅を告げます。
『次は立会川。立会川。』
このまま帰るのももったいないし、なによりカメラが可哀想。
ガタガタ開かれたドアから慣れないホームに降り立ち、レンズキャップを外します。
立会川駅〜大井競馬場前駅
京急『立会川駅』から東京モノレール『大井競馬場前駅』を通って『大井ふ頭』へ行くことにしました。
駅を出て東へ歩きます。
浜川橋という橋の上から桜が見えます。写真を撮る人もちらほら。
競馬場通りと呼ばれる大通りに出てそのまま歩いて行きます。右手に大井競馬場が見えました。どうやら今日は営業していないようです。
大井競馬場前駅はレトロな外観でかわいいです。山間部のペンションとかでありそうな感じ。
京浜運河沿い
突然、わっと視界が開けます。京浜運河へでました。曇天の空を写した川が遠くまで続いて空に溶けてゆくようです。対岸に咲く立派な桜の花の色も曇り空を写しているみたい。
曇天の桜はどうしても好きになれません。もちろん桜にはなんの責任もなくって、曇の日の私の心持ちが最大の原因。
インスタで
『曇の日の桜が好き。』
と言っている人がいて、実際その人の写真はとても綺麗で、変に斜に構えている訳ではないことはすぐにわかりました。
『そんな繊細な感性がほしいなぁ。』
とつくづく思います。
記念日や誕生日に食べるフレンチのコースや回らないお寿司も美味しいけれど、それはカテゴリが違うだけで、ビッグマックや家系ラーメンより格上だとは思いません。
結局大味好きの私にとっては、晴れの日の桜がいちばん。
そういえば、少し前からラーメンの注文は
『(味)普通、(麺)固め、(油)少なめ』
になりました。
数年前までは味濃いめの油多めで白米をかき込んでいたのに。
『薄め、柔らかめ、少なめ』
になる日も近そうです。
その頃には曇天の桜も楽しめているでしょうか。
さて、この辺りは独特な雰囲気があってとても好きです。
海に森に、自然がたくさんあるのですが、埋め立て地であるからその自然も当然計画されて作られたもので、『自然を楽しむための自然』と言った感じ。
こういうと悪く聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、なんというか……ちょうど良い??
この間行った鎌倉山では斜面から転がり落ちそうになりましたからね。
大井ふ頭中央公園海浜公園
大井ふ頭中央公園に着きました。
近くにはシェアサイクルもあって、あたたかい晴れた日にはおすすめです。
マンモス団地(八潮パークタウン)
ちなみに公園の道路を挟んで北側には広大な団地が広がっていて、団地好きにはたまりません……!!
(※写真は別の晴れた日のもの)
今回は団地には寄らず公園を南下して行きます。
しおじ磯
運河沿いを歩いて行きます。ここは淡水ではなく海水です。海なのです。磯の匂いがぼんやりと漂います。
対岸に大井競馬場前駅のホームが見えます。少し歩くと何やらモニュメントが。
女神転生シリーズに出て来そうな神々しいこちらの彫刻は、一色邦彦さんの『碧翔』という作品だそうです。近くで見ると迫力があります。
運河沿いから雑木林へ続く道に入って行きます。
釣竿を背負った男性が自転車で通り過ぎて行きました。
自然観察路
金網の入り口から自然観察路へ入ることが出来ます。
すぐ隣に294号線が走っているとは思えないほど静かです。落ち葉の絨毯から心地良い音がします。
ふと、鼻をたくあんのような香りがかすめます。これは『ヒサカキ』という植物の花の匂いなんだとか。
群生しているシャガの花を見つけました。艶のある濃い緑の葉の中に浮かび上がる淡い白の花弁と模様。妖しい雰囲気を漂わせています。
歩き続けていると頭上の木の枝にカラスがどんどん集まって来ました。バサバサ、バサバサ。一羽、また一羽と増え続けみな一様にカーカー鳴くものだからすごい大合唱になって、なんだかちょっと不気味。しかもなぜだか私の頭上に集まって来てる気がする……?
雨の予感がする夕方の森に一人。頭上にはカラスの群れ。薄闇に妖しく咲く白い花。
なんだか怖くなって引き返します。
ちなみにシャガの花言葉は『反抗』だそう。
ヒエッ。
なぎさの森管理舎
入り口まで引き返すと小さな広場になっていて、小洒落たログハウスのような管理舎があります。
裏を通って野鳥観察小屋まで行けるそうなのですが、今日は通れなくなってたので引き返します。
ゆうやけばし
さらに先へ進んで行くと、『ゆうやけばし』という陸橋があります。今日が曇りでほんとに残念。
ここは人も少なく自転車で走り抜けると本当に気持ちがいいです。
ちなみに去年の12月に来た時は真っ赤なサンザシの実がたくさん実っていました。
ゆうやけばしを下り緑のトンネルを進みます。
なんだか秋みたいな雰囲気。
そのまま先へ進むと小さな干潟へ出ます。
干潟保全地区〜バーベキュー場
やっぱり砂浜や干潟があると急に海感が出ますね。
その先にはバーベキュー場があります。平日だし天気のせいもあって今日は誰もいませんでした。
途中にまたしても謎のオブジェクト。
建畠覚造さんの「波貌」という作品。なるほどこのうねうねは波なのか。
さんぽのおわり
新平和橋という橋に突き当たりました。
道路の向こう側に丘になった公園があるようです。
地面に白い花弁が落ちていて見上げると桜がありました。
深紅の椿もずいぶんと鮮やかです。
丘の上にベンチがあります。
腰を下ろすと歩いた疲れがどっと押し寄せて来ました。
今日のさんぽはここまで。
今日撮った写真を見返してみると全体的にパッとしません。曇天の写真はどうにも難しいです。少しでも良く撮ろうとフィルムシミュレーションをいろいろ変えてみたりしてシャッターに集中できません。
曇天の桜をそのままに美しいと思える感性があれば、素直に見たままを切り取れるのに。
素材そのままの味を味わう繊細な舌が試される、花曇りのフォトウォーク。
私の写真はまだまだ大味です。
Camera:FUJIFILM X-Pro3
Lens:Voigtlander NOKTON 35mm F1.2
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