夜明朝子

気の赴くままに小説を書いたり、本を読んだりする。

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記事一覧

【随筆1】源流

 体育館がふっ、と暗転する。一瞬のことであった。肩の力が抜けて呆然とする私に唯一届いたもの。それは、会場を埋め尽くす拍手喝采だ。今でも忘れられない、寒さをじんわ…

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【読書記録2】アントン・チェーホフ「ねむい」

※注意※  この記事は2022年12月にカクヨムにて公開したものを転載しています。  アントン・チェーホフの短編小説「ねむい」を読んだ。  はじめて読んで真っ先に思った…

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【読書記録1】レオ・レオニ「アレクサンダとぜんまいねずみ」

※注意※ この記事は2022年11月にカクヨムにて公開したものを転載したものとなります。  「アレクサンダとぜんまいねずみ」の作者は、レオ・レオニだ。この話よりは小学…

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【随筆1】源流

 体育館がふっ、と暗転する。一瞬のことであった。肩の力が抜けて呆然とする私に唯一届いたもの。それは、会場を埋め尽くす拍手喝采だ。今でも忘れられない、寒さをじんわりと感じるようになった中学二年生の秋の話である。

 私の母校は、全校生徒約六十人の小さな学校であった。
 学校祭とは名ばかりで行うのは、学習発表会の延長でしかない。その程度のものであった。出し物はステージ発表と決まっていたのである。

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【読書記録2】アントン・チェーホフ「ねむい」

※注意※
 この記事は2022年12月にカクヨムにて公開したものを転載しています。

 アントン・チェーホフの短編小説「ねむい」を読んだ。
 はじめて読んで真っ先に思ったこと。それは、「なんて気持ち悪くて、なんて気持ち良いんだろう」ということだった。

 八百万の神といい、なんにでも神を宿し、どんな神でも信仰する日本という国において、キリスト教が色濃く出る話はなじみづらくも感じる。(かくいう私もま

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【読書記録1】レオ・レオニ「アレクサンダとぜんまいねずみ」

※注意※
この記事は2022年11月にカクヨムにて公開したものを転載したものとなります。

 「アレクサンダとぜんまいねずみ」の作者は、レオ・レオニだ。この話よりは小学二年生にて学ぶ「スイミー」のほうがいささか有名であるようにも感じるが、私は、ぜひともこちらを読んでほしいと思うほどに好きな話である。

 大学の講義にて、およそ13年ぶりだろうか。この物語に触れてそして、あらためてこの物語が好きだと

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