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境界線

■2023年(両親81歳)

12/7
O先生来訪 10:30頃 続き(1)

食堂にいつものように両親がいるところにO先生が寄り添う。

動揺する気配もなく、自然に馴染んで声をかけてくれる。

その佇まいはまるで介護スタッフさんのよう。

「お母さん、O先生来てくれたよー!」と何度も声掛けする。

フロア内に流れる歌謡曲に合わせてO先生が歌い出す。

母の手を取りながら「上を向いて歩こう」を愉快に歌ってくれる。

すると母も笑顔になり、つられて一緒に口ずさむ。

とても嬉しそう。

この後、母がウロウロと歩き出したので、O先生が横に付いて一緒に歩く。

穏やかにゆったりと、母との時間を過ごす。

帰り際、駅までO先生を送りながら「大丈夫でしたか? 二人ともずいぶん変わり果てちゃったから…」と様子を伺うと、「全然大丈夫! わたしは(姉の介護で)慣れているから。でも思ったより元気そうで良かったわ」と大らかに答えてくれた。

改札の前でしばし立ち話、先生のご活動について聞く。

本当に充実している様子。

「良かったら尚子ちゃんも今度の同窓生の集まりに来ない?」などと誘われる。

その時に先生が開いた手帳、毎日びっしりスケジュールが書き込まれているページが垣間見え、驚いた。

どこまでも現役だ。そりゃあボケる暇もないという感じ。脱帽。

「また伺ってもよいかしら?」と言われ、「ぜひぜひ来てください!」と伝えて別れる。

いやはや、恐れ多い。

同じ80歳でも、実に様々だ。

元気な人もいれば、衰えている人もいる。

その境界線は一体どこで分かつのか? 

不思議でならない。


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